模試の復習方法|効果的なタイミングと復習の4STEP・教科別勉強法
受験期になると、模試を受ける回数がぐっと増えるよね。学校や塾の先生からは「模試を受けたら復習しろ!」と口を酸っぱく言われるけど、正直なところ、「どう復習するのが一番効果的なんだろう?」「どれくらい時間をかけたらいいんだろう?」と疑問に思うことも多いんじゃないかな。そこで、この記事では「模試の復習」にテーマを絞って、復習のメリットと、成績アップにつながる効果的なやり方をわかりやすく解説していくよ!
気になるところから読んでOK!あとで見返せるように、お気に入りに入れておこう。
目次

みおりんさん
2019年、東京大学法学部卒業。そのあと、IT企業に就職するが2020年に独立。勉強法デザイナーとして、自身の経験をもとにリアルに役立つ勉強法などをSNSで発信するほか、文房具のプロデュース、講演活動や書籍の執筆など、幅広く活躍している。
模試の復習はした方がいい?効果と重要性
なぜ、模試の復習を絶対にやるべきなのか、まずは、模試を復習することのメリットについて、みおりんさんのお話を聞いてみよう!
「でも、復習って時間がかかるし…」と、なかなか手がつけられない人もいるかもしれません。ですが、模試の復習にはしっかり時間をかけて大丈夫です。「自分の苦手を明確にする→克服する」というサイクルは、受験勉強においてとても効率的な「近道」になります。だから、ほかの勉強を後回しにしてでも取り組む価値があります。
ただし、ダラダラやり続けるのはよくないので、時間の目安を決めておきましょう。おすすめは試験の日数と同じか、それに+1日程度。たとえば、1日の模試なら1〜2日、2日間の模試なら2〜3日かけてOKです。もし「まとまった時間が取れない!」という場合は、毎日少しずつ小分けにしても大丈夫。焦らず、でも確実に復習を進めていきましょう!(みおりんさん)
苦手科目・弱点が克服できる
そもそも模試は、大手の予備校などが研究を重ね、最新のトレンドも押さえて作り上げた本番さながらのテスト。単元の範囲もまんべんなく出題されていますし、ちゃんと理解していないと解けない良問ばかり。つまり、勉強不足なところがあれば、それが如実に点数になって表れてきます。
模試で点数が取れなかった分野には「理解が甘い」「知識不足」など、間違えてしまった原因が必ずどこかにあります。その原因を特定することこそが、模試復習の効果を高める一番のポイントになってきます。(みおりんさん)
出題方法が変わっても対応できる
ですから、間違えた問題を復習するのはもちろん、合っていた問題の解答解説までちゃんと読み込んでみてください。そうすることで、模試復習の効果はさらに高まります。(みおりんさん)
学習戦略が組み直せる
限られた時間の中で、すべてを完璧にするのは難しいので、「どこを勉強すれば点数がアップするか」という学習戦略は、受験勉強をする際には常に意識して勉強するようにしましょう。(みおりんさん)
模試の復習はいつやる?
みおりんさんいわく、ベストタイミングは当日〜翌日!解答解説冊子が当日に配られなかった場合は、冊子がもらえた日でもかまわないそう。ただし、その場合でも「模試を受けて気づいたことメモは、必ず当日にやってほしい」という答えが返ってきた。それぞれ、なぜそのタイミングがベストなのか、詳しくみおりんさんに聞いてみたよ!
ベストタイミングは当日〜翌日!
