私たちの研究室はお米の澱粉(でんぷん)に関する研究をしています。澱粉合成の基礎・応用研究、品種育成、販売普及まで幅広く取り組む世界的に珍しい研究室です。お米の澱粉合成に関わる酵素は10種類程度ありますが、研究を進めることで、特定の酵素が壊れたイネである「変異体米」の中には、普通のお米の澱粉とは異なる特徴的な機能性を持つ澱粉を合成するものがあることが分かってきました。私たちはこのことに注目し、食後の血糖値が上がりにくいなどの機能性を持つ「ダイエット米」と呼ばれるお米の研究に取り組んでいます。現在までに「あきたぱらり」「あきたさらり」「まんぷくすらり」の3品種の登録申請をしており、今後の普及を目指しています。私たちの取組みが稲作の衰退を食い止めるきっかけや、農家さんのやりがいに繋がると嬉しいです。
講義は「食料生産の将来展望」、「植物生理学」、「植物細胞学」などを担当し、ゼミでは澱粉合成機構の解明や新たな品種の実用化を目標に取り組んでいる。定期的にミーティングを実施し、研究室の全員が各自の研究の進行状況を報告。その際は自分以外の人に最低でも1つは質問をするように指導しているそう。「質問力も鍛え、それに対する答える力も鍛えることで、自分の研究だけでなく、他の学生の分野も理解できるようになってくれればいいなと思っています」と藤田先生は語る。
植物は地球を維持していくために必須の存在です。同時に地球環境の悪化が懸念される昨今、唯一、光合成が行える植物をうまく使うことで地球を守ることが可能です。澱粉は光合成産物の最たるものです。
1969年3月生まれ。専門は植物生理・遺伝学、澱粉科学、植物育種学。大阪女子大学学芸学部基礎理学科では動物に関することを学び、大阪府立大学大学院農学研究科園芸農学専攻博士課程で「植物特有の性質について研究したい」と澱粉について研究した。科学技術特別研究員を経て、秋田県立大学の助手・助教となり、2015年から現職。澱粉の基礎から応用、品種育成、ビジネスまで学べる唯一無二の研究室を作っている。