2013年度は8大学が開設予定!年々増える「看護学部・学科」

4年制大学の看護学部が年々増加を続けている。別掲のグラフのとおり、毎年10大学前後が新設されており、そのペースはまったく衰えない。2013年度も東京医科大学、共立女子大学、創価大学、関東学院大学など8大学が看護学部・看護学科の新設を予定している。

 

看護系大学数の推移

 

出典/厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況調査」 ※2013年度は当サイト調べ

 

この動きの背景にあるのが、医療現場での看護師ニーズの高騰。看護分野の進学サポートに強い東京アカデミー関東国試部部長 沼内裕さんは次のように解説する。

 

「大きな理由の一つは、大学にとって看護学部・看護学科であれば安定した受験者と確実な入学者が見込まれること。もう一つは2006年の診療報酬の改定で、看護師を多く配置しているほど、医療保険から病院に支払われる入院基本料が多くなるしくみになったことです。病院は看護師を雇用すれば収入が増えるため、これをきっかけに採用のペースが加速しました」

 

もともと看護師の人材不足という事情もあったため、改定から7年目に入った今も看護師へのニーズは衰える気配がない。

 

「今は、看護師国家試験に合格すればほぼ100%就職できる状況。圧倒的な売り手市場になっています」(沼内さん)

 

厚生労働省の予測では、2015、2016年ころには需給バランスが落ち着くのではないかとされているが、沼内さんの見方は違う。

 

「高い専門性が要求されるハードな仕事なので離職率も高い。看護師ブームで学力が水準に達していないまま看護師になる層も増えていて、就職はできても現場でついていけないケースが目立っています。そのため、2010年代半ば以降も売り手市場が続くでしょう」

 

看護師養成施設には3年制の専門学校や短大もあり、こちらは早く資格が取得できる、トータルの学費が抑えられるというメリットがある。それに対して、4年制は、就職時の初任給が高い、国家試験対策に多くの時間を割ける、1年次に一般教養などを幅広く学べるといった点がメリットだ。

 

ただし、前述のとおり、一方で学力低下の問題もある。3年制で学ぶにせよ4年制で学ぶにせよ、卒業後に長く働き続けるには、学生時代に十分専門性を身につけることが重要となる。

 

「大学の勉強についていくには高校で基礎学力をつけておくことが大切。特に生物はしっかりやっておいてください」(沼内さん)

 
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