ただ、復習方法として解答解説冊子を読むことも大事。なので、解答解説冊子が配られた日になってしまっても仕方ないケースもあります。後述する4つのステップのうち、1〜3の振り返りは、当日のうちに終わらせるつもりでやるのがおすすめです。(みおりんさん)
勉強とは別に、振り返りメモも残しておく
こういった気づきを書き出しておくと、今後の勉強計画を練り直すことができますし、試験当日の過ごし方も本番に確実に生かせるようになります。
そして、時間が経つほど細かいことは忘れてしまうので、気づいたことを書き出す作業は、必ず試験を受けた当日にやるようにしてくださいね!(みおりんさん)
模試の復習方法 4STEP
- STEP.1 自己採点
- STEP.2 解答解説の読み込み
- STEP.3 間違いの原因を突き止める
- STEP.4 教科別の細かな振り返り
大まかな流れとしては、理想のタイミングである当日〜翌日の振り返りでは、STEP1〜3に絞って全教科の振り返りを行う。その上で、教科別の細かな振り返りはしっかりと時間を確保し、数日かけて復習していく。それぞれのSTEPでの振り返り方法についても、みおりんさんに詳しく教えてもらったよ。
STEP.1 自己採点
記述式の問題の自己採点をするときは、解答解説冊子の模範解答を見て、「自分が書けた」と思う要素に赤線を、逆に「この要素は書けていなかった」という箇所には青線を引いてみましょう。こうすることで、記述問題であってもある程度正確に自己採点をすることができます。「模試の復習は、当日がベストタイミング」というのは、こうした記述式の解答を、記憶が鮮明なうちに正確に思い出すためでもあるんです。(みおりんさん)
STEP.2解答解説の読み込み
そして、知らなかった箇所すべてにアンダーラインを引いていきましょう。とくに、解答解説冊子には、同じタイプの問題が出たときに使える考え方や解法が載っているので、「まだ完璧に身に付けられていないな」と思うテクニックなども、忘れずにアンダーラインを引いておいてください。
ちなみに、受験勉強では解法のテクニックも、英文法などと同じで暗記系知識として扱うのがおすすめです。暗記用ノートにまとめたり、赤シートなどを使って覚えるようにすると、色々なテクニックがどんどん身についていきますよ。(みおりんさん)
STEP.3 間違いの原因を突き止める
そのときに大事なのが、「間違えた原因」を特定しておくこと。問題を間違えたのには、必ず理由があります。たとえば、次の4つのような原因が考えられるでしょう。
知識不足
英語や古文の単語・語句、文法、数学の公式や定理など、知らないことが原因で解けなかったというケース。こうした場合は、弱点をまとめたノートなどに間違えた部分を書き残したり、その単元の問題を一から解いたりして、次に同じミスを起こさないように対策しましょう。
うろ覚え、ド忘れ
先ほどの知識不足と似ていますが、こちらは一度は勉強したもののしっかり理解できていなかったケース。この場合は、復習で細かく勉強し直し、理解度を上げたり、記憶の定着を目指します。
ケアレスミス
理解は足りていたけれど、うっかりミスで点数を落としてしまったケース。こうしたケアレスミスには、実はその人特有のクセがあります。なので、自分がどういうミスをしやすいのかを分析してみるのがおすすめです。例えば、「0」と「6」の書き方が似ていて読み間違えたり、問題文の見落としがあったり、時制の一致を意識していなかったり、など。自分にどんなクセがあるかを把握できたら、弱点をまとめたノートなどに「ミスリスト」として書いておき、試験の直前に見直すとケアレスミスの発生を防ぐことができます。
時間不足
問題を解くスピードが遅く、時間内に最後まで解けなかったというケース。「時間切れで解ききれなかった」「見直しまでたどりつけなかった」という人は、どの問題に時間がかかったのかを記憶が鮮明なうちに分析しておきましょう。その分野や単元の知識・理解度を上げていくことが大切です。また、ふだんの勉強で演習をする際に、時間配分を意識して取り組むなども効果的です。(みおりんさん)
STEP.4 教科別の細かな振り返り
具体的な各教科の振り返り方は、次の章で詳しく解説していきます!(みおりんさん)
主要5教科別:模試の復習方法
●暗記系について
「暗記系」とは、知っているか知らないかで点数に影響する知識のことです。
STEP.2の段階で知らなかった部分すべてにアンダーラインが引いてあるはずなので、それらをすべて弱点・苦手をまとめたノートなどに書き残しておきます。あとはとにかくそれを覚えることで、次に同じ知識に出会ったときに確実に点数に繋げることができます。
●非暗記系について
もう一つの非暗記系は、たとえその解答を丸暗記したとしても別の問題に生かせないタイプの知識です。こうした
知識や問題は「設問別に対策を練ること」が重要です。自分が間違えやすいタイプの設問を中心に振り返り、「今後どんな勉強をすれば解けるようになるか」を考え、必要であれば先生や塾講師などに聞きにいくなどして対策の計画を立てておくようにしましょう。
ただし、例えば要約問題など非暗記系の問題でも、暗記しておくことで、ほかの問題にも応用が利くようになる要素もあります。それが解法テクニックです。解答解説冊子を読むときに、「これはほかの問題を解くときにも生かせそう」というテクニックが記載された箇所には、アンダーラインを引いておき、それを弱点ノートなどにまとめておきましょう。(みおりんさん)
