アンチ・ドーピングという言葉にネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、スポーツを公平・公正に行うためにはとても大切なルールです。今世界ではドーピングをしない・させないための教育に力を入れていて、主要な国際大会ではアンチ・ドーピング教育を受けないと出場できない仕組みになってきました。日本でも2023年度の国体(国民スポーツ大会)で、アスリートやコーチ、スタッフの講習が義務化されています。私の研究では若年層からの教育が重要と考え、大学生アスリートを対象にアンチ・ドーピングに関する知識の実態把握調査を行い、教育プログラムの作成に取り組んでいます。一部のトップアスリートだけでなく、誰もがアンチ・ドーピングをスポーツ共通のルールとして認識できるように働きかけていくことが私の役割だと考えています。
1年次の必修科目「スポーツ健康科学総論」「スポーツ指導者に必要な医学的知識」などで、アンチ・ドーピングに関する授業を担当している室伏先生。1年次にルールを理解し、2年次には実際に薬を検索して禁止物質が含まれていないか確認し、もし含まれていたらどう対処し、どこに連絡すべきかといった具体的な対応を学びます。3年次の「グローバルコミュニケーション」の授業では、海外遠征時のドーピング検査の流れをロールプレイ形式で学ぶ授業も。アスリート、コーチ、サポートスタッフそれぞれに求められる知識や対応について学びます。
アンチ・ドーピング に関する教育はアスリートだけでなくコーチやサポートスタッフを目指す人にとっても重要なテーマです。どうしたら私たちの大切なスポーツの価値を守れるか、共に探究していきましょう。
専門分野:スポーツ医学 アンチ・ドーピング、スポーツ心理学
中京大学大学院体育学研究科博士課程後期単位取得満期退学(体育学修士)。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程修了(スポーツ健康科学博士)。2019年同学スポーツ健康科学部に着任。〈主な競技実績〉2004年アテネオリンピック 女子ハンマー投出場、2005年世界選手権ヘルシンキ大会 女子ハンマー投出場、2007年世界選手権大阪大会 女子円盤投出場 他