年々増加を続ける教員採用数。気になる今後の見通しは?
公立学校の教員採用数がこの10年ほど伸び続けている。
2012年度の採用数も小中高などを合計した全体で4.4%増。
また、小学校の教員採用試験の倍率はここ数年4倍台で推移している。2000年前後には10倍を超えていたことを考えるとかなり低い数字。
要するに先生になりやすい状況が続いているのだ。
そう聞いて、「先生のニーズが増えているのかな?あれ、でも少子化のはずだよな…」と思う高校生もいるかもしれない。そして、先生を目指している高校生にとってはこの状況がいつまで続くのかは気になるところ。そこで、教員採用数増の背景と今後の見通しについて、教員採用試験対策講座などを手掛ける時事通信出版局の荒井篤子さんに話を聞いた。
「少子化にもかかわらず採用数が増えているのは、この10年退職者が多くなっているためです。2004~2006年、団塊の世代といわれる人口の多い世代の教員が一斉に定年退職を迎えたので、2003年あたりから5年ほどはその埋め合わせのために採用数が増えました。それに続いて、1970年代前半生まれの第二次ベビーブーム世代の就学に伴って大量採用された世代の教員も定年を迎え始めたため、人員不足がずっと続いているのです」
小学校では特にこの世代の偏りが大きく、東京・愛知・大阪といった都市部を中心にこの10年で採用数が急増。中学校・高校は小学校と比べると偏りが小さかったため、2000年代中盤までは小学校ほどの動きはなかったが、ここ5年ほどは上昇カーブを描いている。問題はこの教員採用数の伸びがいつまで続いていくかということだろう。今の高校生が大学を卒業して教員採用試験を受けるのは4~7年後。その時点での先生の需要は?
「小学校教員に関していうと、南関東や大阪などの都市部ではもうピークを迎えていると見られていますが、東北・九州などの地方ではこれから採用数が伸びるところも多く、全体としては今から5年後までは伸び続け、そこから減少期に入ると予測されています。中学校・高校教員は少し遅れて6~7年後がピークになる見込みです」
今の高校生が大学を卒業する時期は、まさに教員採用数のピークに当たる計算。「20人学級」の導入など新たに政策的な動きがあれば採用数がさらに増える可能性はあるが、少なくとも、あと2~3年で採用数が激減する心配はない。「先生になりたい!」という高校生にとって見通しが明るいのは間違いなさそうだ。