大学・学部が決まらない!選ぶ基準がわからない人必見!志望校の決め方、文系・理系別の注意点

大学進学を志望している高校生にとって、どの大学・学部を選ぶのかは悩ましい問題の一つ。

高校の科目にはない学部・学科名も多く、選ぶ基準がよくわからないという声もよく聞かれる。

大学・学部選びのポイントは、自分を知る→社会を知る→やりたいことを決める→学部について調べる→大学ごとの違いを調べるというステップで考えること。

その際、具体的にはどうすればいいのか、それぞれのステップでの注意点は何かを、高校生の進路選択に詳しい堀浩司先生がアドバイス。

現役大学生の先輩たちの経験談&アドバイスも合わせてお届けしよう!

【今回教えてくれたのは】

堀 浩司先生
堀 浩司先生
滋賀県の公立高校(守山高校、草津東高校など)で教員歴37年。
「行き先指導ではなく生き方指導」「家から近い大学ではなく夢から近い大学」などを大切にした、3年間の体系的な進路指導を推進。
現在は、龍谷大学高大連携推進室フェロー、旺文社 蛍雪アドバイザー、さんぽう外部講師としても活躍中。

大学・学部選びで悩む理由は?先輩たちへアンケート!

大学・学部選びで悩む理由は?先輩たちへアンケート!

※先輩たちは進路選択をするにあたりどんなことで悩んだのだろうか

大学・学部選びで悩むのはみんな同じ

高校生にとって、大学・学部選びで悩むのは当たり前のこと。

全国の大学生に「高校生の頃、大学・学部・学科選びに悩みましたか」と尋ねたところ、75%の先輩たちが「ある」と回答。
『環境について学びたかったがいろいろな学部があり、決めきれず迷った』(女性・広島県)
 
『特にやりたいこともなく、どのような学部・学科が自分に合っているのかわからなかった』(男性・徳島県)
 
『自分のやりたいところにするか、将来役に立つところにするかで悩んだ』(女性・兵庫県)
 
『高校2年生の時点で国立か私立かなどある程度進路を決定しなければならなかったため、何をやりたいのか決まっていない状態でどうすればいいかとても悩んだ』(女性・愛知県)
 
『将来の夢が定まっておらず、自分で何を成したいかビジョンが見えず、どの学部がいいかわからなくなってしまった』(男性・神奈川県)
 多くの先輩たちも同じように悩んできたのだ。

進路が決まらない原因の一つは「調べ方が足りないから」

では、大学・学部選びがここまで高校生を悩ませるのはなぜだろうか。

堀先生がまず指摘するのはこんなポイントだ。
「原因の一つは調べ方が足りないことですね。

気になる大学・学部・学科について、“何を学ぶ”と“どのように学ぶ”をしっかり調べれば、それなりにイメージが湧くものですが、“どのように学ぶ”まで調べていない生徒が多いです」(堀先生)
実際、先輩たちからもこんな声が。
『大学で行っている講義内容やどのような教授がいるのか、実際に通い始めないとわからないことも多く、どの大学がいいのか、大学ごとにどんな違いがあるのかわからずに迷った』(女性・福岡県)

『学部は決めていたが、学校ごとの特色がわからず悩んだ』(女性・大阪府)
次に堀先生が指摘するのは、多くの高校生が最新の研究トピックスに注目していないこと。
「今、どの世界でどんなことが話題になっているか、社会問題に対してアンテナを敏感に張っていれば、何かしら興味が湧く分野が出てくるものです。

しかし、自分の成績のこと、友達のこと、部活動のこと、趣味のこと、芸能ネタなど、アンテナが“自分”中心で、“社会”に対して伸びていない生徒が少なくないですね」(堀先生)
さらにはこんな指摘も。
「学部・学科の学びの中身より、大学のブランドイメージを優先しているせいで悩んでいる生徒も多いです」(堀先生)
ふんわりしたイメージだけで比較検討しても、なかなか実際に自分に合う大学かはわからない。

このほか、やりたいことがありすぎて決められないというケースもある。
『将来やりたいことがたくさんあり、どの職業に就こうか迷い、学科をなかなか決められなかった』(女性・岩手県)

『文系、理系の両方に興味があったので選択科目数に困った』(男性・茨城県)

『自分の本当にやりたいことがどれなのか絞ることに悩んだ』(女性・長崎県)
「このタイプの悩みは決して悪いことではありません。

選択肢が豊富にあるのはいいことですから。

じっくり調べていけば、本当に自分に合った大学・学部を絞り込めるはずです」(堀先生)

今のお悩みは1つの通過点、これ機をにきちんと考えよう

ここまでに挙げた以外にも、学費やキャンパスの立地など考えなくてはいけないポイントはたくさんある。

悩んだり、迷ったりするのも当然。

だから、これをいい機会として、自分について、やりたいことについて、社会について、大学・学部について、いろいろと考えてみよう。

それが将来につながる大事なステップになる。

進路選択、どうやって決める?

