普段、何気なく喋っているように感じる「ことば」。その発達には乳幼児期からの多くの積み重ねがあります。まず、ものの名前などの「単語」から語彙の獲得が始まり、徐々に長い文章でことばを発することができるようになるのです。私が関心を寄せているのは、幼児期の「語彙から文」へと移行していく過程について。ことばの発達過程で生じる、発音の未熟さの要因についても考察を進めています。臨床において、子どもの発達やその背景にある特性はさまざまで、小学校に入ってからつまずく子どもも多いという感触があります。保育園・幼稚園から小学校という流れの中で、一人ひとりの子どもにとって「学びやすい環境」を整えるためにも、言語聴覚士による支援の手が保育・教育の現場へ届けられるように連携の方法を考えていきたいと思います。
小児の言語発達を専門とする山崎ゼミ。中には小児施設での実習経験が少なく「小児領域に興味はあるけど難しそう」と感じる学生もいるため、身近にある例を挙げながら、具体的に発達や障がいについてイメージできる授業を展開しています。その特徴は、学生に寄り添い「一緒に考える」という姿勢。ある症状と名称と結び付け、理解するにはどのように思考すればいいか。そうした時、先生は小さなヒントを投げかけます。そのヒントが学びの理解と次のステップへの興味喚起につながり、同時に障がいなどの特性についての理解も促されるのです。
医療の現場では幅広い年代の人に接します。より多くの人と話す機会を増やし、多様な価値観に触れて視野を広げましょう。助けを必要とする人は意外と身近にいるもの。小さな変化に気づけることもきっと役立ちますよ。
専門分野/言語発達障害
略歴/川崎医療福祉大学を卒業後、同大学院修士課程で学びを深める。大学院在学中は、日中一時支援や放課後等デイサービス等の療育施設での言語聴覚療法、乳幼児健診の養育者支援に携わった。修了後、修士(感覚矯正学)取得。現在も現役の言語聴覚士として臨床の第一線で活躍する傍ら、自身の研究と後進の育成に熱意を注ぐ。2019年より現職。助教。