学費のすべてがわかる!国公立・私立大学・専門学校の平均学費&奨学金完全ガイド【最新版】
学費とは、学習に必要な費用のこと。大学の学費の場合、入学料や授業料に加えて学校の施設・設備の維持管理費、実験や実習にまつわる費用などが含まれる。希望の進学を叶えるためには、学費についてきちんと知っておくことが重要!
ここでは、学費にまつわる大切な情報をまるっとまとめて紹介しよう。
目次
大学進学にかかる学費

大学進学にかかる学費とは、入学料、授業料、施設・設備の維持管理費、実験や実習にまつわる費用を指す。
進学にかかるお金としては、出願の時に納付する受験料や、入学後の生活費も必要となる。
入学する最初の年に支払う、入学料を含めた1年目の学費(初年度納付金)が最も大きな金額になるのが一般的。
進学する先によって必要となる学費が変わってくるので、自分が目指す進学先はどのくらいの学費がかかるか目安を調べておくと安心だ。
国公立大学の場合
大学4年間のトータルの学費の平均は、国立大学が「約243万円」、公立大学が「約255万円」。
国立大学や公立大学は、文科系・理科系を問わず、学費は基本的に同じというのが特徴。
そのため、特に理科系を志望する場合は、国公立大学のほうが私立大学に進学するよりも負担額が大きく抑えられる。
また、公立大学の場合は、大学が位置する地域の出身者に対して優遇制度が設けられているケースがあり、入学料が地域外出身者と比べて10万~20万円ほど安くなることも。
学費の一部は大学入学前に支払うことになるが、特に、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する場合は、より早いタイミングで納めることになるので注意しよう。
学費を支払う時期はいつ?入学料を含む1年目の学費は具体的にいくらくらい?など、もっと詳しい情報は以下のリンク先からチェック! ※出典
国立大学:文部科学省令による標準額。公立大学:文部科学省「平成30年度学生納付金調査」公立大学昼間部の平均額。入学料は地域外入学者の平均額(地域内入学者の入学料の平均額は230,347円)
※算出方法
入学金に初年度の授業料を4倍したものを足して算出
私立大学の場合
一般的に、国公立大学よりも学費の負担額が大きくなるのが私立大学だ。文科系・理科系・医歯系の違いによって学費が変わってくるので、自分が希望する系統の学費の目安を把握しておこう。
私立大学の4年間のトータルの学費の平均をみると、文科系が「約398万円」、理科系が「約542万円」、医歯系が「約2357万円」となる。
※出典
文部科学省「平成30年度入学者の初年度納付金の平均額の調査」
※算出方法
入学金に初年度の授業料、施設・設備費を4倍したものを足して算出
私立大学の学費は学部ごとに大きく異なる
私立大学の学費は、文科系・理科系・医歯系の違いだけでなく、系統内のどの学部に進学するかによっても支払う金額が変わってくる。つまり、同じ文科系・理科系・医歯系でも、学部によって学費に大きな差が出てくる場合があるんだ。
そこで知りたいのが、私立大学の学部ごとの学費の目安。
学費の相場の目安となるのが、初年度納付金と呼ばれる、入学する最初の年に支払う入学料を含めた1年目の学費だ。
例えば、私立大学の文科系の初年度納付金の平均額を見ると、文学部・教育学部は「約118万円」、法学部・商学部・経済学部は「約116万円」。
この2つにはそれほど学費の差がないものの、理系内では学部によって初年度納付金に約60万円の差があるので、あらかじめしっかり調べておこう。
以下の記事では、学部別の初年度納付金の平均額を公開しているので確認してほしい。 ※出典
私立大学:文部科学省「平成30年度入学者の初年度納付金の平均額の調査」
専門学校進学にかかる学費
専門学校進学にかかる学費とは、入学料、授業料、施設・設備の維持管理費、実験や実習にまつわる費用のこと。在学期間を2年間として計算すると、平均総額は220.1万円となる。
専門学校に進学するか、大学に進学するか迷っている人は、学費の違いも気になるところ。
専門学校の「初年度納付金」の平均総額は125.5万円で、国立大学の81.7万円、私立文系大学の116.7万円より高いという結果に。
一方、私立理系大学の154.4万円、私立医科歯科大学の482.2万円と比べると安いということがわかった。
専門学校と大学を比較して、どちらが高い安いなどいうことは一概には言えないようだ。
※出典
初年度納付金:「令和2年度 学生・生徒納付金調査」すべて昼間部、千円以下四捨五入(東京都専修学校各種学校協会調査研究事業部)
在学期間合計:入学金に初年度の授業料、設備費、実習費、その他を2倍したものを足して算出
専門学校の学費は設備費や実習費などで差がでる
専門学校の学費は、施設・設備にまつわる費用、実験・実習に関する費用、修業年数などの違いが、かかる費用の違いに直結するため、学ぶ分野によってトータルの学費が大きく変わってくる。例えば、実習が多く、実習に必要な設備や機材にお金がかかる分野の学費は、施設・設備費や実験・実習費が高めに設定されることが多い。
そのため、「工業関係(ゲーム・CG)」「医療関係」「衛生関係(栄養、調理)(製菓)」などは初年度納付金が高い傾向にある。
以下の記事では、学費の目安となる初年度納付金の平均額を分野別に紹介!