英語の模試復習方法
英語の復習で特に意識してほしいのが、全教科共通ofの振り返りのSTEP.3でも触れたとおり、「間違いの原因を徹底的に突き止める」という姿勢です。というのも、英語の問題を解くためには複合的な要素が絡んでくるので、「なぜこの問題を間違えたのか」という理由を深く考えないと、曖昧なまま終わってしまうからです。
語彙力の不足、文法理解の甘さ、読解スピードなど、自分に何が足りなくて解けなかったのかを、しっかりと言葉にして明確にしておきましょう。
それから、これは国語や漢文でも同じなのですが、長文問題で「この問題は、問題文のこの部分に対応していたんだな」とチェックしておくと、問題の出され方と文章の関係性が見えてきます。そうすると、その後の試験で時間配分を決めるときなどにも大きな参考にもなります。
ちなみに、模試を受けている最中に「これ知らないな」という単語が出てきたら、試験中にアンダーラインなどを引いておくと、復習のときにすぐに探し出せるので便利です(笑)。
●リスニング問題について
とくにリスニング問題は、なぜ解けなかったのか原因の特定が少し難しいタイプの問題です。それは「耳」が原因で聞き取れなかった場合と、単語や文法の知識、リーディングのスキルが足りなかった場合が考えられるから。「耳の対策」と「知識・スキル不足の対策」では、当然やるべきことがまったく違います。だからこそ、早めに原因を特定して、効率的に対策を立てていきましょう。
これは模試の復習そのものの内容ではないのですが、「耳」の対策としては、ディクテーション(聞いた音を書き取る練習)とシャドーイング(聞こえてきた音をすぐに真似して発音する練習)がおすすめです。どちらも時間はかかりますが、組み合わせることで、確実にあなたのリスニング力アップに繋がっていきますよ。(みおりんさん)
数学の模試復習法
- 1. 解けなかった問題を解き直す
- 2. 類題を探して自力で解いてみる
- 3. 解法テクニックを暗記する
- 4. 発想の方法を身に付ける
それぞれ解説していきます。
1.解けなかった問題を解き直す
解答解説冊子を一通り読んでいるはずなので、その知識を元にもう一度、同じ問題を自力で解き直してみてください。もし解けなければ、まだ問題の本質が理解できていない証拠なので、模範解答を読み直すなどして、理解を深めましょう。
そのとき、「なぜ自分がこの問題を解けなかったのかその理由を考えながら解く」という視点がすごく大事です。間違えた原因も明確になり、対策が立てやすくなります。
2.類題を解いてみる
解き直した問題が正解できたら、今度は類題を解いてみましょう。類題を解くことで、解き方を応用する力が身につき、同じタイプの問題が出たときにも対応できるようになりますよ。
3.解法テクニックを暗記する
数学の中にも、実は暗記系の要素があります。それが定理・公式や解法テクニックなどです。解答解説冊子を読んでいると、「知らなかった!」という定理や、問題解決のコツが出てくるはず。それを色々な問題に応用できるように、弱点・暗記ノートに書いてまとめておきましょう。
4.発想の方法を身に付ける
少し高度な話になりますが、解答解説を読めば内容は理解できるんだけど、「この発想が本番でできる自信がないな」という問題に出会うことがあります。その場合は、解法テクニックではなく、「発想の方法」自体を身に付ける必要があります。
かくいう私自身も、そういうタイプの問題が苦手でした。なので、「どうやったらこの発想ができるようになるのか」という質問を、積極的に先生にしていました。今でしたら、AIに尋ねてみるのも一つの手かもしれませんね。(みおりんさん)
国語の模試復習法
ただし、現代文の復習だけはやや特殊なので注意してください。なぜなら、解答解説を読んで「なるほど!」と思っただけでは、それを次の試験に生かすことが難しいからです。現代文では、文章そのものというよりも、「文章構造の把握」のコツをつかむことが大切です。
まず解答解説冊子を見ながら、各設問の答えの要素となる箇所に線を引いていきます。その上で、解答解説と問題文を並べて、もう一度、文章構造を把握しようとしてみてください。そうすると、試験中には見えてこなかった文章の骨格となる部分が見えてくるはず。問題文には、文章構造で気づいたことを積極的に書き込み、ある程度、図のように理解できるのが理想です。また、解答解説冊子の中で、文章構造に関する解説、解き方のテクニックがあれば、別の問題にも生かせるかもしれないので、その要素を弱点、暗記ノートにまとめておきましょう。(みおりんさん)
理科・社会の模試復習法
つまり、復習方法も、これまで英語・国語・数学で解説してきた内容と同じ考え方が応用できるようになっています。
- 暗記系は、これまで同様、知らなかったことを弱点・暗記ノートにまとめておく
- 計算系は、定理・公式や解法のテクニックを暗記し、解き直しをする
- 論述・記述系は、文章構造の把握や、解き方のテクニックを暗記する
というように、ぜひこれまでの復習ステップを組み合わせて活用してみてください。(みおりんさん)
模試復習に関するよくある質問
模試復習用のノートを作る必要がある?