進路選択、どうやって決める?

※大学・学部を決めるのに重要なポイントをおさえよう

では、大学・学部はどのような順番で決めていけばいいのだろうか。

決め方の基本を解説しよう。

大前提として大学のネームバリューだけで決めるのは危険

ネームバリュー重視で大学を決めて、いろいろな学部を受けまくるという人もいるが、これに関して堀先生は次のように注意喚起する。
「その大学が、志望先としてキラキラしているか否か、長い受験勉強を乗り切っていくガソリンになるか否かは大事なことです。

ですから、自分にとって魅力がある!とこだわれる大学を目指すべき。

ただし、〇〇大学なら、何学部でもよい!という決め方は危険ですね。

ネームバリューや偏差値だけでなく、学びの内容とセットで考えることが大切です」(堀先生)
この点に関しては、「失敗した」と感じている先輩も実際にいる。
『大学の名前で選んでしまった。有名だからという理由で選び、本当に自分がやりたいことが学べてない』(女性・兵庫県)
だから、気になる大学があればそれを念頭に置きつつも、まずは何を学ぶかを先に決めることが大切。

もちろん学部名だけでなんとなく決めるのは危険だ。

経済学部、法学部、生命科学部などの名称だけでは、高校生にはその中身まではよくわからないし、同じような学部名でも大学によって学ぶ内容に違いがあることも多い。

だから、自分のやりたいことをある程度明確にし、それにつながることが学べる学部をよく調べて選ぶことが大切になる。

しかし、「やりたいこと」を見つけるのもなかなか難しいもの。
 
最初に紹介したコメントにもあるように、「やりたいことが見つからない」ことに悩んでいた先輩もたくさんいるし、実際そのような悩みを抱えている高校生も多いだろう。

いったい何をどのような順番で考えていけば、やりたいことが見えてくるのか、自分に合った学部や大学が見えてくるのか、オススメのステップを解説していこう。

1.内面を見つめて「自分をよく知る」

内面を見つめて「自分をよく知る」

※自分をよく知ることで進路選択のヒントが見つかることも

大学・学部を具体的に検討する前に、まずやっておきたいのが「自分を知る」こと。

堀先生は、次のようにアドバイスする。
「高校生活のなかで熱中できたことや成功体験を振り返り、周りに対してどういうかかわり方をしていたときに最も熱中できたかを自己分析してみましょう。

そのうえで、

自分が得意なこと、続けられること、人よりもうまくできることは何か? [ can ]

自分がやってみたいと思うこと、意志を持って取り組めることは何か?  [ will ]

自分が大きな価値を感じ、使命感を持って取り組んでみたいことは何か? [ must ]


この3つの問いに自分で答えてみてください」(堀先生)
そこで出てきた答えが、具体的な進路選択の大きなヒントになる。

先輩たちも次のようにコメントしている。
自分の得意不得意をよく考えて大学を選ぶべきだと感じた。

背伸びして行きづらい大学を選択しても逆につらいことがわかった』(男性・神奈川県)

『後悔しないように“自分は何に興味があるか”“何を学びたいか”“学びたいと思っていることは本当に好きなことか”などを"自分の目で見て"調べてほしい』(男性・埼玉県)

2.アンテナを広げて「社会を知る」

とはいえ、「自分を知る」だけでは自分の得意なことや使命感が具体的に社会のどのような課題やニーズにつながるかまではわからない。

そこで重要になる第2のステップが「社会を知ること」。
「社会に対してアンテナを伸ばし、自分のアンテナが敏感に反応する分野を探ってみましょう。

例えば、SDGsに関連する分野だけでも、貧困問題、食糧問題、エネルギー問題、海洋資源問題、人権問題などいろいろなテーマがあります。

そして、それぞれ関連する学部も異なってきます。

興味が湧いた社会課題を掘り下げて調べ、理解することで視野が広がり、“どんな学部で何を学んだらいいか”も次第に見えてきます」(堀先生)
そのためには、日頃からニュースなどをチェックし、気になるテーマがあれば、関連する書籍などを読んで理解を深めることが大切になる。
『自分に何が向いてるか、自分が何をしたいかを見つけることは難しいことだと思う。

