コクヨ「スタディプランナー」開発者に聞いた! 三日坊主にならないための目標・計画の立て方

定期テストや模試に向けて目標を決めて勉強の計画を立てたけれど、計画どおりにできなくてあきらめてしまった…そんな経験がある人も多いのでは?

そこで、勉強のスケジュールを立てられるノート「キャンパス スタディプランナー」の開発に携わるコクヨ株式会社の社員のみなさんに、3日坊主にならないための目標・計画の立て方を聞いてみた!

「やる気が続かない」「計画に無理があった」など、高校生309人へのアンケートからわかった「計画が続かないとき」の対処法についてもアドバイスをもらったよ!

今回教えてくれたのは

コクヨ株式会社 岩岡里緒さん
ステーショナリー事業本部 ノート本部 ノート開発部。2020年6月発売の「キャンパス スタディプランナー」2ウィークス罫の企画を担当。



コクヨ株式会社 小島万実さん
ステーショナリー事業本部 プロモーション推進部。インスタグラム「コクヨのぶんぐ@勉強垢」の運営を担当。

コクヨ株式会社 吉村茉莉さん
ステーショナリー事業本部 プロモーション推進部。コクヨの文房具の広報を担当。

高校生みんなの、目標を立てた経験は? 目標はどのくらい続いた?

まずは、高校生のみんなにどれくらい目標を立てた経験があるか、309人へのアンケート結果から見てみよう。

約85%が高校入学後に目標を立てた経験あり!

コクヨ「スタディプランナー」開発者に聞いた! 三日坊主にならないための目標・計画の立て方
高校生になってから、勉強やそれ以外のことについて、何かしら目標を立てたことが「ある」と答えた人は85.4%。8割を超える人が目標を立てて頑張った経験があるんだね。

立てた目標として一番多かったのは、「勉強」に関するもので、目標を立てたことがある人のうち81.4%が立てていた(n=264、複数回答)。

次に続いたのは、「ダイエット」(36.0%)、「運動」(29.5%)。ほかにも「部活動」「趣味」などが挙がっていたよ。

勉強の目標は、約半数が1カ月未満で終了していた!

コクヨ「スタディプランナー」開発者に聞いた! 三日坊主にならないための目標・計画の立て方

勉強に関する目標を立てたことがある人に、その目標がどれくらい続いた(または続いている)のか尋ねたところ、およそ半数にあたる52.1%が「1カ月未満」という結果に。

「1カ月〜3カ月未満」の人と合わせると、66.5%が3カ月未満で目標を終えていた。

3カ月以上続けられる人はそう多くないようだ。

勉強の目標が続かない原因は?

3日坊主にならないための目標の立て方
せっかく立てた目標が長く続かない原因はどこにあるんだろう?

勉強に関して立てた目標が1カ月続かなかった人に、「なぜ続かなかったと思うか?」と尋ねたところ、「計画に無理があった」「やる気が続かない」など、さまざまな理由が。
【REAL VOICE】

●計画が具体的でなかった
「目標は立てたけど、達成に向けて具体的に何をするか決めていなかったから」(MONO・宮城県)
「もう少し詳しい計画を立てないと理由をつけてサボってしまうから」(佐藤・大阪府)

●計画に無理があった
「自分に合わないハードな計画だったから」(はる・大阪府)

●ほかのこととの両立が難しかった
「他のことで忙しくなってしまったから」(るーたんたんめん・東京都)
「部活動との両立に強く疲労感を感じたため」(AH・富山県)

●結果が出ない
「成績が思うように上がらなかったから」(リョウヤ・大阪府)

●やる気が続かない
「途中でやる気がなくなってしまう」(ありす・大阪府)
「目標が長期的なもので、達成感を得る前に飽きてしまった」(クラゲ・福岡県)

●集中できない・誘惑に負けてしまう
「家に帰ると集中して勉強できないから」(A・岐阜県)
「どうしてもスマホを触ってしまって勉強机に向かう気になれなかったから」(まったゃ・岐阜県)

コクヨのみなさんに聞いた、目標&計画を立てるコツ

では、どうすれば実行できる計画を立てられるのか、計画倒れの原因ごとに、コクヨの岩岡さんと小島さん、吉村さんにコツを教えてもらったよ。

そもそも、目標はなぜ必要?