目指す分野の学費の目安を把握しよう。
学費以外でかかるお金
学校の入学料、授業料、施設・設備の維持管理費、実験・実習費といった学費のほか、進学するにあたって発生するお金もある。意外と見落としがちなものもあるので、確認しておこう。
◆受験料
大学や専門学校への進学にかかるお金として必要となるのが、受験料だ。
金額は学校や学部・学科によって異なるが、1校あたり1万~3万円ほどはみておきたい。
私立大学なら3万5000円程度と考えよう。
複数校を受験する場合は数十万かかることになるので、受験したい学校や学部・学科の受験料も事前に確認しておくと安心だ。
※出典
スタディサプリ編集部調べ
◆教科書&参考書代
これも学校や学部・学科によって異なるが、年間で数万円はかかると思っておくといいだろう。
◆交通費
入学後、大学や専門学校までどうやって通うかも考えておこう。
距離によるが、ある程度の距離を電車やバスで通学する場合、半年で数万円の出費になることも。
通学定期を1カ月ごと買うのではなく、半年分まとめて購入すると割引率が高くなるので、学校に通う日数に合わせておトクになる購入方法を調べてみるのがおすすめ。
◆生活準備・生活費
学校が遠方にあって自宅から通うことが難しい場合、アパートでの一人暮らしや下宿、学生寮への入寮をすることになり、自宅生よりも負担が大きくなる。
まず、準備費用としてアパートの敷金・礼金、家電・生活用品の購入費、引っ越し代などがかかるが、自宅外通学を始めるための費用は、入学者1人あたり平均で「39万1000円」となっている。
さらに、アパートなどの家賃や食費も毎月必要だ。
私立大学に下宿先・アパートから通う学生は、自宅生よりも年間の学生生活費(学費+生活費の合計)が「51万円」高いという調査結果もある。
また、自宅外通学生への仕送り額は、年間平均で「102万3000円」。
これは、ひと月あたり「8万5000円」という計算になる。
※出典
日本政策金融公庫「令和2年教育費負担の実態調査結果」
日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査」
◆その他
入学式に着るスーツ・靴・鞄、パソコンなどを購入する場合は、10万~30万円程度のまとまった出費が発生することも覚えておこう。

学費の不安を解消する方法
あれこれお金がかかることがわかり、「お金がないので負担を減らしたい」「なるべく自分で支払っていきたい」と考えるなら、支援制度などの活用を検討してみよう。
ここでは奨学金制度と教育ローンを紹介。
「大学の無償化」という話を聞いたことがある人もいるかもしれないが、特に奨学金については国の「高等教育の修学支援新制度」が始まり、返還の必要がない「給付型」の対象が大幅に広がっている。
2020年4月の新制度のスタート以降、頻繁に制度の改正が行われ対象が拡大しているので、「本当は利用できたのに知らなかった」となるのはもったいない!
情報収集をして、自分が支援の対象になるかを確認してみてほしい。
奨学金制度を利用する
奨学金制度とは、学習意欲のある学生が経済的な理由などで進学をあきらめなくてもいいように支援してくれる制度のこと。日本の学生の約2人に1人が使っているほど、身近な制度として定着している。
日本の多くの学生が利用する「日本学生支援機構(JASSO)」のほか、地方公共団体や学校、企業などによるさまざまな種類の奨学金制度がある。
JASSOの奨学金を例に紹介すると、利用できるのは大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に進学予定、もしくは在学中の学生。
大きく分けて、返還の必要がない「給付型」と卒業後に返還が必要となる「貸与型」(利子ありor利子なし)があり、それぞれで利用できる人の条件が異なる。
給付型か貸与型かなど、条件によっていくら借りられる(もらえる)かが変わってくるのでひとことでは言えないが、ざっくり言うと月額数万円前後~10万円前後のイメージだ。
以下の記事では、奨学金の詳しい解説のほか、「奨学金に申し込めるか」「いくら借りられるのか」といった目安を知ることができるJASSOの「進学資金シミュレーター」も紹介!
さっそく確認してみてほしい。 専門学校も大学などと同様に奨学金の利用は可能なことが多い。
JASSOの奨学金を利用する場合は専門学校ならではの注意点もあるので、以下のリンク先をチェックしておこう。
教育ローンを利用してもらう
初年度納付金と呼ばれる入学1年目に支払う学費の納付締め切りは入学前。JASSOの奨学金の給付や貸与がスタートするのは入学後のため、入学前に必要となる費用が心配な場合は、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の利用を検討しよう。
「国の教育ローン」は子どもの保護者が利用者となり、返済も保護者が行うのが基本。
融資を受けられるのは、世帯年収あるいは世帯所得が一定額を下回る世帯で、融資限度額は、進学・在学する子ども1人あたり原則として350万円までとなっている。
「国の教育ローン」を利用する上で知っておきたい具体的な利用条件やメリットとデメリットは、以下の記事で確認してほしい。
学費について保護者と確認するべきこと
大学や専門学校への進学にあたってまとまったお金が必要になるからこそ、経済的な心配は事前にきちんと解消しておきたいところ。まずは、進学にかかる総額の目安や、奨学金など利用できる制度について保護者と確認してみて。
その上でどの選択肢がベストかなど、早いうちから話をしておこう。
お金のことは話し出しにくいという人は、保護者に「こんな記事があったよ」と以下の記事を見せて話のきっかけをつくるのもおすすめ!
学費の不安を解消し、夢への一歩を踏み出そう
学費について知ることも進学準備で大切なこと。「進学にはお金がかかる」と漠然とした不安をもっている人もいるかもしれないけれど、学費の目安や奨学金などの支援制度をきちんと知ることで、先を見通すことができて不安も解消されるはず。
まずは自分に必要となる情報をしっかりと調べてみよう。
文/ミューズ・コミュニティー 構成/寺崎彩乃(本誌)