だからこそ少しでも興味のあることは調べて積極的に情報を得ることが大切だと思う』(女性・東京都)

3.「どのように社会にかかわりたいのか」を考える 

自分を知り、社会を知ったら、その2つをつなげて「やりたいこと」を考えてみよう。

もちろん具体的な仕事が思い浮かべばそれでもいいが、そこまで決められなくても大丈夫。
「AIの進化など、今は時代の大きな境目にあるので、将来の職業から逆算する進路選択は難しくなっています。

そのため、もっと大まかに、“自分はどのように社会にかかわりたいのか”を考えてみることをオススメします。

例えば、身近な人を支える、モノづくりで周りの人を豊かにする、国境を越えて活躍するなどいろいろな選択肢があるはずです。

そのような方向性で、何を学んで、どのような力をつけておけば、自分は世の中の役に立てるかをじっくり考えてみましょう」(堀先生)
「人のため」に自分ががんばれることは何か、自分の強みを活かせるのはどういう分野かを考えていくと、それが学部を選ぶ際の基準にもなっていく。
『理系文系ばかりを気にせずにどんな分野に関わりたいかを決めてから考えてほしい』(女性・大阪府)

4.「興味がある学問」を突き詰めてみる

「興味がある学問」を突き詰めてみる

※学びたいことはなんだろうか、よく考えてみよう

自分を知り、社会を知っても、なかなか将来のビジョンまでは決まらない人も多いかもしれない。
「その場合は、自分と社会を知るなかで興味関心が湧いた学問分野に注目してみましょう。

高校での“好きな科目”は参考になりますが、大学では、高校で学ばない学問の世界が広がっています。

ですから、大括りで志望学部の方向性を決めたら、とにかくどんな学びの世界が広がっているのか、調べてみることが大切です」(堀先生)
その際は、オープンキャンパスで開催される模擬講義や高校で実施される大学の出前授業などが、実際の授業を体感できてかなり参考になる。

オープンキャンパスをやっている学校を探す
『学びたいことをはっきりさせた方が大学での勉強が楽しくなるので、なるべく自分の興味が何に向いているのかを知っておいた上で選んだほうがいいと思う』(女性・島根県)

『将来のことを難しく考えず、今興味あることを学べばいいと思う。

途中で自分の学びたいことと違ったなと思っても、それまで学んだことは決して無駄にはならないし、そこからまた新しい進路を考えればいいと思うから』(女性・愛知県)

5.大学・学部について具体的に調べてみる

ここまで頭の中が整理できれば、次のステップは大学・学部について具体的に調べること。

では、何をどのように調べたらいいのだろうか。
「あまり重視していない生徒も多いですが、学部ごとのアドミッションポリシーを熟読しておくことは大切です。

どういう学生を求めるのか正確に把握して、自分がマッチングしているかどうか確かめておきましょう。

4年間(6年間)の学びの体系についても、カリキュラムやシラバスを参照して、どのように学びを深めていくのか、どのように学びを広げるのか(クロスカリキュラム、学科横断科目、教養科目)知っておきましょう。

フィールドワークが多いのか、ディベートやディスカッションが多いのかなど、学び方にも注目してください」(堀先生)
なお、法学、経済学、理工学といった名称で一括りにされていても、学ぶ内容はさらに細分化されている。
 
例えば、文学部といっても、英米文学が強いのはこの大学、心理学科があるのはこの大学といったように大学ごとに違いや特徴がある。

興味のある大学・学部を調べよう!
 
