保護者が変化!「入試制度」より「進学費用」の情報を重視
高校生の子どもをもつ保護者が子どもの進学にあたって重視する情報が、ここ3年で大きく変化している。(全高P連とリクルート合同調査「第5回高校生と保護者の進路に関する意識調査2011」より)
2009年の調査でトップだった「入試制度」が10ポイント下げ(52.7%→42.7%)3位となり、1位が「進学費用」(49.1%→52.3%)、2位が「将来の職業との関連」(46.5%→51.9%)に入れ替わった。これはどういうことなのか?
今から3年くらい前までには、大学や専門学校の入試制度の多様化が一気に広がった。「センター試験利用入試」「日程や会場が選べる入試」「学内併願入試」「得意科目入試」「検定料減免制度」などなど、特に大学は競い合うように便利でお得な入試制度を作り出し、気がつけばひとつの学部・学科で数種類の入試があることが当たり前になっていた。
2009年に保護者の関心の第1位が「入試制度」であったのは、そうした流れが背景にあった。「どんな入試制度を利用すれば有利か」「どの入試がお得なのか」など、本やネットを見ながら研究した保護者も多かったに違いない。
しかし入試制度が便利だから、お得だからという理由で受験者数が変動したり、倍率が変わったり、まして難易度が変わるといった現象は微々たるものでしかなかった。
多様な入試制度を用意する大学の本音は、一人でも多くの受験生に受験してもらい、少しでも優秀な学生に入学してもらいたいということ。
今は大学志願者の9割以上が入学できる全入時代。入試制度の多様化は、大学側の事情であって、受ける側にとってはさしたる問題でないことがはっきりしてきた。
そして起こったのが2008年のリーマン・ショック。世界同時不況のあおりを受け、日本でも企業の倒産、リストラ、給料カットなどが続出し、家計は逼迫した。
さらに不況で採用に慎重になる企業が増えるなか、大学新卒者の人口が増えたことで就職率が下がり、2010年には60.8%にまで下がった。
こうした状況の中、保護者の興味が入口の入試制度より、入った後にかかるお金と出口の就職へと移ったのは、ごく自然なことに思われる。家計が苦しいので、学費は安いほうがいい。でもただ安ければいいのではない。卒業後きちんと就職できるかどうかが最重要項目だ。高い学費を払った挙句、卒業してもまともに就職できないのでは、保護者としてはたまったものではないのだ。
就職率はどうか、取れる資格が就職に有利か、就職後に想定される収入から鑑みて学費はコストパフォーマンス的に妥当か…、などなど。いわば「お買い得」「お値打ち」感をシビアに評価しようとする保護者が増えているのではないだろうか。
リクルートが行った高校生の進路選択に関する調査「進路センサス2011」によると、オープンキャンパスに同行する保護者も増えている。前回調査(2009年)と比べ、「親と参加したことがある」高校生は38.3%から44.9%と6.6ポイントも増えた。
スポンサーとしての興味の高まりはもちろん、先行き不安な社会で子どもの行く末を案ずる親心が垣間見える。
高校生の保護者が子どもと一緒に進路を考える傾向はますます強まっている。
●リクナビ進学「オープンキャンパスに行こう!」コーナー