色々な仕事に関わることが出来るのがヘアメイクアーティストとしての楽しみの一つ。僕自身もこれまでに、雑誌や広告、映画、ドラマ、ファッションショーなど、ジャンルを問わず様々な仕事を経験してきました。相手の要求にも応えつつ、いかに自分らしいヘアメイクを作り上げるか。プロ同士、時には意見がぶつかり合うこともありますが、最終的にそれぞれの思いがうまく重なり合い喜んでもらえた時は、何事にも代えがたい喜びを感じます。また海外での仕事は、流行や好みの違いから自分の考えの小ささを実感させられることが多々ありますが、そこで自分自身を一度ゼロにリセットすることが新しい発見にもつながり、とても良い刺激になっています。
僕がこの世界に入るきっかけとなったのは、高校時代の恩師の言葉。元々機械や絵が大好きで、その方面の道に進もうと工業高校に通っていたのですが、進路を悩んでいた際に仲良くしていた美術の先生から「好きな絵を活かしていきたいなら、キャンバスを顔に替えてみるという考え方もあるのでは?」というアドバイスをもらったことでヘアメイクという仕事に興味を持ち、新たな道が開けました。モード学園での学生生活は、山のような課題に追われていましたが、なりたい自分になるために必死で頑張っていたように思います。そんな日々も今となっては良い思い出。全てが今の自分を作り上げる大事な糧になっているのを実感しています。
今のこの世の中、夢に向かって進んで行くための入り口は広く、また数多くありますが、そこから実際にその夢をつかみ取るためには、強い信念が必要です。失敗したり、挫折しそうになることもあると思いますが、そこで投げ出したりせず、初心に立ち戻り、自分を信じて、前を見て突き進んでいくことが大事だと思います。また、自分が経験したことはひとつも無駄にはならず、必ず自分自身の引き出しとなるので、様々なことに興味を持って、少しずつ自分のものにしていくと良いと思います。たとえば僕は今、中国語を勉強しています。言葉を身につけ、仕事の幅をアジア、そして世界へと広げていきたい。これが僕のこれからの夢であり目標です。
dynamic所属/メイク学科(現:メイク・ネイル学科)/1992年3月卒/雑誌、CM、広告、コレクションなど、国内外を問わず様々なシーンでマルチに活躍されているトップヘアメイクアーティストの奥川さん。女優、タレント、ミュージシャン、モデル、著名人などを相手に、その人が持つ本来の美しさ、可愛さ、カッコ良さを引き出した、最先端のヘアメイクを作りだしている。優しい物越しや佇まいとは裏腹に、自分のやりたいことはとことん突き詰めるという意志の強さと前向きな姿勢が印象的。今後は、語学を身に付け、自分の仕事の幅と奥行きをより大きく広げていくと同時に、いずれは、次の世代の若いスタッフを育成する立場にもなっていけたらと話す。