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開催イベント
植物に学べ 「人工光合成」で太陽光を化学エネルギーに!
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2024年2月20日(火)18:30~20:00
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申込URL:https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/2341G113/
※本講座はオンライン講座でライブ+見逃し配信で7日間何度でも視聴可。高校生のみ無料で1回だけの参加も可能です。
高校生のための 大学授業体験シリーズ 光エネルギーの化学エネルギーへの変換
当講座は、東京都立大学の教員による高校生のための講座です。大学で研究・教育に携わる教員が、オンラインで講義します。文系・理系を問わず、ジャンルは多岐に渡りますので、興味ある講座を積極的に受講してみてください。
21世紀に生きる我々人類の幸せを考えた時、エネルギー問題・環境問題の解決が重要な課題となっています。これまで人類は、石油や石炭などの化石燃料を用いてきましたが、それらは有限なエネルギーであり持続可能なものではありません。実は化石燃料のほとんどは植物由来だと言われており、従って、我々人類は植物の遺産によって生かされていると言っても過言ではありません。今、この植物を模倣した化学的なエネルギー変換技術が次世代のエネルギー変換技術として注目を浴びています。この技術は太陽光エネルギーを化学エネルギー(高エネルギー物質)に変換しようとするものであり「人工光合成」と呼ばれています。この技術は、カーボンニュートラルの実現にも大きく貢献する可能性を秘めています。
人工光合成がお手本としている植物の光合成では、太陽光を用いて、水と二酸化炭素から酸素と炭水化物を生成しています。実は、我々動物はこの光合成反応と全く反対のことを行っています。すなわち、我々は、食事によって炭水化物を取り入れ、呼吸によって酸素を取り入れ、それらを緩やかに燃焼(化学反応)させることによって活動しています。このことからも、人工光合成を実現できれば、循環型のエネルギー環境を構築でき、エネルギー問題の解決に貢献できることを身近に感じることができるでしょう。
科学的な見地からみると、光合成システムは、光を吸収する部分(光捕集系)と、物質を変換する部分(物質変換系)とで構成されています。光捕集系の組織を作るためには、光を集める機能性色素分子を規則正しく並べる必要がありますが、分子の並びを人工的に制御することは極めて困難で、その方法の開発が課題となっています。しかし、近年、(意外な材料ですが)粘土鉱物を活用することで、分子の並びを人工的に制御する「サイズマッチングルール」という方法が見い出されました。これは、粘土鉱物表面の負電荷の密度を制御することで、負電荷と引き合う機能性色素分子の並びを制御する方法です。人工光合成の実現には多くの研究成果の相乗的な組み合わせが必要ですが、サイズマッチングルールも、その大いなる貢献が期待されています。
本講座では、現代の化学が挑戦している人工光合成に関する研究の最先端を紹介します。また、原理にさかのぼって自然現象を理解する楽しさをお伝えしたいと思います。生物や化学、より具体的には、植物や光化学に興味がある高校生の皆さんの参加を期待しています。
講師 東京都立大学 大学院都市環境科学研究科
環境応用化学域 教授 高木 慎介
※本講座はオンライン講座でライブ+見逃し配信で7日間何度でも視聴可。高校生のみ無料で1回だけの参加も可能です。
高校生のための 大学授業体験シリーズ 光エネルギーの化学エネルギーへの変換
当講座は、東京都立大学の教員による高校生のための講座です。大学で研究・教育に携わる教員が、オンラインで講義します。文系・理系を問わず、ジャンルは多岐に渡りますので、興味ある講座を積極的に受講してみてください。
21世紀に生きる我々人類の幸せを考えた時、エネルギー問題・環境問題の解決が重要な課題となっています。これまで人類は、石油や石炭などの化石燃料を用いてきましたが、それらは有限なエネルギーであり持続可能なものではありません。実は化石燃料のほとんどは植物由来だと言われており、従って、我々人類は植物の遺産によって生かされていると言っても過言ではありません。今、この植物を模倣した化学的なエネルギー変換技術が次世代のエネルギー変換技術として注目を浴びています。この技術は太陽光エネルギーを化学エネルギー(高エネルギー物質)に変換しようとするものであり「人工光合成」と呼ばれています。この技術は、カーボンニュートラルの実現にも大きく貢献する可能性を秘めています。
人工光合成がお手本としている植物の光合成では、太陽光を用いて、水と二酸化炭素から酸素と炭水化物を生成しています。実は、我々動物はこの光合成反応と全く反対のことを行っています。すなわち、我々は、食事によって炭水化物を取り入れ、呼吸によって酸素を取り入れ、それらを緩やかに燃焼(化学反応)させることによって活動しています。このことからも、人工光合成を実現できれば、循環型のエネルギー環境を構築でき、エネルギー問題の解決に貢献できることを身近に感じることができるでしょう。
科学的な見地からみると、光合成システムは、光を吸収する部分(光捕集系)と、物質を変換する部分(物質変換系)とで構成されています。光捕集系の組織を作るためには、光を集める機能性色素分子を規則正しく並べる必要がありますが、分子の並びを人工的に制御することは極めて困難で、その方法の開発が課題となっています。しかし、近年、(意外な材料ですが)粘土鉱物を活用することで、分子の並びを人工的に制御する「サイズマッチングルール」という方法が見い出されました。これは、粘土鉱物表面の負電荷の密度を制御することで、負電荷と引き合う機能性色素分子の並びを制御する方法です。人工光合成の実現には多くの研究成果の相乗的な組み合わせが必要ですが、サイズマッチングルールも、その大いなる貢献が期待されています。
本講座では、現代の化学が挑戦している人工光合成に関する研究の最先端を紹介します。また、原理にさかのぼって自然現象を理解する楽しさをお伝えしたいと思います。生物や化学、より具体的には、植物や光化学に興味がある高校生の皆さんの参加を期待しています。
講師 東京都立大学 大学院都市環境科学研究科
環境応用化学域 教授 高木 慎介