さらに、どの分野に強い教員がどのくらいいるのかもポイントだ。
「その学部には何を専門にしている教授がどのくらいいるのか調べておくことも大切。

教授の論文タイトルをチェックするのも効果的です」(堀先生)
先輩たちからもこんな声が。
『入学してみて思っていた大学、学部ではなかったと思わないよう、どんな内容をどんなカリキュラムで学ぶのかということをしっかりと調べたほうがいいと思う。

実際にその大学に通っている先輩の話を聞くのが一番よい』(女性・東京都)

同じ名前の学部や学科でも、大学によって重視している点や、研究内容がかなり違ったことに驚いた。学部や学科の名前だけで安易に進学先を決めることはよくないと思った』(女性・福井県)

『興味のある研究をしている研究室があったので選んだ』(女性・大阪府)
興味のある大学・学部を調べよう!
学校ごとの詳しい資料を取り寄せる

6.志望理由書を書いてみる

自分を知り、社会を知り、学びたいことや志望大学・学部がうっすらとでも見えてきたら、受験に必要か不必要かにかかわらず志望理由書を書いてみよう。
「実際に志望理由書を書いてみることによって頭の中が整理されます。

まだ、そこまでは…と想うかもしれませんが、想いがあるから書けるのではありません。

書くから想いが固まるのです」(堀先生)
自分が何をやりたいのか、志望する大学・学部でどんなことを学びたいのか、卒業後に学んだことをどのような仕事に活かしたいのか(ここまでは具体的に決まっていなくてもいいが)を一連のストーリーにまとめてみると、掘り下げ方が足りないところや、本当の自分の想いとのズレなども見えてくるはずだ。
『資格が絡む学部は、なぜそれを志望するのか、そのためにどんなことを学ぶ必要があるか、などおおまかでいいので夢を具体化するといいと思います。

実際学んでみて、思っていたの違ったとしても、しっかり考えて準備して出した決断と、そうでない決断とでは、感じ方も変わってくるし長期的なモチベーションも変わってきます!』(女性・大阪府)

堀先生と先輩がアドバイス!志望大学・学部選びQ&A

堀先生と先輩がアドバイス!志望大学・学部選びQ&A

※みんなが悩みがちなことを堀先生に聞いてみた。先輩たちの意見も参考にしよう

志望大学・学部を決めるまでの基本的なステップはここまで説明してきたとおり。

とはいえ、細かいことまで含めれば、「まだまだギモンや悩みがたくさんある!」という人もいるだろう。

堀先生&先輩たちがそんなみんなのためにアドバイスする。

一度決めた志望大学・学部を変更しても大丈夫?

先輩たちの意見を聞いてみると、必要があっての変更ならもちろんありだが、一つの分野や大学・学部しか調べていないとすべてゼロからのスタートになるので大変という声が多く聞かれた。

実際に、次のような経験をした先輩もいる。
『大学選びは早くひとつに絞っていました。

ですが最終的に目指す大学を変更することになりそのときバタバタしたので、初めからもっと幅広い大学について調べるべきだったなと思いました』(女性・宮城県)
​いろいろ調べているろとうちに興味がほかの分野に移り、一度決めた志望大学・学部を変更するということは十分起こりうる事態。

しかし、調べる段階では、幅広く構えて、第二候補、第三候補もチェックしておくことが大切だ。

また、早い段階で志望校に合わせて勉強する科目を絞り込んでしまうと、私立から国公立への変更に対応できないといった問題もあるので注意しよう。

「やりたくないこと」から、消去法で学部を選ぶのはあり?

このギモンには堀先生が回答。
「方法としてはありですが、消去法から考えるのはあまりオススメはできません。

消去法で選んだ場合、“よくない点探し”をしてしまう心理が働きます。

一方、少ない選択肢のなかからでも積極的に選んだ場合、“いいところ探し”の心理が働きます。

人生経験の少ない高校生が宝の山を掘りもせず、イメージだけで“やりたくないこと”に分類してしまって目を向けないのは残念な気がします」(堀先生)
やりたいことが見つからないのは、「知らないから」という理由も大きい。

詳しく調べたことにより、自分自身や自分のやりたいことと向き合えたという先輩の経験談も多かった。
『本格的に調べることによって、ほんとに自分と向き合うことができた』(女性・広島県)
積極的に調べることで、ポジティブな進路選択ができるようになるようだ。

進路について誰に相談したらいい?

