高校の先生も実は悩んでいる?!-「進路指導が困難」91.2%
リクルート進学総研が高校の先生を対象に行った「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」によると、先生の91.2%は進路指導を「難しい」と感じているという。
進路選択の難しさを感じている高校生は多いだろうが、実は先生も難しさを感じながら、みんなの相談や指導にあたっているようだ。
進路指導が難しいと感じる要因をみると、リーマンショックや東日本大震災による景気悪化の影響か、トップは「家計面の問題」(25.7%)だ。2位以降には、「進路選択・決定能力の不足」(24.3%)、「学習意欲の低下」(22.2%)、「学力低下」(21.5%)など、高校生の問題が並んでいる。
具体的にどんな困難が生じているのか、困難の要因トップ3について先生のフリーコメントもみてみよう。
■1位:家計面の問題
「収入が激減、何らかの奨学金を受けないと進学できない生徒が増えた」(関西)
「経済的問題について生徒と保護者間で確認できていないことがあり、推薦で合格していながら辞退するケースがある」(北海道)
「親子での会話不足や親の面目のためか、家庭事情が子どもに伝わっておらず、上級学校に進もうとして、資金がないことにより進学をあきらめる生徒もいる」(関西)
進学費用について保護者とすり合わせができていないことにより、あとから進路変更するケースがあるようだ。リクナビ進学が2013年2月に高校生400人に行ったアンケートによると、進学費用について保護者と「じっくり話し合ったことがある」は35%、「話題にしたことがある程度」は52%、「話したことがない」は13%。多くの高校生は進学費用について保護者と話しているようだが、認識がくい違っていないかどうか、高校生はいま一度確かめておくとよさそうだ。
■2位:進路選択・決定能力の不足
「3年夏~秋になっても、進路の方向性が定まらず、生徒に振り回されたり、生徒にこちらから声掛けしないと動かない」(南関東)
「自分のこととして考えられない。他人任せ」(東海)
「(就職の)職種、業種を決められず、親の考えで就職試験を受ける」(四国)
「高望み、文理選択が適切でないなどで、実力と志望にギャップがある」(南関東)
進路決定時期になっても自ら動こうとしない受け身な態度などに、じりじりとしている先生の様子がうかがえる。先生や保護者の意見に耳を傾けるのは大切だが、もう少し「自分はどうしたいのか」を考え行動してもいいかもしれない。
■3位:学習意欲の低下
「学習習慣がない。宿題はやるが、自立学習ができない生徒が多い」(南関東)
「大学に入りやすくなり、今までのように大学入試を突破するために頑張るといったモチベーションの減退」(北海道)
「知的好奇心の低下を感じる。何ごとにもおもしろがれる感性をはぐくめていない。とにかく受動的」(中国)
ここでも受け身になりがちな高校生の姿が浮かび上がった。どんな生徒が卒業後にどう成長していくか、数多くの例をみてきた先生だからこそ、そんな受け身な姿勢には不安を感じてしまうのだろう。
先生が指導の難しさを感じる状況は、高校生本人にとっても良い状況とはいえないだろう。家計や社会の問題など高校生にはどうにもできない部分もあるが、自身のより良い将来のためにやれることはありそうだ。早い時期からじっくり考え、主体的に動くことで、明るい未来を切り拓いてほしい。