現在「幕末維新ミュージアム霊山歴史館」の学芸員として勤務しています。収蔵資料は約5000点。展示ではテーマに沿った約100点の資料を選定してキャプションを作成。その他、資料管理や機関誌への執筆、館内での講演など、仕事内容は多岐にわたります。お客様に「解説がわかりやすかった」「あなたの説明を受けて歴史がより好きになった」と言ってもらえた時はやりがいを感じます。また、生の資料にふれることで、当時を生きた人々をより身近に感じることができるのも学芸員の大きな魅力です。社会科教員だった祖父や、高校から習い始めた居合道の先生の影響で憧れた学芸員の仕事。その魅力も責任もすべてがやりがいにつながっています。
博物館学芸員の資格が取得できる大谷大学に入学し、資格取得課程の授業に集中。そこで学んだ展示の仕方や古文書の解読方法などは、今の仕事の基盤になっています。先生方からは「歴史的な事柄をただ暗記するのではなく、偉業を成し遂げるために先人たちがどんな思いで奔走したのか、そこまで考えなさい」とご指導いただき、資料を深く読み込み、本質をとらえる大切さに気づきました。この「本質をとらえる」ということは、仕事など様々なことに通じる大切なことだと思っています。私自身がそれを十分にできているかというとまだまだですが、大学での学びを通じて少しでも意識できるようになったのは大きな変化だったと感じています。
霊山歴史館の掲げる理念は「維新の志士の尊い精神を広く後世に伝える」と「歴史学を通じての社会貢献」。この理念を実現できるよう、学芸員としての自分自身のスキルアップを図りたいです。まずは多くの方にご来館いただくことが目標。そのためにも今まで以上に充実した展示が行えるよう、より深く歴史を見つめて知識を蓄え、幅広い視点から物事を見られるように、四苦八苦しながら勉強を重ねています。また趣味として、高校1年生の頃から居合道を習っており、最近五段に昇段しました。次は六段の審査に合格できるよう稽古を続けています。諸先輩方のように文武両道に長けた人間になることも、自分自身の目標の一つです。
幕末維新ミュージアム 霊山歴史館 勤務/文学部 歴史学科/2014年3月卒業/博物館学芸員の資格が取れる大学に入学し、文学部歴史学科で学びを深め、学芸員として就職し現在に至る米澤さん。進路選択に当たってのアドバイスは、「まず自分自身と対話し、好きなことや趣味などに関連する学びや仕事を探すこと。斜に構えず素直な気持ちで臨み、広い視点から進むべき道を探ること。そして、選択した仕事を一生のものにするという覚悟を決めるために、色々と調べて理解を深めること。その過程で知識が深まれば、就職活動においても必ずプラスになります」。学芸員としての経験を生かして大谷大学の博物館学課程の授業で講義を行うなど、後進の指導にも注力。