3日坊主にならないための目標の立て方

「計画を続けるには『何のために勉強するのか』を忘れないことが大事」と岩岡さん。

「何のために勉強するのか」にあたるのが目標だ。
「例えば、定期テストまで時間が限られる中、効率的に勉強しないといけないとします。その際、『今回のテストで自分はどうなりたいか?』が想像できていないと、何を優先して勉強すべきかわからないですよね?

『苦手な数学を克服して点をとりたい』『苦手だけど基礎的な問題だけは点をとりたい』など、なりたい自分像がはっきりしていれば、やるべきことが明確になります。

そうやって、目標を立てることで『なりたい自分』を具体的にイメージしたうえで、『なりたい自分』になるために今から何をすべきかを考える。それが、目標と、それを実現するための計画を立てるということです」(岩岡さん)

「計画が具体的でなかった」「計画の立て方がわからない」という場合は?

では、どういうふうに計画を立てるといいんだろう?

「計画を立てるには、自分が何にどれだけ時間がかかるかを把握することが重要」と岩岡さんは話す。
「計画を立てるのが苦手な場合は、まずは『今日、何する?』から考えて、1日勉強したあとに『今日はこれだけ進んだけど、このペースで1週間、2週間と勉強したらどれだけできるか?間に合うか?』とうふうに、1日勉強してみたうえで、その進み具合に合った計画を立てるといいと思います。

できれば、『計画を立てて勉強しなきゃ』という状況になる前に、毎日、その日やった勉強とかかった時間を記録しておくといいと思います。そうすれば、何にどれくらい時間がかかるかが把握できて、いざ計画を立てるときに生かせます」(岩岡さん)

「インスタグラム『コクヨのぶんぐ@勉強垢』のフォロワーさんたちに計画の立て方を尋ねると、次のような声があがってきました。

●最初は、メモ程度の最低限の計画しか立てない

●計画どおりにこなせないことを想定し、できなかったことを調整する日を設けておく

●やるべきことを全部書き出しはするけれど、項目ごとに優先順位をつけて『今日はこれだけは絶対に終わらせる』と決める


そうやって、まずは自分に無理のない方法で計画を立てるといいと思います」(小島さん)

「計画に無理があった」場合は?


「計画に無理があった」という場合、どうすれば改善できるだろうか? 

岩岡さんは「これも、自分が何にどれくらい時間がかかるかを把握したうえで計画を立てるのがポイント」と教えてくれた。
「計画倒れは、多くの場合、見積もりの甘さに原因があります。どんな勉強にどのくらい時間がかかるかが想定できず、なんとなくの予想で計画を立ててしまうんですね。

なので、自分がどんな勉強にどのくらい時間がかかるか把握できていない場合は、まずは問題集などを数ページ解いてみて、かかる時間を把握したうえで計画を立てましょう。

そして、立てた計画で1日勉強してみて、続けられるかどうか振り返ります。もし見積もりが甘かったと感じたなら、今後は勉強の予定を1つこなすのに、今計画している時間の2倍くらいはかかると思って計画を見直しましょう。

そうすると、心にも体にも余裕が出て順調にこなせると思います」(岩岡さん)
「うまくいってないな…」と感じたとき、どのタイミングで計画を見直すといいんだろう?

岩岡さんは「気づいたらすぐに」とアドバイスをくれたよ。
「うまくいっていないと感じたらすぐに見直すべきです。1日勉強して、計画を修正して、次の日は計画どおり進められて…と、成功体験を積み重ねられれば、効率よく計画が立てられるようになると思います」(岩岡さん)
「インスタをフォローしてくれている学生さんの声を聞くと、計画の振り返りや見直しは、うまくいっているときにも有効なようです。『やるべきことをこれだけ終わらせられたんだ』『これだけ勉強したんだ』と実感できて、モチベーションが上がるという声を聞きます」(小島さん)

「ほかのこととの両立が難しい」場合は?

3日坊主にならないための目標の立て方
勉強と部活、勉強と趣味など、勉強のほかに頑張っていることがあると、両立が難しいと感じることも。その場合「勉強以外の予定も組み込んで計画を立てるのがコツ」と岩岡さん。

「例えば、『部活のない日は16時から、ある日は21時から勉強できる』などと、1日1日、どのくらいの時間勉強できるのかを把握して計画を立てましょう。時間が足りないようなら、もっと早い段階からテスト勉強を始める、土日にいつもより早く起きて勉強する、普段の授業の予習・復習をまじめにやる、など、足りない時間を補う方法を考えます。こうやって考えるのも計画の1つです」(岩岡さん)

「あとは、余裕を持った計画を立てるのもポイントです。そうすれば、疲れて計画どおりに勉強できなかった日があっても調整できます」(小島さん)

「結果が出ない」という場合は?

