心に染みる! 高校生になっても読み返したい絵本5選
小さいころは誰もがよく読んでいた絵本。高校生になると、なかなか読む機会がなくなってしまうけれど、実は今だからこそ心に響く内容の絵本もあるのかも!
そこで、設立してから40年以上経つ老舗出版社・集文社の社長で、各地で絵本の読み聞かせも行っている早川裕さんに、高校生にオススメの絵本を紹介してもらった!
■ いとしい人ができたときに
『100万回生きたねこ』/佐野洋子
「何度も何度も生まれ変わりながら、王様や泥棒、サーカス団などさまざまな飼い主のもとで暮らしてきた猫。でも、いつも飼い主のことが好きになれず、何度自分が死んで飼い主と別れることになっても、悲しさを感じたことがなかったんです。そんな猫が、ある白猫と出会って初めて『愛する』ということを知り、白猫との死別に涙する、そんなお話。とても有名な絵本なので読んだことがある人も多いと思いますが、高校生になった今改めて読むと、子どものころはわからなかった『誰かを愛する気持ち』や『今を大切に生きること』など、気づくことがたくさんあると思います」
■ 失敗しておちこんだときに
『ほらいしころがおっこちたよ ね、わすれようよ』/田島征三
「主人公のおじいさんは、卵を割ったり、大事な鉢植えをめちゃくちゃにしたりといつも失敗して落ち込んでばかり。でも、そのたびに自ら石ころを地面に落として『今この瞬間から過去の失敗は忘れてしまおう』と気持ちをリセットして、前へと進んでいきます。高校生の時期は失敗を恐れて積極性を失ってしまったり、ちょっとしたミスに落ち込んでしまったりすることが多いと思いますが、この絵本を読むとくよくよした気持ちを忘れて、元気になれると思いますよ」
■ 大切な人がこまっているときに
『だいじょうぶ だいじょうぶ』/いとうひろし
「『だいじょうぶ』は、主人公の男の子がおじいちゃんに教えてもらったおまじない。いつもおじいちゃんがかけてくれていたこの言葉を、男の子が成長して大人になった時、今度はおじいちゃんにかけてあげる、そんな心温まるお話です。将来の夢や進路に悩む高校時代に読むことで、『だいじょうぶ』という言葉のパワーに、改めて気づけると思いますよ」
■ 頭をやわらかくしたいときに
『らくがき絵本 五味太郎50%』/五味太郎
「作者の五味太郎さんが途中まで描いたお皿や箱の絵に、好きなものを描き足すことができる絵本。『子どものころは自由に描けていたのに、今描こうとすると何を描いていいかわからない』と、常識にとらわれて頭が固くなっている自分に気づき、ハッとする人もいるかもしれません。自由な発想や感覚を磨くのにオススメの一冊です」
■ 言葉がもつ“音”を楽しみたいときに
『もこもこもこ』/谷川俊太郎
「この絵本は、『もこ』や『にょき』など、擬音しか出てこない絵本です。文章が短くパラパラと読んでしまいがちですが、成長した今、あえて声に出してじっくり読むことで、子どもの頃は気づけなかった作者が伝えたいメッセージや魅力に気付くことができるんです。ぜひ、思い入れを込めて音読してみてください」
絵本の魅力は、「極限まで短くした文章と絵だけで構成されているからこそ、読み手が自由にメッセージを受けとっていろいろ考えられること。“絵本は子ども向けのもの”という先入観をなくして、高校生にもたくさんの絵本を読んでもらいたいですね」と、早川さん。
小説や漫画と同じ感覚で、たまには絵本を読んでみるのもいいかも。いつもとは違ったものの見方ができるかもしれない!