診療放射線技師の仕事の一つに、X線写真や超音波・MRI(磁気共鳴画像診断装置)などによる受診者の撮影があります。身体を傷つけずに体内を画像として観察できるため、病気の早期発見ができ、治療期間の短縮につなげられます。つまり医師や看護師と同じ医療チームの一員として、健康・経済面の両方で社会に貢献できる仕事。撮影といっても、X線撮影、血管造影、CTなどはそれぞれに難しさがあり、緊張の毎日です。心の準備をする意味でも、翌日に何の業務があるかを予習し、絶対に患者さんに迷惑をかけないよう心がけています。そして撮影した後、患者さんから「ありがとう。あなたに撮影してもらって良かった」なんて言われるのが私の喜びです。
私が勤務する大阪市立大学医学部附属病院の中央放射線部は、VMAT(強度変調回転放射線治療)などの最新治療機器を備え、大阪だけでなく神戸・奈良・京都などからも多くの患者さんが治療に訪れます。私はここで検査だけでなく、各種放射線治療装置によるがん患者さんの放射線治療も担当しています。私たちにとって放射線治療の最大の難しさは、放射線を患部に最も効果的に照射できるように位置と角度を決めること。これを「位置合わせ」といい、患者さんによって体型やがん組織の形状が違うため、医師が作成した治療計画に基づいて患者さんの姿勢を微調整します。まさに診療放射線技師の腕の見せ所の一つといえます。
私が放射線治療を任されたのは入職1年目の9月頃。通常、放射線治療は入職4~5年目から始めるのが一般的で、1年目は異例だそうです。当時は、本当に私にできるのかという戸惑いはありました。もちろん最初から私一人で行うのではありません。ベテラン技師が私の横につき、一緒に作業を行います。先輩の的確な仕事ぶりを横で見るたび、自分の技術不足を痛感しました。でも、だからこそ患者さんの不安を取り除けるように丁寧に説明し、できることはすべて行うようにしていました。毎日の経験を一つずつ積み重ね、学び続けることで、医師からも患者さんからも信頼される診療放射線技師になれるよう、さらなるレベルアップをめざしています。
大阪市立大学医学部附属病院中央放射線部勤務/鈴鹿医療科学大学保健衛生学部放射線技術科学科/2014年3月卒/一日に70~100名の患者さんの治療を行うという、関西有数の来院者数を誇る大阪市立大学医学部附属病院中央放射線部。このハイレベルな医療施設で、入職1年目から放射線治療を任されている馬場野さん。常に緊張を強いられる環境だけに、勤務中の表情は真剣そのもの。しかし勤務時間が終われば、仲の良い同期スタッフと帰りによく食事にいくという。また病院のみんなで小旅行に行くのも楽しみ。食事に行くたび、次はどこに行こうかという話で盛り上がる。