弁護士として企業法務や訴訟に携わっています。具体的には契約書の作成やチェック、適正な企業運営を支えるコーポレート・ガバナンス体制の構築支援などです。個人の法律相談も受けており、紛争性がある場合は、法人・個人を問わず、依頼者の代理人となって、相手方と交渉したり、裁判所に出向くだけでなく、時には第三者的な立場の人に話を聞きに行くこともあります。様々な立場の人と接するため、そこに価値観や利害の相違があることを認識したうえで話す・聞くという対話力が欠かせません。また、仕事をするほど求められる知識も増えていきます。知識も対話力もそれを磨くのに終わりはなく、常に学びの途中です。だからこそ面白いと感じます。
大学卒業後に会社勤めをしたものの、そこでの自分のあり方に疑問を感じ、働きながらロースクールの受験を始めました。それが今に至る直接のきっかけですが、弁護士の種が芽吹いたのは大学時代です。立教の法学部では、1年次にレポート作成力や思考力などを養う「基礎文献講読」という講義があります。その講義でイスラムの法について学んだとき、法の背景にある価値観や文化があまりに日本と違うことに驚き、社会のあり方と法との関係に興味をもちました。今思えば、あれが弁護士としての出発点だったかもしれません。世界には多様な価値観があるという学びを得たことも、立場の異なる人たちの間で問題解決を図るのに役立っています。
依頼者の方は、みなさん何らかのトラブルを抱えて相談にいらっしゃいます。私たち弁護士はその利益や権利を守るのが仕事ですが、そこで重要なのが依頼者の方に胸の内をさらけ出していただくこと。たとえご本人にとって不都合な事実でも、紛争を今以上に拡大させず、最善の解決策を導き出すためには、ありのままをお話しいただく必要があります。ですから、「この人なら」と信頼してもらえる弁護士でありたい。また、法律も社会環境も常に変わっていくものなので、それに遅れをとらないことも心がけています。学生時代のようにまとまった時間はとれませんが、日々勉強ですね。そして一つ一つの案件に、人に、実直に向き合っていきたいと思います。
本間合同法律事務所 勤務/法学部政治学科/2005年3月卒/弁護士になって4年目、企業法務から個人の法律相談や訴訟まで幅広く手がける。大学時代は、"事務所にこもって黙々と依頼をこなす"というイメージを弁護士に抱いていたが、「実際は依頼者の方をはじめ、とにかく人と会って対話することが仕事の鍵です」。大学時代、法と政治の両方の学びを通して幅広い視野とバランス感覚を養ったことが今に活きていると話す。法曹(弁護士・裁判官・検察官)をめざす高校生に対しては、「予備試験に合格すればロースクールに行かなくても司法試験を受験できるので、大学在学中でも司法試験合格をめざすことができますよ」。