四季折々の食材を使って、素材本来の味を引き出す。それが日本料理ならではの魅力です。西洋料理はソースを加えて多層的な味をつくり出しますが、日本料理は昆布やカツオなどの出汁や素材そのものの旨味を引き出します。旬の食材を選ぶことはもちろんですが、夏には夏の季節感を伝える青い色合い、冬には赤や茶色を活かした盛り方を考えて、器やかいしき、あしらいを選びます。楓やイチョウ、松の葉など日本の四季を考えた美しい見た目も料理の大切な要素。日本料理は伝統や文化といった日本の良さを知る機会にもなります。「おもてなし」や「もったいない」精神を伝え、さりげなく食べやすいように提供する知恵が詰まっています。お箸を前提とし、お客様に合わせてあらかじめ食べやすい切り方にしたり、年齢に合わせた味付けを施すこともあります。
「うなぎの旬は冬」。意外に思うような発言が印象的な実習風景。学生たちは時折、名指しで質問もされる。返答に笑い声が上がり、緊張感のある面白い時間となる。「知らないことこそ教えてあげたい。京都や新地のお店、雑誌の流行など、常に勉強していますよ」と浅野先生は言う。「まずは包丁に慣れること。包丁を研いで、全ての基礎となる千切りやかつら剥きを1カ月半かけて練習します。両手と両目がそれぞれ異なる動きを同時にするうちに、今まで使っていなかった筋肉が鍛えられていきます」。日本料理人としての体が形作られていく。
若い頃は人前での発言や先頭に立って行動することは苦手でした。プロの料理人として働く中で、多くの人と出会って成長し、いつしか教える立場に。自信のない人こそ料理で変われると信じて、入学してきてほしいです。
専門分野:日本料理
調理の専門学校を卒業後、19歳から日本料理の世界へ。神戸や大阪の「ホテルニューオータニ」で修業を積み、さらに名古屋の料亭や兵庫のホテルなどで経験を積む。副料理長としても長く現場を仕切ってきた。現場で強い料理人を育てたいと、DAICHOの教員に。学生には「成功だけではなく、失敗も大切な経験。現場に先生はいないので、自分で考えて、行動ができるように在学中にトレーニングすること」と伝えている。