今話題のLGBTってなに?【映画で学ぶ!世界の今】
様々な社会課題に関連する映画を配給するユナイテッドピープルが映画で学べる世界のトレンドや知っておくべき現実について紹介するコラムです。
第1回 今話題のLGBTってなに?
© 2014 Day in Court
ここ最近テレビなどでぐっと認知度が高まっているLGBTって聞いたことはありますか? LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなど性的マイノリティー(少数派)を意味する頭字語です。昨年11月に渋谷区が同性カップルに対し全国初の「パートナーシップ証明書」を発行したことが大きなニュースになりましたね。電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、およそ13人に1人がLGBTとのことだから、LGBT人口は少なくないんです。(※1)
世界では同性婚が広がっている
世界のLGBT事情はどうなんでしょう? 実は、世界的なトレンドとして男性と男性、女性と女性の間でも結婚を認める動きが広がっています。アメリカでは2015年6月、連邦最高裁判所の判決によって、実質的に全米で同性婚が法的に認められるようになったんです。その背景には多くの人の想いと行動の歴史がありました。
その1つにアメリカ最大の州、カリフォルニア州で行われた同性婚裁判があります。カリフォルニア州では、2008年5月に同性婚が合法になりましたが、同年8月に同性婚を禁じる真逆の法案「提案8号」が住民投票で可決されました。この「提案8号」が認められないと、2組の同性カップルが裁判を起こしたんです。
© 2014 Day in Court
そんな彼ら4人と、彼らを支えた弁護士たちを5年にわたって追いかけ続けたドキュメンタリー映画『ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~』が2016年1月30日に劇場ロードショーとなります。
矢面に立ち、ヘイトスピーチ(差別的表現・言論)にさらされながらも、ありのままの自分で生きるため、愛するパートナーや家族のため、そして同じように苦しんでいる同志のために、闘い続けた彼らの姿をぜひ予告編でチェックしてください。
全米を揺るがした同性婚裁判は公民権運動を想起させる
歴史をさかのぼれば、過去にも彼らのように立ち上がった人々が存在しました。
1955年12月1日、ひとりのアフリカ系アメリカ人女性が、「変化」のための一歩を踏み出したんです。名前はローザ・パークス。彼女はその日、バスのなかで白人に席を譲ることを拒否し、逮捕されました。この事件は、その後、マーチン・ルーサー・キング牧師率いる公民権運動の、最初のきっかけになったと言われているんです。
今のアメリカでは、人種によってバスの座席が分離されていることなど考えられませんが、60年前までは白人席と黒人席に分離されていて、それが「あたりまえ」だったんですね。
新しい「あたりまえ」をつくるのは誰かの想い
歴史を紐とくと、同じように今の時代から考えれば「ありえない」ようなことが「常識」だった事例はたくさんあります。
日本にも、かつては「身分」が制度によって定められていた時代がありました。女性が参政権をもつようになったのも、それほど昔のことではないのです。「日本」や「日本国民」といった概念・意識も明治維新とともに育まれたものです。
「あたりまえ」が変化していった背景には、必ず、誰かの強い想いがあります。反発を受けることを覚悟し、勇気をもって声をあげ、行動した人たちがいます。多くの人の「おかしい」という疑問意識や「こうあってほしい」と願う想いが集まり、積み重なることで、かつての「常識」は崩れ、新しい時代が形づくられていくんです。
今、同じような変化が起き始めていることの1つに、同性婚があるのです。
引用文献
※1)電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」 http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0423-004032.html