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偏差値って結局なに? 改めて考えてみよう!

偏差値って結局なに? 改めて考えてみよう!

模擬試験を受けるたびに算出される偏差値。
 
自分の偏差値が高いのか低いのか、上がっているのか下がっているのか、毎回気にしている高校生も多いはず。
 
志望校の偏差値と比較してどのくらい差があるのかということも受験生にとっては大きな問題だろう。
 
しかし、「そもそも偏差値ってどういう数字なんだっけ?」と改めて考えると、パッと答えが出てくる人はそれほど多くないのでは?
 
そこで、河合塾 教育コンテンツ本部 教育情報部 部長の富沢弘和さんに「偏差値とは何か?」について話を聞いてみた!

お話を聞いた人:富沢弘和さん
1994年4月 河合塾入塾。
校舎スタッフ・模試作成部門を経て、1998年より教育情報部門に携わる。長年にわたり全統模試のデータを基にした大学入試動向分析、進学情報誌「ガイドライン」「栄冠めざして」などの編集を担当。2016年4月より現職。進学情報分析・発信の統括とともに生徒、保護者対象の講演も多数実施。

 


 

偏差値は「母集団の中での位置づけ」を示す数字

偏差値とは、一言で言えば、母集団の中での位置づけをわかりやすく示すものです。

と富沢さん。
 
そう聞いて、「得点や順位でも自分の位置づけはわかりそうだけど」と思う人もいるかもしれない。
 
しかし、実はそうともいえないのだ。
 
得点は、テストの結果として、偏差値よりも一見してわかりやすい。
 
100点満点で80点を取れれば、「良い点を取れた!」とよろこぶ人も多いはず。
 
ただし、もしこれが平均点85点で100点満点の人もたくさんいる試験だったとしたらどうだろう?
 
80点は決して優秀な数字とはいえない。
 
つまり、得点だけでは、試験を受けた母集団の中での自分の位置づけを把握することは難しいのだ。
 
そもそも偏差値ってどういう数字

※偏差値は「母集団の中での位置づけ」を示す数字

 
では、平均点と自分の得点を比較してみた場合はどうだろう?
 
単に自分の得点だけをみるよりは、母集団の中での位置づけはなんとなくわかる。
 
平均点が60点の試験で80点を取れたなら、「受験した人の中でも上のほうなんじゃないかな」という見当はつくだろう。
 
ただし、それだけでは、正しい位置づけまではわからない。
 
90点台の人もそこそこいる場合もあれば、80点が最高得点という場合だってあるからだ。
 
順位が出るテストだったら、単純に自分が何位だったかをみれば、母集団の中での位置づけはつかめそうだ。
 
ただし、「前回は120人が受験して65位、今回は105人が受験して58位」というとき、母集団の中での位置づけが上がったのかどうかは、順位だけでは把握しにくい。
 
そのつど、試験を受けた人数と自分の順位を比較して計算する必要がある。
 
そこで、便利な数字として使われるのが偏差値というわけだ。
 

偏差値70をとれる人は44人に1人!

偏差値とは、全体の平均値を50として、全体の中でどれくらいの位置にいるのかを表した値。
 
模擬試験では、偏差値50がちょうど受験者の平均点となり、平均点から離れて点数が高くなるほど偏差値は上がり、逆に平均点よりも低くなるほど偏差値も下がる。
 
その計算方法は次のとおり。
 
偏差値の計算方法

※偏差値の計算式

 
ただし、「標準偏差って何?」という人も多いだろうし、そもそも自分で偏差値を計算することも実際にはないだろうから、上の計算式は理解できなくてもOK。
 
要するに該当するテストの点数の分布と本人の得点を統計的に計算して弾き出される数値ということだ。
 
なお、テストの点数というのは、だいたい以下のような形で分布する。
 
正規分布

※テストの得点分布のイメージ(正規分布)

