勤務先の花屋は地元の常連客が多く、ご希望に沿えるよう努めています。たとえば寄せ植えを作りたいという方にはどんなイメージかをお聞きしながら、その季節に入手可能な植物をおすすめします。難しいのは常連の方からおまかせでブーケなどを依頼される時。用途やサイズを確認し、このお客様は花よりグリーン多め派、といった好みをふまえ、コーディネートしていきます。完成品を「いつもキレイね」とほめてもらえると嬉しいですね。一人で来店した小学生に、母の日の花束を依頼されたことも。後日、常連客でもある女性がお礼に来てくれて、二人が親子だと知りました。こんなふれあいが楽しいし、とてもやりがいを感じています。
花に囲まれて過ごしたくて大学在学中、花屋でアルバイトを開始。ゼロから経験を積み重ね、作ったブーケをお客様に「予想以上!」と喜んでもらったのがきっかけでこの仕事に目覚めました。通っていた大学を辞めて日本ガーデンデザイン専門学校に進みましたが、学校見学に行ったとき、庭園並みの緑の多さ、先生方の温かく家庭的な雰囲気に魅力を感じたのも決め手の一つでした。花に限らず植物全般を学ぶので、広い知識と技術を修得し、自分の方向性が自然と見えてくる点もよいと思います。今後は植物を通じて地域とのつながりを深めたいですね。子供たちと公園の花壇を作るなどの交流を通じて、人の顔が見える街づくりに貢献していくのが夢です。
花だけでなく、造園や園芸についても学べたのはメリットでした。身についた園芸の知識を活用すれば、観葉植物の鉢物についてお客様に問われても、答えられます。またレンガを敷き、生け垣も作る「ガーデン実習」で養った造園の知識や技術は、ホテルで花や木による装飾制作(生け込み)をお手伝いする時などに生きています。たとえば水やりの頻度が多い木と少ない木は分けて植える、と知っていればスムーズに作業できます。「植物病害虫」の授業では花の病気や土壌についても学びました。また学校の温室で花を育てたり、栽培農家さんを訪問したことで、花が手間ひまかけて育てられることも実感。花をより大切に扱うようになりましたね。
株式会社リベルテ 勤務/ガーデンデザイン科フラワーコース 卒/2012年3月卒/在学中にフラワー装飾技能士2級を取得し、先生の紹介で卒業後、今の会社に就職。最初は「レ ミルフォイユ ドゥ リベルテ」の都内にある他店に勤務した。デパートやレストラン、コンサートホールの楽屋、芸能人の家など、普通は出入りできないところに配達や生け込みのために行き、この職業に就いて「こんな仕事ができるんだ」と世界が広がる感じがしたとか。今のお店には2年半ほど前に異動。個人的にも花を毎週購入し、休日はガーデンショーやほかの花屋を見て歩くという、まさに花ざんまいの日々を満喫している。