それだけでは、自力で問題を解く力は身につかないですし、あとから解き直すことも難しいので、私にとってはあまり効果が得られないやり方だったのでしょう。問題と正しい答えを並べるためだけにノートを作るくらいなら、模試復習以外の勉強も含めて、弱点や苦手なことをまとめた「暗記ノート」を1冊作るほうをおすすめしています。
1回の復習ですべてを覚え切るのは難しいので、その暗記ノートで赤シートを使えるようにオレンジペンで書き込んだりして、何度も繰り返し目に入るようなしくみを作っておくのがおすすめです。(みおりんさん)
どうしても時間が取れないときは?
もし、どうしても時間を捻出できないときは、時間を短く区切って数日かけて行うか、あるいは優先順位を付けて復習する部分を絞ってやるといいと思います。とはいえ、やはり全部をしっかり復習できたほうが効果は高いので、あくまで「どうしてもなとき」の最終手段として考えてくださいね。
ほかの勉強と比べたときに、模試の復習よりも優先してやるべきことって、そうないと思います。模試ってすごく広い範囲の中から、とくに重要なポイントを出題してくれているので、そこを優先的に押さえておくのは、受験勉強のセオリーからいっても間違ってはいないと思います。(みおりんさん)
間違いが多くて、復習が大変なときは?
どんなに時間がかかったとしても、どんなにしんどく感じたとしても、模試の復習はしっかりと最後までやりきることをおすすめします。(みおりんさん)
判定結果はどう見ればいい?
模試の素晴らしいポイントは、自分の弱点や苦手な分野を明確にしてくれることです。判定のアルファベットよりも、「自分は特にどの分野で失点してしまったのか」ということや、成績表に書いてある個別アドバイスなどに重きを置いて見るようにしてくださいね。(みおりんさん)
まとめ:模試を受けないのは不戦敗と同じ!受けたら必ず復習を!
・模試の復習は、実力アップの近道!
・復習は当日か翌日がもっとも効果的
・時間をしっかりかけてでも行う
・勉強の復習とは別に、気づいたことをメモしておく
・全教科共通のSTEP.1〜3は当日に復習
・STEP.4で各教科を細かく復習
・間違えた原因を突き止める意識でやる
初めのうちは、意識して復習を続けるのが大変と感じるかもしれない。でも、努力がちゃんと自分の「実力」として積み上がっていることがわかれば、きっと復習の価値が実感できるはず!そうなれば、模試を受けたら「復習までがワンセット」ってしぜんと思えるようになるよ。弱点をどんどんクリアしていく未来の自分を想像して、模試の復習に力を入れてみてほしい!
最後に、みおりんさんからもメッセージをいただいたよ!
「受けない0点より、受けた0点」。この記事で繰り返し、何度もお伝えしたように、模試で大事なのは「何点取れたか」ではなく、「今の自分の弱点はどこか」を見つけることです。そして、復習をすることで、その弱点をさらに浮き彫りにして、克服へと繋げることができます。それをやりきってはじめて、模試の効果・価値は最大限まで高まります。受験はやればやった分だけ、自分が目指すゴールに近づいていきます。ぜひ面倒くさがらず、模試の受験や復習に取り組んでみてくださいね!(みおりんさん)
取材・文/郡司しう 取材協力・監修/みおりん 構成/寺崎彩乃(本誌)
※2025年10月の取材に基づいています。
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