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トウキョウトリツダイガク

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プラトンと民主主義 古代ギリシャ政治哲学の一断面

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開催日時
  • 2024年
    2月
    24日
    (土)
    10:00~11:30
申込URL:https://www.ou.tmu.ac.jp/web/course/detail/2341Z013/

民主主義は私たちが暮らしている世界では当たり前の政治体制です。その理念である自由と平等には至高の価値が認められています。しかし紀元前5・4世紀のギリシャ・アテネには、生まれたての民主主義を徹底的に批判した哲学者がいました。プラトン(前427-347年)です。彼は師ソクラテスを処刑したアテネ民主政を念頭に置いて、民主主義がどのような政体でどんな欠陥をもっているのかを問いました。この講義では、プラトンの政治哲学の一断面を『国家』と『政治家』を読みながら紹介します。今日の民主主義がどこへ向かっているのか、どうしたらあるべき民主主義を確立できるのかを、源泉に遡って考えてみましょう。

1.なぜ私たちは自由と平等が大切だと思うのか
『国家』は正義とは何か、正しい人は幸福かを問い、私たちが正義をどう捉えているかを反省することから始めます。願望がかなうことが幸福なら、何でもやりたいことができる自由はとても大切。でも、皆が自由ばかりを要求していたら対立が生まれて、かえってやりたいことができなくなる。自由を平等に配分する正義が必要になるゆえんです。プラトンはこうした「正義の社会契約説」を支える、自由と平等のうつろな内実を暴き出します。

2.「洞窟の比喩」
『国家』には哲学史上もっとも有名な比喩が登場します。私たちは子どもの頃から「洞窟」(=社会)内で幸福・正義・自由・平等などをめぐる常識を注入されています。民主主義は「文化」とその担い手を使って効果的に「道徳教育」という名の国民教育を行うのです。かろうじて哲学だけが人々を「洞窟」から外へと導きだし、真実の学びを経験させます。「洞窟」に戻った哲学者の善き教導があれば、民主主義は鍛え直しのわずかな可能性をもてるでしょう。

3.美しい民主主義 vs. 醜い民主主義
『政治家』は、哲学者による知の統治が難しい場合の「次善の策」を論じます。民主主義は、法を軽視する「人の支配」と法を遵守する「法の支配」の観点から分類されます。民主主義を生きる私たちが今なすべきは、無知な政治家の「人の支配」に対抗して、哲学者とともにすぐれた法を探索しながら、一人一人が哲学的素養を高めて、本当の意味で「民」が主体の法治国家を営むこと、となりましょう。プラトンが語る、険しくも美しい希望の途です。

※資料はこちらで用意します。哲学の古典であるプラトン『国家』(岩波文庫、上・下)はドラマチックで思考を刺激する作品なので、ぜひとも読んでみてください。

講師 東京都立大学 人文社会学部 教授 栗原 裕次


開催場所
飯田橋キャンパス
東京都千代田区飯田橋3-5-1
プラトンと民主主義 古代ギリシャ政治哲学の一断面/東京都立大学(公立大学/東京)のオープンキャンパス
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