進路について迷ったときは、進路指導の先生、担任の先生、塾の先生、保護者、志望する大学・学部に進学した先輩など、さまざまな相談先が考えられる。

幅広く話を聞くのはいいことなので、機会があれば積極的に動いてみよう。

先輩たちは誰に相談したのだろうか。
高校の時の進路指導の先生に相談した。いろいろな大学を教えてくれて、選択肢が広がった』(女性・広島県)

高校の担任の先生や塾の先生に第2志望以降を相談した。模試の結果や過去の先輩方の情報を教えていただき、目指せる大学がわかり、志望校を決められた』(女性・埼玉県)

その大学に進学した先輩に話を聞いて、学科の実情や受験に必要なことがわかった』(女性・滋賀県)

オープンキャンパスでの在学生の方の話を聞いて、具体的に大学での学校生活や卒業後の進路などについて考えることができた』(女性・大阪府)

『過去に先輩が受けた大学受験に関する報告書があれば、それを読んで先輩が志望した理由などを見ることで、自分に合っているかわかる』(女性・茨城県)
​大学・学部が決められず、一人で悩んでいる高校生も多いかもしれない。

しかし、一人で悩んでいるだけでは、視野も広がらず、活きた情報も集まらない。

様々な人たちの話を聞き、情報取集に努めよう。

オープンキャンパスへの参加は、先輩の話を聞く絶好のチャンスだ。

オープンキャンパスをやっている学校を探す

  

保護者が勧める大学・学部と自分のやりたいことが違う。

保護者の意見を尊重するべき?

このギモンに関しては先輩たちのコメントも分かれた。
『親の勧めで大学を決めず、自分の意志をどんな手段でも貫き通すとよい』(女性・東京都)

『他人の言うことに惑わされるな!自分の勉強したいことをしたほうがいい!勇気は一瞬、後悔は一生だよ!』(女性・大阪府)

『周りの意見もちゃんと聞いたほうがいい』(女性・大分県)

親の客観的な意見で、自分に向いている学部を自覚することができた』(女性・愛知県)
総合すれば、保護者を含めた周囲の意見には参考として耳を傾けつつ、最後は自分軸で決めるというのがよさそう。

自分が納得できていないのに保護者の意見に流されるのは、入学後の後悔につながる危険がある。

大学・学部に関する情報収集の方法は?

大学・学部についての情報収集の方法としては、ホームページを見る、資料請求をする、オープンキャンパスに参加するというケースが一般的なようだ。

では、先輩たちは具体的にどのように情報収集をしていたのだろうか。

いくつかコメントを紹介するので、ぜひとも参考にしてみよう。
『各大学のホームページを見たり、資料請求などをして読み比べた』(女性・大阪府)

『自身の興味のある学問を選択して関連する大学を紹介してくれるWebサイトを利用した。

オンラインオープンキャンパスの映像を繰り返し見た』(女性・埼玉県)

『Webサイトから卒論内容について調べるとその大学でどんなことができるのがわかった』(女性・広島県)

『最初はどの学部にも属さないで、途中から専門分野へと進んでいくという条件の下、パンフレットやネットで探した』(男性・茨城県)

『高校1年の時からいろいろな大学に行ってみて、雰囲気を味わっていた』(女性・大阪府)
学校ごとの詳しい資料を取り寄せる

  

オープンキャンパスへの参加を有意義なものするには

オープンキャンパスに参加した際、見るべきポイントは?

※オープンキャンパスには積極的に参加しよう

貴重な情報収集の機会であるオープンキャンパス。

オープンキャンパスへの参加を有意義なものするために、以下のようなことを意識してみよう。

・2校、できれば3校参加する

・模擬講義など、大学の学問や研究の一端を知る企画に積極的に参加する

・そこの学生になったつもりで一日を過ごしてみる


これらについて、堀先生に詳しく解説してもらった。
2校、できれば3校選んでオープンキャンパスに行くといいですね。

ブランドイメージが最も良い大学はマストで参加しましょう。

少し遠くの大学にプチ旅行気分で行くのもいいのでは?

大学の施設面のPRだけでなく、模擬講義を聴講する、学んでいる内容を学生から直接聞く、カリキュラムの説明を受けるなど、大学の雰囲気を感じつつ、大学の学問や研究の一端を知る企画に積極的に参加してみましょう。

お客さんとして大学を訪れる高校生ではなく、学食でランチ、キャンパス内のベンチに座ってお弁当など、大学生気分で一日を過ごしてみるといいですよ」(堀先生)
先輩たちからはこんなアドバイスも。
『学食がないし、コンビニも一定の時間しかオープンしてないことを入学してから知った。

オープンキャンパスは絶対行くべきだと思った』(女性・愛知県)

オープンキャンパスに参加し、学生の雰囲気なども知っていたため自分の思っていた通りであった』(女性・大阪府)

『オープンキャンパスにたくさんの人が参加していました。

その際にたくさんの情報や、意見交換などをしました。

あとは先生たちにたくさん聞いたりしました』(男性・北海道)
オープンキャンパスをやっている学校を探す

文系・理系でそれぞれ注意するべきポイントはある?

