1970年代の日本は、公害問題が最も深刻な時期で、「光化学スモッグ」や「水俣病」、「四日市ぜんそく」に、ヘドロも問題になっていました。へドロは映画にもなり、当時小学校4年生だった私は「これは何とかしないと」と思ったんです。中学・高校のクラブ活動では化学班として水質調査、京都大学工学部では衛生工学科へ。汚染された排ガスや排水を浄化する研究をしました。大学院を卒業後、理系「キャリア女性」の第1号として環境庁(現・環境省)に入庁。最初は水俣湾のヘドロ問題に従事し、以降、厚生省(現・厚生労働省)と行き来しながら廃棄物、悪臭、汚染土壌の問題や、環境分野の国際協力に取り組みました。環境省を退職後の2010年、桜美林大学に着任し、この間、社会人学生として、北海道大学で博士号を取得しました。
現在の研究テーマは二つあり、一つは、汚染土壌や廃棄物など「前の世代が残した『負の遺産』」を次世代に残さないためには、どうするか。
もう一つは、SDGs教育(持続可能な開発目標に向けた教育)です。さまざまなワークショップなどの手法を採り入れて、環境問題への理解を深めていきます。
ワークショップを通じ、何に気づいたか、何を変えたいと思ったかを考えてもらう。環境問題のみならず、世界の不公平さや、今、置かれている状況を知り、何を解決したいのか学生たちに考えることを促します。
ゼミでは、例えばキャンパス内のごみ箱の分別の実態を調査し、分別率を上げるためには何をしたら良いか「リアル」な問題を「自分ごと」として捉え、解決のためにはどうしたら良いかを提案する活動を行っています。
1983年、京都大学工学部衛生工学科卒業。1985年、京都大学大学院工学研究科衛生工学専攻 修士課程修了。2013年、北海道大学大学院工学研究科北方圏環境政策専攻博士課程修了。博士(工学)。1985年、環境庁(現・環境省)入庁。2005年、大臣官房総務課環境情報室室長。2007年、慶應義塾大学環境情報学部教授を経て、2010年4月、桜美林大学教授に就任