研究テーマは大きく2つあり、1つはデータサイエンスの発展を目指した既存の理論の改良やアルゴリズムの実装です。もう1つはそれらの理論が実社会でどう活用できるかの応用研究で、なかでもスポーツ分野の発展に興味をもって取り組んでいます。例えばサッカーではゴールを決めるか決めないかが記録に残りますが、ゴールに至るまでには色々なルートの選択肢があり、途中ドリブルやパスで貢献した選手もいます。そうしたプレイの難易度や貢献度をもっと数値化できれば、既存手法では測れなかった選手やチームの能力指数が見えてきて、チームの戦術もさらに進化させることができます。そのほかにトレーニング方法や故障に対するリスクの定量化などにもデータは活用でき、アスリート達へ多くの支援が行えるという点で意味のある研究だと考えています。
基礎的な科目である「微積分学」を担当している小泉先生。授業では「なぜこの勉強が必要なのか」を意識して学生に伝えているそう。「データサイエンスではスポーツの予測勝率などを算出できますが、なぜ算出できるのかというと、そこには積分などが必要になる…そういう背景の部分を専門家として伝えたいと考えています」。一方、小泉先生の研究室ではサッカーや野球のデータ解析コンペにも積極的に参加しています。プロのデータアナリストらが集まるコンペを通して、現場でデータサイエンスの応用を体感できる機会となっています。
世界ではここ20年くらい、あらゆる分野でデータから新たな発見が報告されています。その発見はデータサイエンスによる貢献です。データサイエンスを理解すれば、次は皆さんが新たな発見者になれるかもしれません!
専門分野:スポーツデータサイエンス、多変量解析、機械学習、統計学
経歴:東京理科大学理学部応用数学科卒業、同学大学院理学研究科数学専攻博士後期課程修了。 博士(理学)。
東京理科大学理学部数理情報科学科助教、スウェーデン王立工科大学在外研究員、横浜市立大学国際総合科学部助教、横浜市立大学データサイエンス学部准教授を経て、2022年より現職。