作業療法士の仕事の魅力は、対象が子どもから大人、高齢者とライフステージのすべてにわたるため、自分の興味関心に基づいた働き方を選べることです。私が選んだのは「自助」「互助」をキーワードにした介護予防。住民がサービスの提供を待つのではなく、自主的に立ち上げて健康づくり活動をするグループ、介護が必要な方の日常生活の細かな要望を支援するボランティアグループの立ち上げのきっかけをつくり、運営の仕組みを整備しています。モデルケースもできました。みなさんいきいきと活動し、世話役の方は次の世代のロールモデルにもなっています。作業療法には様々な専門分野があり、それぞれ深化していますが、私は日常生活を知る作業療法士の視点で対象者の「人」としての生活を支援するゼネラリストとして地域に貢献したいと思っています。
浅野先生は担当する地域作業療法学、多職種連携、日常生活援助学などを関連づけて指導しています。「日常生活援助学」では食事やトイレ、着替え、入浴、移動、家事などがどのような工程でどのような物(道具)を用いて行われているかを考えることから始まります。そして対象者が困っている事、できない事を整理し支援方法を考えますが、この時、対象者と作業療法士で完結させず、他職種、家族や近所の人へと広がりをもたせることを重視しています。高齢者インタビューや、地域でのミニ講話の実施など、体験的に学ぶ機会も多くあります。
私たちの人生は日々の繰り返しで成り立っています。その日々の生活に目を向け丁寧にひもといていくと、面白い発見がたくさんあります。人の日常の不思議に出会う、興味がつきない学びの世界を一緒に探検しましょう。
北海道大学医療技術短期大学部作業療法学科卒業、藤女子大学大学院人間生活学専攻修了。介護老人保健施設で作業療法士として入所・通所・訪問リハビリテーションに従事。ケアマネジャー(介護支援専門員)資格ももち、ケアプラン立案にも携わった。2013年4月、北海道医療大学に着任、リハビリテーション科学部開設準備に関わり、現在に至る。北海道作業療法士会の役員も務めている。