日産化学は明治20年創業、日本初の化学肥料製造会社。私はその生物科学研究所で、自社開発の農薬に関する土壌や作物の残留性の分析を担当しています。実験で取り扱う作物は分析するテーマによって様々ですが、基本的にはまず実験用の土壌や作物を採取してきて粉砕・精製した上で、残留農薬の定量分析実験を行います。これにより、例えば農薬を散布して何日後にどれだけ作物が吸い上げるのかを測定。この分析結果が自社製品である農薬の使用量や対象となる作物を決める指標になります。農薬は、皆さんの食の安全性や健康に直結する重要な仕事。そんな社会的な責任や誇りを実感しながら大好きな実験に日々、励んでいます。
進学するまでは実験の経験が全くなかったので、最初は溶液を測り取るピペットの持ち方すら知らない状態。しかし東京バイオは実験が中心の授業だったので、実際に手を動かしながら「あっ、こういう風に使うんだ!」と実験機器の使い方をスムーズに覚えることができました。授業で一番覚えているのは入学して一番最初にやった「機器分析実習」。化粧水防腐剤として用いられるパラベンの定量分析実験をしました。初めての本格的な実験だったので嬉しかったですし、そこで初めて使った高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は今の職場でも毎日、使っています。在学中から最新の実験機器にふれることができた経験も、職場で役立っていますね。
東京バイオ在学中から入社4年目を過ぎた現在まで7年余り、振り返ってみると「実験漬け」の毎日でしたが、不思議と辛く感じたことは一度もありません。環境に恵まれながら毎日、楽しくやりがいを感じながら仕事に集中できているので、やはり実験は私に向いている職業なのだと実感しています。職場では女性の研究職の先輩たちも活躍していますので、私自身も結婚・出産を経てからも長くこの仕事を続けたいと考えています。実験は一見地味ですが日々の積み重ねが結果につながる仕事。ようやく職場で必要な分析作業もひと通りできるようになったので、これからも目の前の仕事一つひとつを大切にして、ミスのない分析結果を出し続けていきたいです。
日産化学株式会社生物科学研究所安全性研究部 勤務/バイオテクノロジー科(3年制)分析化学コース(現:未来素材化学開発コース)/2015年卒/もともと理科が好きだった黒木さん。実験に興味があり「実験を仕事にできる専門学校に入りたい!」と東京バイオに進学。全授業の60%を占める実習授業の中で念願だった実験漬けの学生時代を送る。学校の求人で現在の職場を知り「実験を中心に仕事ができる!」と応募し、万全の就職サポートのもと就職。部内の環境科学グループ「残留チーム」に配属されて4年目を迎える。「入社当初から即戦力に近かったですし、実験に対するカンもいい。これからの成長に期待しています」と上司からの信頼も厚い。