アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで

アドミッション・ポリシーって聞いたことがあるけど、どうやって調べればいいの?どう活用すればいいの?総合型選抜や学校推薦型選抜を受験するときには、アドミッション・ポリシーを読み込むことが必要。

高校1年生でも、進路指導の授業などで、気になる大学のアドミッション・ポリシーを読んでみてくださいと言われたことがある人もいるのでは?

実は、志望校や志望学部・学科を選ぶときに、とても役立ち、入試方法に限らず、大学に入学したいと考えているすべての高校生に読んでほしいのが、アドミッション・ポリシー。

そこで、アドミッション・ポリシーの基本から活用法まで、リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長の小林 浩さんに教えてもらった。

【今回教えてくれたのは…】
小林 浩
リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長

1964年生まれ 株式会社リクルート入社後、グループ統括業務を担当、「ケイコとマナブ」企画業務を経て、大学・専門学校の学生募集広報などを担当。経済同友会に出向し、教育政策提言の策定にかかわる。その後、経営企画室、会長秘書、特別顧問政策秘書などを経て2007年より現職。
まずは、自分がどんな学部・学科に興味があるかもわからない人に向けて、基本的な学部・学科の探し方から。

アドミッション・ポリシーとは?

アドミッション・ポリシーには何が書かれているの?

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
「2017年度からすべての大学に対して『3つのポリシー』を作って公開することが義務づけられました。まずは『ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)』。卒業するときに何が身についているのか、どんな人材を育てていくのかが、きちんと明文化されたものです。

では、どうしてそれが身につくのかというと、このような教育をしているからですよ、とわかるのが『カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針』。大学側は、その教育方針に合った学生に入学してほしいと考えています。

そこで、『アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)』という形で、大学入学を希望する人に、どのような準備をしてきてください、というのを示しているのです。

つまり、うちの大学は、こんな教育をして、こんな人材を育成しているから、こんな準備をしてきてください、という内容が書かれているのが、アドミッション・ポリシーなのです」
(小林さん)
◆アドミッション・ポリシーとは…大学または学部・学科が、どのような人に入学してほしいかを示しているもの。入学試験を受けるに当たって、どんな準備をすればいいのかがわかる。総合型選抜・学校推薦型選抜時の志望理由書や面接ではアドミッション・ポリシーに合致した学生か否か、が選抜の大きな基準になっているので、きちんと読み解いて、理解しておくことが重要。また、それ以外の入試においてもその大学が自分に合っているかを判断する上で非常に大事な指標が書かれているものである。

アドミッション・ポリシーはどこで確認できる?


「大学のホームページや学校案内のパンフレットには『3つのポリシー』として、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーが記載されています。アドミッション・ポリシーは、総合型選抜・学校推薦型選抜の志望理由書や面接などに活用することもあるため、大学の入試ガイドや入試要項に書かれていることもあります。

大学全体のアドミッション・ポリシーだけでなく、学部や学科ごとに、それぞれのアドミッション・ポリシーがあるので、希望する学部・学科のアドミッション・ポリシーまで読みましょう」
(小林さん)

アドミッション・ポリシーはいつ確認すればいい?

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
「高校生の多くが高校3年生の夏ごろ、総合型選抜の志望理由書を書くために初めてアドミッション・ポリシーを見た、という人が多いのですが、まず志望校を選ぶときにアドミッション・ポリシーを読んでほしいと思います。

遅くとも高校3年生になる前、高校2年生の春休みに、行きたい大学の候補を挙げてみて、その学部・学科のアドミッション・ポリシーを確認しましょう。

可能であれば、高校1年生や2年生の早い時期に、希望する大学を3校選んで、各学部・学科のアドミッション・ポリシーを読み、気になったワードを書き出して、なぜそのワードに着目したのか考えてみるといいですね。すると、同じような名称の学部・学科でも、どんな準備をすればいいのか、書かれていることが異なっていることに気づき、大学選びの参考になると思います」
(小林さん)

アドミッション・ポリシーはどうやって活用するの?

アドミッション・ポリシーはどうやって見ればいい?

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
「いきなりアドミッション・ポリシーを見ても、書いてある意味がわかりにくい、ということがあります。

まず最初に、大学のホームページや学校案内のパンフレットの最初のほうにある学校紹介・学校案内のページに書かれている、大学の建学の精神、教育理念、教育目標、大学の特徴、学長メッセージなどを読んでみましょう。そこには、こんな大学にしていきたい、こんな人を育成したいという大学のビジョンが書かれています。

それを読んで、まず、この大学は、こういう人を育成する大学なのだ、と知ったうえで、大学や学部・学科のアドミッション・ポリシーを見ていくといいですね。

例えば、この大学はグローバルな人を育成する学校だから、アドミッション・ポリシーに語学力が必要だと書かれているんだ。
この大学は地域に根ざした人材を育てたいと言っているので、このようなアドミッション・ポリシーになるのだな、と気づくと思います。

建学の精神・教育理念・教育目標などからアドミッション・ポリシーがどうつながっていくのか、一緒に読んでいくと、大学が求めていることを理解しやすくなります。

アドミッション・ポリシーを読んだら、気になったワードを書き出してみましょう。大学のビジョンと見比べて、これはどこから出てきているのか、自分の夢や進みたい道と合っているのかを考えてみると、大学選びにとても役立ちますよ」
(小林さん)  
◆アドミッション・ポリシーが難しくてわからないという人の活用STEP

STEP1:学校紹介・学校案内のページに書かれている、大学の建学の精神、教育理念、教育目標、大学の特徴、学長メッセージを読む

STEP2:アドミッション・ポリシーを読む

STEP3:気になったワードを書き出してみる

STEP4:自分の夢や進路と合っているかを照らし合わせてみる

アドミッション・ポリシーはどうやって使えばいい?

