フジテレビのドラマや報道番組、バラエティ番組に出演される方々の、ヘアメイクを担当しています。先日、お正月特番のドラマで、初めて時代劇のヘアメイクをしました。時代設定は江戸時代。当然、髪の毛はピンやゴムではなく紐で結びますし、手ぬぐいを頭に巻く「姉さんかむり」など、TPOに合わせた髪型も種類豊富。かなり予習をして臨みました。エキストラさん一人ひとりのヘアも仕上げる大変な現場でしたが、「良いものを作ろう」というスタッフの熱意が漂い、一丸となって創りあげ仕上がったときは、とても達成感がありました。私自身もやり切った気持ちと、憧れのドラマの仕事に携われていることへの満足感を、あらめて実感できましたね。
私の実家は、家族の団らんの中にいつもテレビがあるような家でした。特にドラマがみんな好きで、話の展開にそれぞれの意見が飛び交っていたほどです。ある日、ドラマのメイキング映像に裏方であるはずのヘアメイクさんが映り、「この仕事…カッコイイ!」と胸が熱くなりました。テレビ業界へのパイプがある桂make-upデザイン専門学校を知ったときは、入学を即決したほどです。しかしメイクの知識は全くなかったので、勉強の日々。こんな私でもこの仕事に就けているのは、先生方が丁寧に指導してくださったおかげです。メイクだけでなくカット技術も猛特訓し、幅広い知識や技術を身につけることができ、在学中に美容師資格を取得しました。
テレビ業界で求められるヘアメイクは、一辺倒ではありません。見た目が“美しい”というものだけではなく、ドラマだったらその役柄や場面にふさわしいヘアメイクが必要になるので、自分の中にたくさんの引き出しを用意しておかなくてはいけないと思っています。また、時間的な制約がある場合や、役者さんの負担を軽くするためにも、仕上げるスピードも重要です。撮影現場では、プロデューサーやディレクター、役者さん、カメラマンさん、大道具さんなど、たくさんの方々と連携を取りながら進めるため、現場でいま何が求められているのか、それに応える技術とニーズを的確に把握するコミュニケーション力を、もっと磨きたいと思っています。
(株)山田かつら 映像事業部 メイク部 フジテレビ 勤務/メイクアップ美容学科/2012年卒/岡山県出身。桂make-upデザイン専門学校ではメイクやネイル、着付けなどトータルに勉強し、撮影実習の授業でそれを活かすのが楽しかったそう。ブライダルにも興味があり、ブーケやリボンでモデルを華やかにし、フェイスペイントをして癒し系のフォトに仕上げた。テレビ業界の仕事を担う山田かつらに就職すると、サンリオピューロランドでパフォーマーのヘアメイクを担当。その後フジテレビでのデビューとなった。実家のご家族も、専門学校の後輩も土井さんが担当されたドラマを心待ちにし、より一層ドラマを観る楽しみが増えたそうだ。