 
この山が高い場合もあれば、低くなだらかな場合もあるが、だいたいはこのような釣り鐘型の分布になる(ちなみにこのような分布を「正規分布」という)。
 
自分がこの山のどこに位置しているかがわかるのが偏差値なのだ。
 
その数値をどうみればいいかは以下の表をみるとわかりやすい。
 
偏差値の見方

※偏差値と母集団に占める割合

 
例えば、偏差値70は2.28%だから、44人に1人という計算になる。
 
この偏差値と、母集団に占める割合を把握しておけば、自分の偏差値のもつ意味もより理解しやすくなるはずだ。
 

偏差値をみるときは模試の種類や実施する予備校・会社の違いも考慮しよう

なお、偏差値をみるときに注意しなくてはいけないのは、あくまで同じテストを受けた母集団の中での位置づけだということ。
 

模試には40万人規模が受験するものもあれば、『東大模試』のように特定の大学にターゲットを絞ったものもあります。当然受験する母集団に違いがあるので、偏差値も違ってきます。

つまり、40万人規模の全国模試で偏差値65だった人が、東大模試では偏差値45ということもありえる。
 
全国模試は幅広い学力の人が受験するが、東大模試は東大を目指すような学力の高い人たちが受験するため、母集団の平均レベルが違うからだ。
 
その場合、この2つの偏差値を比較することにはあまり意味がない。
 
そもそも偏差値ってどういう数字

※偏差値は試験の母集団によっても変わる

 
また、模試を実施する予備校・会社によって偏差値が違うということもよくある。
 

これも同じ理屈ですね。各模試によって受験する母集団の層に違いがあるので、それによって偏差値も変わってきます。

例えば「A予備校の模試で偏差値60だったのに、その直後に受けたB社の模試では63だった」という場合、それだけで単純に短期間に力がついたと考えるのは早計ということになる。
 

志望校の合格可能性評価にも偏差値が利用される

模試では、志望校の合格可能性評価はA~Eなどの段階に分けて行われる。
 
これは模試を実施する予備校や会社が、各大学・学部(学科)の難易度を過去の模試受験者の合否データなどを基に偏差値や得点で設定して、受験生の模試成績と比較して行われる。
 
受験生にとって最も気になるのはこの合格可能性評価だろう。
 
河合塾の高3・卒生向けに実施する全統マーク模試や全統記述模試の合格可能性評価では、A判定が合格可能性80%以上、B判定が65%、C判定が50%、D判定が35%、E判定が20%未満となっている。
 
また、各大学・学部(学科)の難易度は、合格者数と不合格者数がおおよそ半々となるであろう偏差値帯で設定されている。
 
偏差値帯は2.5ピッチ単位で予測されており、受験生の成績がその偏差値帯に当てはまれば、模試ではC判定(合格可能性50%)となるしくみだ。
 
例えば、○○大学の難易度が偏差値50.0~52.4(表記上は下限値の偏差値50.0とされている)となっていたとして、全統マーク模試や全統記述模試でこの偏差値帯に当てはまる成績をとったとしよう。
 
その場合、○○大学の合格可能性は50%(評価はC判定)となる。
 
そもそも偏差値ってどういう数字

※合格判定も偏差値が利用されている

 
ただし、会社によっては、こうした各大学の難易度を示す偏差値が合格可能性60%だったり、偏差値1ピッチ単位で難易度が設定されていたりと、その偏差値の意味合いや設定方法は異なっているので注意したい。
 
また、河合塾では、志望校の科目や配点を加味して、難易度に用いる偏差値や受験生の評価用成績を出しているが、会社によっては一律同じ科目や配点を用いて算出している場合もある。
 
