今やお菓子は「おいしい」が当たり前。私たちパティシエには、その先の、お客様がワクワクするデコレーションやSNSの発信を工夫し、背景にあるストーリーを語ることが、求められる時代になりました。特別講義では、例えばマカロンは、私とフランスシェフとの交流のきっかけとなった、思い入れのあるお菓子で、そんな想いを乗せたストーリーがお客様の期待にうまく重なったときのうれしさなど、私が日々商品開発に関わる中でのエピソードや想いも伝えたいと思います。
その中で「パティシエの仕事の魅力は、お客様を喜ばせること。その喜びは、同時に自分達の喜びでもある」ということを理解していただけたら。そんな喜びと感謝にあふれる仕事・パティシエになるための知識と力を私の授業で身につけていただけたら、私もうれしいですね。
業界の第一線で活躍されているパティシエが、学生に直接その技と心、成功体験を伝えるのが学校独自の「特別講義」です。駒居シェフには、お菓子の素材であるバターとアーモンドプードルについて教えていただきました。先生が勤めておられるアンリ・シャルパンティエ特製の発酵バターの食べ比べをはじめ、フィナンシェに使用した際のバターの風味の違い、さらにアーモンドプードルについては、その日に挽いたものと数日経ったものでは、風味の豊かさや香りの強さのレベルが違うことなど、さまざまなことを教えてきただきました。
この世界に入ったとき、私には知識も技術もありませんでした。当時の私にあったのは、素直さと元気とやる気でした。これからパティシエを目指す皆さんも、この3つを大切に持っていれば必ず夢を叶えられますよ。
専門:製菓
20歳の時、アンリ・シャルバンティエのフィナンシェに感銘を受け入社。現在は、トップパティシエとして、同社を世界で戦えるプランドに高めるため、日々商品開発に取り組んでいる。クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー第15回大会フランス本選銀賞、同大会国内予選アントルメ・ショコラ/アメ細工A部門金賞など、多数の受賞歴を誇る。