嬉しかったのは、やはりアニメのオープニング曲を作ったこと。私は作曲家として、アニメやアイドルの曲を主に手掛ける音楽制作会社に所属しています。ほとんどの場合、仕事はコンペで決まります。1つの案件で提出される曲は100本を超えることも。私は月に5~6本コンペに出しています。常に曲のストックを持っていてその中から手を加えて提出することが多く、ストックは200曲以上あります。競争率が高い中で勝ち取った曲が放送され、SNSで高い評価を得ているのを見ると、「また頑張ろう!」とモチベーションが上がりますね。目標は有名なアニメ作品のオープニング曲を勝ち取ること。そして指名で依頼が来るようになることです。
もともと音楽が好きで、高校ではパンク系のバンドでベースを担当していました。アイドルも大好きでしたね。ある時、テレビのドキュメンタリー番組でアイドルに楽曲を提供している音楽クリエーターの姿を見て、自分も曲作りの道に行きたいと思ったんです。で、いろいろ調べたらTSMの卒業生がけっこう作曲家として活躍しているのを知り、ここに決めました。印象に残っているのが、企業からの課題で曲作りにチャレンジする授業。学年も専攻も違う学生がチームを組んで曲作りをするので、コミュニケーション能力がつきました。プロの現場と同じ流れなので、仕事をしているような感覚でしたね。この経験は実際の仕事にもかなり生かされています。
音楽業界の企業担当者の方々が来校され、直接企業の方と話したりプレゼンしたりできる「新人発掘プレゼンテーション」がTSMでは開催されています。私もいくつかの企業ブースをまわって、自分の曲を聴いていただきました。後日、担任の先生から「再面談の希望が来ているよ」と連絡を受けたのです。それが、ドリームモンスターでした。社長と面談し、作曲の課題を出され、後日提出しました。そんなやりとりが何度かあり、ある日「曲が採用された」と連絡があり、私自身の採用も決まったわけです。業界の一部のような学校で、業界と一緒に学ぶことができた。そのおかげで作曲家としてスタートを切れたので本当に学校には感謝しています。
(株)ドリームモンスター所属/アーティストワールド 作曲&アレンジャーデビューコース/2019年3月卒/宮崎県出身。高校時代はパンクバンドでベースを担当。アイドルグループのファンでもあり、「アイドルに曲を提供したい」想いから作曲家を目指す。TSMでは作曲のプロジェクトに積極的に参加。「アレンジの授業で、音符の重ね方、ボイシングなどを学び、曲のクオリティが高まりました」。卒業後は音楽制作会社、株式会社ドリームモンスターに作曲家として所属。テレビアニメ『五等分の花嫁』2期のオープニング曲、『ワッチャプリマジ!』のオープニング曲などを手掛けている。