地域の子育てを幅広くサポートする「児童家庭支援センター」で、心理療法担当職員として働いています。センターでは学校や病院、自治体といった機関と連携し、子どもたちやご家族が抱えるさまざまな悩みに対応します。たとえば発達障害のお子さんを持つご家族が、子どもが他の子と違うと感じながらよくわからないまま悩んでいらっしゃる場合。そんな時はスキルトレーニングを通じて、子どもたちの言葉にできない思いを言葉にします。行動の背後にある思いがわかれば、ご家族の対応もずっとラクになり、相互理解も深まります。ここでの私の役割は心理の専門家としての見立てを大切にすること。そして子どもとご家族の一番の味方になることです。
そもそも心理に興味を持つようになったのは、テレビで心理学に基づく暗示や錯覚などを駆使するタレントさんのパフォーマンスを見て、こころの不思議に触れたことがきっかけでした。大学入学後は心理学を学ぶにつれ、「もっと知識を深めたい」という思いに駆られ、大学院へ進学しました。そんな時に大学院の授業で、児童家庭支援センターという施設の存在を知り、私にもできることがあるのではないかと考えました。ここではさまざまな機関と連携をはかりながら、子どもとご家族が地域で安心して暮らしていけるように、近くで見守ることができます。また、必要な人に必要な支援が届くよう、地域に出向いて活動を行っているところも魅力です。
学部では心理学の歴史やさまざまな心理療法など、人間の心の動きに関することを学びました。それまでは怒りや悲しみ、喜びなど、自分の感情に注意を払って生活をすることなどはありませんでした。しかし、心理を学んだことによって、自分の内側を見つめるようになり、自己理解が深まったように思います。また、実習の場では相談相手の不安に直面した時、何もできない自分に無力感を覚えたこともありました。しかし、そういった経験を積み、「カウンセラーにはいろんなタイプが居ていいんだ!」ということに気づき、気持ちがラクになりました。相談者が十人十色なら、カウンセラーもさまざま。今では自分の強みを活かした支援を心がけています。
社会福祉法人清光園 こども家庭支援センター 清光 勤務/人間社会学部 福祉心理学科 卒(2020年4月開設 心理学部 心理学科)/2020年卒/大学卒業後は同学大学院へ進み、人間科学研究科 臨床心理学専攻を2022年修了。「少しでも興味があるなら、思い切って心理の分野に飛び込んでほしい」と語る重安さん。相談者を前にすると無力感に悩むこともあるけれど、その人の一番の味方になるという姿勢を貫くことは、重安さん自身の心も力強く支えてくれると感じるのだそう。今後も地域を舞台に、みずから出向いて積極的に支援を届けたいと語ってくれました。