ドラマや漫画などでも描かれ、注目されることが多い『源氏物語』。『源氏物語』には、今から千年以上も前に生きた人々の言葉や文化、政治思想などが生き生きと描かれています。その背景として重要なのが漢文学です。漢文学は日本の政治や文化の土台になっていますし、紫式部も漢学者である父の藤原為時から習っていますね。『源氏物語』が摂関政治の全盛期に書かれたにもかかわらず、摂関家の右大臣や弘徽殿女御を悪役にして、桐壺帝や光源氏、皇族出身の藤壺を理想化しているのは、当時の漢学者たちがさらに百年前の「延喜・天暦の治」という天皇主導の政治や文化を理想化していたことを反映しています。そうした時代背景をふまえて「漢文学をめぐる表現や文化、政治思想がいかに『源氏物語』を生み出したのか」について研究しています。
皆で文献を読んで意見を交わすだけでなく、写本のくずし字を活字に起こして発表をしたり、博物館や古書街ツアーで本物に触れたりと「当時を生きた人々の思考や感覚に迫る」実践的な授業を展開している。一方で、平安時代から中世、近世、近代、現代までの読者たちが書き残した二次創作のような類似作品や注釈、評論、研究書をたどり、未来へとつないでいく「文化継承」としての授業も行なう。それら先輩読者たちに知恵を貸してもらい、皆で語り合い、楽しみながら物語を読み解く力を磨いている。
小説や詩、漫画などの物語全般やキャラクターが好きという人も多いでしょう。素晴らしいと思います! 大学でさらに物語の世界に踏み込む技術や感性を磨き、思い切り楽しんでみませんか?
専門:日本文学、平安文学
明治大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。明治大学文学部兼任講師等を経て2015年4月より現職。
和漢比較文学会常任理事、全国漢文教育学会評議員。
小学生向けに「百人一首とくずし字解読の講座」や社会人向けに「源氏物語と長恨歌~桐壺巻のテーマ」「紫式部と清少納言~2人はライバル?~」など興味をそそられる講座を担当。幅広い世代に平安文学の魅力を伝えている。