保健室に来た生徒の対応をはじめ、報告文書の作成や学校行事の実施など、養護教諭の仕事は幅広く多忙です。そんな中でも生徒が気軽に話しかけられるように、話し方や歩く速度をゆっくりするように心掛け、“忙しく見えない様”に工夫しています。また、生徒とすれ違う時に挨拶を欠かさないのも、細かな表情の変化を見逃さないため。少しでも気になる点があればすぐ、担任の先生と情報共有を重ねる毎日です。心の調子がすぐれなかった生徒が少しでも笑顔を見せてくれたり、「先生に話せて良かった」という言葉をかけてくれることが、私にとって一番の喜び。やりがいのある大切な仕事だから、学び続ける毎日がとても充実しています。
実は私自身、小学生の時に学校に行きたくない時期がありました。そんな時、いつも優しく話を聞いてくださった保健室の先生に親しみを抱き、漠然とその仕事への憧れがふくらみ始めました。地元の鹿児島を離れ、びわ学を選んだ理由は、養護教諭以外にも幼稚園教諭と保育士の免許・資格がめざせる学びの幅広さ。3つの免許・資格取得に挑む4年間は本当にハードでしたが、友達との支え合いや、先輩・先生の励ましのおかげで、乗り越えることができました。また、子どもと同じ目線で話す大切さを知った保育実習、相手の想いを汲み取る姿勢が身についたオープンキャンパススタッフの活動など、すべての体験が今に続く成長を与えてくれました。
心に悩みや迷いのある生徒は、時に「頑張れ」の言葉がプレッシャーになります。一人ひとり、抱える問題は違うため、向き合い方にも柔軟な姿勢が求められます。大切なのは相手が想いを表に出せなくても、自分の言葉や考えを押し付けず、生徒が自ら「頑張ろう」と動き出せる関わりを築くこと。養護教諭とは背中を“押す”仕事ではなく、そっと“支える”仕事なんだと私は思います。今、私が目標にしているのは、お母さんのように、またお姉さんのように、生徒が何でも話せる身近で頼れる先生。その意味でも、学生と先生の距離が近いびわ学で学んだ経験は本当に大きいと思います。教育分野をめざす人たちに、ぜひオススメしたい大学ですね。
鹿児島県 公立学校 勤務/教育福祉学部 子ども学科 卒/2018年卒/大学卒業後、先生の紹介を通じて滋賀県大津市の臨時講師に着任。養護教諭のキャリアを積みながら、地元・鹿児島県の養護教員採用試験に挑んだ田中さん。見事に合格を果たし、2019年4月からは正規教員として新たなキャリアをスタートさせた。「先生同士が連携しあう大切さをはじめ、学べたことは本当にたくさん。大津市で得た数々の経験を地元でも発揮したい」。5年間、慣れ親しんだ滋賀県を離れたが、びわ学で出会った仲間との絆は一生大切にしていきたいと言う。