理系の場合、医学部・薬学部など6年制の学部もあれば、学部卒業後、多くの学生が大学院に進学する大学もある。

理系志望者は調べておきたいポイントだ。

一方、文系の場合、理系の知識も必要なことが入学後に判明し焦ったというケースもあるようだ。
『理系の大学だと大学院へ進学する割合がかなり高いことを本格的に調べて初めて知り、このまま進路を決めていいのかとても悩んだ』(女性・東京都)
また、理系志望者はゼミでの研究に興味がある人も少なくないが、大学の設備や教員次第でやりたい研究ができるかどうかは変わってくる。
『他の大学のほうがしたい研究に近い研究室があったのであまり大学のブランドを気にせずに選ぶべきだった』(女性・大阪府)
文系志望者は、学部名で「理系科目は不要」と安易に決めつけていると、実は理系の知識が必要だとわかったなんてことも少なくないで、注意が必要だ。
『心理学部でも、統計などで数字を扱うこと』(女性・福岡県)

『経済学部なので、数学や経済学が中心かと思ったが、プログラミングなどの講義も必須だった』(女性・北海道)
また、よく調べることで、理系だと思い込んでいたが、実は文系からもチャレンジできることがわかるケースも。
『建築学科で理系しかいけないと思っていたがデザインが中心だと文系でもいけることを知った』(女性・大阪府)
文系だから、理系だからと間口を狭めて情報収集するのではなく、自分の興味関心にしたがって幅広く情報を集め、調べることが大切になるようだ。

学費についてはどのように検討したらいい?

学費についてはどのように検討したらいい?

※学費についての問題は保護者とよく相談しておくことが大切

行きたい大学・学部が見つかっても、「学費の高さ」がネックとなってしまうケースもある。

こればっかりは自分だけで悩んでいても仕方ない。

堀先生はこのようにアドバイスする。
「学費は、保護者の方に“どこまで出せるか”ちゃんと聞いておきましょう。

奨学金、教育ローン、減免制度等しっかり調べたうえで、3年夏休み前、三者懇談会までに可能な範囲を確かめておくことが大切です」(堀先生)
先輩からは自分を振り返るこんなコメントも。
『学費のことをあまり細かく考えていなかった。

実際には授業料の他にも、設備利用費や在籍費などがかかり、思っていたよりも学費の負担が大きい』(女性・大阪府)

それでも志望する大学・学部が決まらない!どうしたらいい?

いろいろ調べれば調べるほど目移りしてしまったり、やりたいことばかりがどんどん増えてしまったりしてなかなか決められないという人もいるだろう。

そんな人たちに向けて堀先生はこうアドバイスする。
「焦る必要はありません。

決まらないということは、選択肢がたくさんあるということ。

自分には可能性がいっぱいある!とプラス思考で、じっくり選んでいけばいいでしょう。

受験勉強が遅れる…と考えず、“学びたいことがはっきりすれば、モチベーションアップを図れる!”と、勉強よりも学部学科選びを優先させるぐらいでいいと思います。

それから、教養学部、総合科学部、人間科学部などの学問分野に目を向ける方法もありますね。

それぞれ多様な学問分野が関連する分野なので、学系を絞れないことが強みになることがあります。

また、受験時ではなく、大学入学後にじっくり進路を決めるLate Specialization(遅い専門化)(入学後の1~2年間で幅広く学問領域に触れたうえで、進級時に所属学部・学科・コースなどを決定するシステム)を取り入れている大学を検討する方法もありますよ」(堀先生)

このように、大学進学後に「やりたいことについてさらに深く考える」ことができる進路を選択するという道もある。

いずれにしても、後悔することのないよう、大学・学部選びの際は自分と向き合い、しっかり考えることが大切だ。

興味のある大学・学部を調べよう!
学校ごとの詳しい資料を取り寄せる

取材・文/伊藤敬太郎 監修/堀浩司  構成/寺崎彩乃(本誌)
※記事内のデータおよびコメントは2023年6月に大学生200名が回答したアンケートによるものです

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