調理の中でも製菓は少し特殊です。例えば洋食の場合、牛がいてそれをステーキにする上流→下流の作業ですが、製菓の場合は逆。卵、小麦粉、砂糖などの材料を合わせてケーキという形を作っていく積み上げの発想です。様々な材料から、全く新しい別のモノが生まれる感動。その可能性は無限です。その表現をより広げるために、授業では理論を重視しています。例えば、卵に砂糖を加え泡立てる際「100g入れるとどうなるか」「減らしたら?」「増やしたら?」「熱を加えたら?」というように、なぜどうしてと結果を学びます。どんなにたくさんのレシピを覚えても、理論を知らなければそれはひとつの点で終わってしまいますが、理論と合わせて学ぶことでそれが繋がるのです。1+1が3にも4にもなる。応用力となり将来に生かすことができます。
ホテルでの経験を踏まえ、食の安全について重視し指導する菅谷先生。例えば卵は、冷蔵庫を分けて保管することもプロの現場では多いといいます。生で食べるフルーツとは一緒にしない。そういった事例をたくさん伝えることで、食の提供者としての自覚と責任を意識させるそう。夢や憧れだけでは続けられないのも、この世界の厳しいところ。「多摩調は教師と生徒が近いのが特長です。一人ひとりをしっかり見ることができるので、進路指導も生徒の性格や適性、将来設計などを一緒に考え、本人に最適な将来へと導くことができます」。
菓子だけでなく、たまには奮発してコース料理を食べてと、生徒たちには伝えています。すると全体の組み立てから、デザートを出す意味がわかる。そんな視点も磨いて、菓子のスペシャリストを目指してください!
専門分野:製菓。日本料理人を目指していた専門学校時代に、パティシエという職業に出会いこの道に。プリンスホテルで15年、パティシエとして活躍した後、チーフとしてマネジメント職を経て、東京多摩調理製菓専門学校の製菓の先生に。学校で指導に当たる他、自身の技術向上のための海外視察も欠かさない。多摩市後援の「たま食育フェスタinせいせき」のイベントステージでのデモンストレーションを任されるなど活動は多岐に渡る。