3日坊主にならないための目標の立て方
計画を立てて勉強しても結果に表れない場合、どのように計画を見直すといいんだろう?
「まずは、なぜ結果が出なかったのかを振り返って分析する必要があります。

『立てた計画どおりに勉強できなかった』という場合は計画の内容に、『計画どおりに勉強できたけれど、結果が伴わなかった』という場合は勉強の仕方に原因があるので、それぞれ改善するものが異なります。

そうやって『テストの2週間前から始めて結果が出なかったので、次は3週間前から始めよう』『今回は思ったより数学の勉強に時間がかかったから、これからは普段の勉強の予習・復習を今までよりも頑張ろう』などと、原因を分析して、次の計画に反映していけば、結果につながっていくと思います」(岩岡さん)

「やる気が続かない」場合は?


せっかく計画を立てたのにやる気が続かないとき、どうすればやる気を維持できるんだろう?

小島さんが、「コクヨのぶんぐ@勉強垢」のフォロワーが実践しているモチベーション維持法を教えてくれた。
「フォロワーさんの対処法として多く挙がっていたのは次の2つです。

●勉強した時間を毎日記録して、友達と競い合う
●苦手な科目と好きな科目を織り混ぜて計画を立てる


あとは、計画を立てる日を決めて、その日にまとめて1週間分立てるなど、ルーティンに組み込むことも計画立てが続くコツになると思います。

また、計画を立てるハードルを上げすぎないこと。最初から細かく計画を立てるのではなく、やることを箇条書きで書き出すなど、できることから始めるといいと思います」(小島さん)

「集中できない」「誘惑に負けてしまう」場合は?

3日坊主にならないための目標の立て方
「なりたい自分をできるだけ具体的に想像する」「短時間集中するところから始める」「SNSなどを使って誰かと一緒に勉強する」などの方法を教えてもらったよ。
「『集中できない』『誘惑に負けてしまう』のは、厳しい言い方をしますが、勉強することによるメリットをうまく想像できていないからじゃないでしょうか?

例えば、『テストでいい点をとってほめられたい』だと、誘惑に負けてしまうかもしれませんが、『テストでいい点をとって成績を上げて、大学の推薦をもらう』など具体的なところまで想像できていると、やる気もみなぎるし、やらないといけないと思えるようになると思います」(岩岡さん)
「集中が続かない場合、最初から長時間集中することを目指すのではなく、タイマーを設定して10分か15分集中したら一息つく、ということを繰り返すことから始めるといいと思います。

時間が来ても集中が続くようならそのまま続けてもいいし、続かなそうならタイマーが鳴ったところで一息入れる。そうすると、すっと取り掛かれるように思います」(吉村さん)
「YouTubeの勉強動画や作業動画を流しっぱなしにしたり、友達とLINE通話をつなげっぱなしにしたりして勉強する、インスタライブでだれかと一緒に勉強する、という方法をとっている学生さんもいるようです。

だれかと一緒に勉強すると、サボれない緊張感で勉強がはかどるようですね」(小島さん)

まとめ:3日坊主にならない、計画の立て方のポイント

今回の計画の立て方は、勉強だけでなく、ダイエットや運動、部活、趣味などにも生かせそうだね。

最後にあらためて、計画の立て方のポイントをまとめるよ。

次の5つのポイントを意識して、目標と計画を立ててみよう!
1.「何のために勉強するのか」目標を明確にする
2. 自分ができる量・時間を把握したうえで計画を立てる
3. 計画には、うまくいかなかったときに調整できる時間をもうける
4. 計画どおりにいかないときは、すぐに計画を見直す
5. 計画を立てるのが苦手な人は、まずはその日やることを決めて、できた量・時間をもとに計画を立てる
計画を立てるのが苦手、計画が続かないという人はスタディプランナーなど、書き込むだけでスケジュールが立てられるノートも試してみよう!

3日坊主にならないための目標の立て方
★★スタディプランナーとは?★★
今回取材に協力してくれたコクヨのみなさんが目標を立てるみんなのために開発した勉強のスケジュールが立てられる、キャンパス スタディプランナー。1日1ページのデイリー罫、見開き1週間のウィークリー罫など種類もさまざま。

取材協力/コクヨ株式会社  文/浅田 夕香 構成/黒川 安弥(本誌)