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
「アドミッション・ポリシーには、その大学や学部・学科を受験するに当たって、自分がどんな準備をしたらいいかが書かれています。
例えば『文章を読む力を養ってください』『地理歴史を必要とします』など、大学が求めている能力が書かれているので、どのような準備をしていけばいいか考えましょう。

『社会の課題全般についての知識をもち…』と書かれていたら、普段から新聞を読んでおくといいと思います。英語だったら4技能全部が必須なのか、リーディングまたはヒアリングの能力だけあればいいのか。

最近は文理融合型の学部も増えていて、例えば経済学部の場合、数学が必要な大学と、そうでない大学があります。アドミッション・ポリシーを読み解くことで、例えば新聞を読む、映画を観る、もっと本を読む、たくさんの人と会って話してみる、探究の学習をもっと頑張らなくちゃいけない、といった自分が準備しなくてはいけないことがわかってきます。

単なる教科・科目の勉強だけでなく、自分の興味関心をどのあたりにおいておくと、その大学に入る準備ができるのかな、と考えてみましょう。複数の大学のアドミッション・ポリシーを比べてみると、この大学は自分が思っていた学部・学科とは違う、この大学のほうが自分の考え方と合っている、と気づくことがあると思います。

アドミッション・ポリシーを読んで、わからないことがあれば、オープンキャンパスやWEB相談会などで質問して、理解できるようにしておくといいですね」
(小林さん)

総合型選抜・学校推薦型選抜に活用するなら?

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
総合型選抜・学校推薦型選抜の場合、アドミッション・ポリシーに合致した学生か否か、が選抜の大きな基準になっているので、きちんと読み解いて、理解しておくことが重要。

例えば、課題やボランティア活動などの実績が求められていることもありますが、出願する段階で知ったとしたら準備が間に合いませんよね。総合型選抜・学校推薦型選抜を考えている人は、できるだけ早く、高校2年生の夏休みにはアドミッション・ポリシーを読んでおきましょう。

志望理由書やエントリーシートを書くときに、アドミッション・ポリシーの内容を頭のなかに入れておくことが大切です。

さらに余裕がある人は、ディプロマ・ポリシーも読んでおくことをおすすめします。アドミッション・ポリシーは入学するための準備ですが、ディプロマ・ポリシーには社会に出るための準備が書かれています。

例えば看護師になりたい場合、看護師長のような管理職を目指す大学なのか、ホスピタリティーにあふれた看護師になれるのか、外国人の患者にも対応できる英会話力まで身につくのか、ディプロマ・ポリシーを読むと、どんな看護師になれるのかがわかります。ディプロマ・ポリシーを見ると、どのような能力が身につくのか、卒業後にどんな道に進めるのかがわかるので、志望理由書を書いたり、面接試験で受け答えをしたりするときに役立ちます。

志望理由書で『私は社会に出たときに、こういう仕事をしたい、将来こういう人生を送りたいので、ディプロマ・ポリシーに書かれているこういった能力を身につけるために、貴学に入学したいです』と書けば、一目置かれるかもしれません。

ただし、ディプロマ・ポリシーはアドミッション・ポリシーよりずっと難しい言葉で書かれているので、大学に入学する前には読んでおいてほしいけれど、大学選びの際には、気になるキーワードを抽出する程度で大丈夫だと思います」
(小林さん)

大学選びの段階からアドミッション・ポリシーを読んでおこう

アドミッション・ポリシーって何? 大学選びに役立つ!読み込む時期から活用法まで
アドミッション・ポリシーは、志望校が決まってから、総合型選抜や学校推薦型選抜の志望理由書やエントリーシートを書くときに必要なもので、一般選抜には関係ない、と思っていた人は少なくないよね。

実は、大学に入学したいと考えているすべての高校生に読んでほしいのがアドミッション・ポリシー。志望校が決まってから読むのではなく、志望校を決めるために読むのが正解

つい、大学の知名度や学部・学科名、偏差値だけで選んでしまいがちだけど、学部の名称は700以上もあって、学部・学科名だけでは、どんな勉強ができるのかわからない。

例えば指定校推薦の場合も、大学一覧のなかから偏差値の高いほうを選ぶのではなく、アドミッション・ポリシーを読んで、自分に合った学校を選んでほしい。入学してから「自分が思っていた学部と違った」といったミスマッチを防ぐためにも、アドミッション・ポリシーは必見!

建学の精神などに書かれている大学のビジョン、アドミッション・ポリシー、ディプロマ・ポリシーを読んで、

1)どういう人物を育成したいと考えている大学なのか

2)どんな力が必要なのか、どんな準備をすればいいのか


を確認しておこう。

オープンキャンパスに参加する前に、アドミッション・ポリシーを読んでおけば、「楽しかった」「体験授業がおもしろかった」「先輩が優しかった」だけで終わらず、この学校が自分に合っているのか、自分が学びたいことがかなうのか、判断することができる。

最初は、アドミッション・ポリシーを全部理解できなくても大丈夫。印象に残ったワードを書き出して、なぜ気になったのかを考えて、自分なりに整理して、わからないところをオープンキャンパスやWEB相談会で聞いてみよう。友達が調べた大学を聞いて、情報交換してみるのもいいよね。
監修者/小林 浩  文/やまだ みちこ 編集・構成/黒川 安弥

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