海岸工学は、海に囲まれた我が国には欠かせない身近な学問です。例えば「防災」や「減災」といった視点で考えてみましょう。台風などで高波が襲来する際、沿岸域に暮らす住民に対して「どのような危険があるのか」「どのような対策を施すことで身の安全を守ることができるのか」といったことを学びます。また、大きな影響を及ぼす可能性のある波にはどの程度エネルギーがあるか、考えてみてください。そのエネルギーを有効活用できるかもしれません。そういった視点で考えることも大切になります。海岸工学に限らず、土木工学は私たちの生活基盤となる部分を学ぶ、ダイナミックな学問です。自然災害による被災者を減らす方法や、地球環境や気候変動に対する方策など、大きな規模の観点で考える力、実行するための力を養うことができます。
多岐に渡る「海岸工学」の学問。東西に長く海岸線長が500kmを超える静岡県では、土地ごとに特徴的な海岸が多く存在しており、抱える問題も様々です。それらを海岸工学の知見や実験的なアプローチからひとつずつ丁寧に、根気強く取り組んでいます。また「波」からエネルギーを得て、循環型のシステムを構築する「再生可能エネルギー」についても研究しています。あわせて、海岸線に植えられたクロマツの落ち葉が堆積し、富栄養化してしまった土壌などの未利用資源から、エネルギーを作る研究にも取り組んでいます。
海岸工学の領域は自然との対話が常にあり、人間が手を加えることができないところにダイナミックさがあります。また「地域への貢献」というやりがいもあります。自然が好き、という人はぜひ来てみてください。
2008年東海大学大学院海洋学研究科海洋工学専攻修士課程修了、2008年株式会社ヒラテ技研エコエネルギー研究所勤務、2011年東海大学海洋学部臨時職員、2018年東海大学理学部物理学科非常勤講師、兼東海大学海洋学部臨時職員を経て、2023年静岡理工科大学理工学部土木工学科准教授に着任