現在はブラックミュージックやダンスといった音楽関係の仕事が多く、ライブやプロモーションビデオ、ジャケット制作などでアーティストの方々のヘアメイクを担当しています。同じヘアメイクの仕事でも、特にアーティストの方々を相手にする場合に重要なのが「本人を活かす」ということ。その人自身の良さや持ち味、趣味嗜好といった個性を活かしながら、私らしい表現をするよう心がけています。そのため、相手との会話は欠かせません。多くのスタッフの方々と想いや時間を共にして作り上げた作品が仕上がり、街で見かけた時や、周りの一般の方々からお褒めの言葉をいただいた時が、私にとっての最高の喜びの瞬間です。
この道に進もうと思ったのは高校3年生くらいの時。趣味のダンスがきっかけとなり、次第にヘアメイクやファッションにも興味の幅が広がり、両立を目的にモード学園を選びました。メイク学科での学生生活はあっという間。初めはこの仕事の基礎となる勉強を、その後専門的な技術や知識を学びましたが、とにかく中身がギッシリ詰まっていて充実しすぎていたと言っても過言ではありません。中でも「ビューティー業界の歴史」に関する勉強はやっておいて良かったと思えることの一つ。現場では「○年代風メイク」という言葉がよく飛び交い、その言葉一つで全ての世界観を理解しなければならないことが多くあるので、この知識はとても役に立っています。
どんな仕事でも同じだとは思いますが、ヘアメイクアーティストという仕事をする上でも、やはり大切なことは「人をよく見ること」だと思っています。その人が何を考えているのか、何をしたいのかを察知し、常に自分が一歩先を行く行動がとれるように心がけることで、相手との関係も深まり、結果、良い仕事へとつながっていきます。また一方で、「自分らしさを大事にすること」「楽しんで仕事をすること」も重要なポイントです。3年間の学生生活では、知識や技術を身につけることはもちろんですが、こういった心構えを持てるよう意識しておくことも大事だと思います。それぞれの夢に向かって、悔いのない充実した日々を送っていってください。
フリーランス(ONO所属)/メイク学科(現:メイク・ネイル学科)/2008年3月卒/卒業以来ずっとフリーランスで仕事をしている。学生時代にインターネット上でたまたま大好きな雑誌のモデルさんと知り合う機会があり、その方を通して雑誌のヘアメイクさんを紹介してもらった事が現在の仕事につながるきっかけとなったのだという。「私、仕事で卒業式にも出られなかったんです。でもその分、学生から社会人への心の切り替えは早かったかもしれません」。そんな言葉の中に、彼女の仕事に対する姿勢や芯の強さを垣間見ることができる。現在は、自分の好きなダンスや音楽の分野の仕事が多く、楽しく充実したワーキングライフを送っている。