算出方法は、模試ごとに配られる資料などに記載されているので、しっかりチェックしておくといいだろう。
 

予備校や会社によって判定方法や難易度の設定方法には違いがありますが、河合塾では、偏差値が2.5上がると判定のランクが一つ上がります。

大規模な模試の場合、自分と同じような偏差値の人も大量にいるわけで、偏差値が1、2上がるだけでも、実は多くの受験生を抜いていることになる。
 
3も上がれば合格可能性評価も変わってくるわけで、受験生にとって、この小さな数字の違いがもつ意味はやはり大きい。
 

偏差値が横ばいでも決して力がついていないわけではない

ただし、いくら偏差値が大事だからといって、模試のたびにその数字に一喜一憂して振り回されるのも考えもの。
 
そこで、偏差値の正しい見方を富沢さんに教えてもらおう。
 

まず認識してほしいのは、合格可能性評価も含めて、偏差値は、あくまで志望校との現段階での距離を示すものだということ。そこから努力をすれば、偏差値も上がりますし、合格可能性評価も上がります。D判定、E判定だったからといって、志望校をあきらめる必要はありません。

 
また、同じ予備校・会社の同じような種類・規模の模試であれば、毎回母集団のレベルが大きく変わることはない。
 
このような模試を複数回受験する場合は、点ではなく線で偏差値の推移をみることが大事だという。
 

その際、偏差値に変化がないことは、決して自分の学力が上がっていないという意味ではありません。特に高3の時期は、全体のレベルがどんどん上がっていきますから、偏差値を横ばいにキープできているということは、自分も力をつけているということなんです。決して『これだけ勉強しているのに何で…』と自信を失う必要はありません。

※勉強しているのに偏差値が上がらない、と自信を失う必要はない

 

偏差値が変動したときに大切なのは、その原因の分析

最後に、偏差値をどう活用すればいいのかも聞いてみよう。
 

大切なのは、偏差値が上がったり、下がったりしたとき、『なぜそうなったのか』をしっかり分析することです。

 
例えば、「前回の模試では、たまたま苦手分野の出題が少なく、得意分野が多かったから結果が良かったが、今回は苦手分野の出題が多かったので、得点も偏差値も下がった」という分析ができれば、偏差値の変化は本人の得意・苦手のせいということになる。
 
苦手分野を克服しない限り、今後も偏差値にムラが出続けるはずで、いかに苦手分野を克服するかという課題がはっきり見えてくる。
 
あるいは、前回は得点できなかった分野で今回は得点できたために偏差値が上がったということであれば、その分、力がついたと考えていいだろう。
 
また、偏差値は全科目を総合したもののほか、科目ごとにも出される。
 
苦手科目や成績にムラがある科目などを把握するのにも有効だ。
 

繰り返しますが、偏差値はあくまで現時点での自分の位置づけを示す数字です。上がればよろこび、下がれば落ち込むのはしかたないことでしょうが、それで終わるのではなく、偏差値をきっかけに試験内容をしっかり振り返り、受験勉強に生かすことが何より大切です。

 
なお、偏差値が大きな意味をもつのは、母集団が大きい大規模な模試。
 
各大学別対策の模試の場合には、偏差値よりも得点をみたほうがわかりやすい。
 

大学別の模試は、その大学の出題傾向やレベルを踏まえて作成されています。また、各大学が合格最低点を公表していますから、シンプルにその点数を超えられたかどうか、何点くらい足りなかったかをみたほうが、より参考にできるはずです。

 
偏差値って何?

※偏差値はあくまでも「現時点での目安」

 
偏差値は受験生にとっては当然気になる数字ではあるものの、一方で、「あくまで現時点での目安」として割り切ってとらえる冷静さも必要。
 
大切なのは、偏差値をきっかけに模試の結果をしっかり分析して、受験勉強に生かしていくことだ。
 
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伊藤敬太郎 ライター

伊藤敬太郎

Webサイト、情報誌、メルマガなどで、教育、資格、キャリア、ビジネスといった分野を中心に活動。これまでに執筆した主な媒体は『キャリアガイダンス』『社会人・学生のための大学&大学院選び』『リクナビNEXT』『仕事の教室ビーカム』など。

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