BMIとは?定義と計算方法をわかりやすく解説!BMI普通体重に近づくアドバイスも

身長や体重の変化が激しい10代の成長期。

そんな時期を過ごしているみんなの中には、自分の身体や外見の変化に敏感になっている人もいるのでは?

そこで今回はBMIという身体についての指標を紹介するよ。

BMIとは肥満度を表す体格指数のこと。

身長と体重から簡単に計算でき、自分の体重が適正かどうかを判断できる。

日頃から意識して、ちょうど良い体重を保つことで健康の維持に繋がるから、この記事で理解しておこう。

内科医で日本摂食障害協会理事長の、鈴木眞理先生からのアドバイスも参考にしよう!

【監修者プロフィール】
鈴木眞理 先生鈴木眞理 先生
一般社団法人日本摂食障害協会 理事長 (関東支部長)
跡見学園女子大学 心理学部 臨床心理学科 特任教授
ストレスと脳内ホルモンに興味をもち、摂食障害、骨粗鬆症、思春期内分泌の治療と研究に従事し、家族会を主催。
総合内科専門医、内分泌代謝科専門医。
一般社団法人日本摂食障害協会
一般社団法人日本摂食障害協会 学生部(JAED)Instagram

BMIとは?

※BMIってなんだろう?
※BMIってなんだろう?

BMIとは身長と体重から算出される体格指数のことで、体重が適正かどうかを評価するために用いられる。

BMIは「Body Mass Index」の略でボディマス指数とも呼ばれ、健康体重の目安として世界中で利用されている指標だ。

日本における標準値は「22」で、この値に近いほどバランスの良い健康的な身体といえ、さまざまな病気にかかるリスクが低くなる。

健康を維持するためには、太り過ぎも痩せ過ぎもNG。

BMIについて知ることで、健康と体重の関係を理解しよう。

BMIの計算方法

BMIの計算式はBMI = 体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で求められる。

身長の単位がmなので、例えば165cmの人の場合、1.65mとして計算することに気をつけよう。

また、計算式がわかりづらい場合は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」と計算しても同じこと。

この式を見ると、体重が多いほどBMIが大きくなるのがわかるね。

また、この式から次の式が割り出せる。

体重(kg)=身長(m)×身長(m)×BMI

この式を使えば、身長とBMIから体重を逆算できるよ。

BMIによる肥満度の判定基準

※肥満度の判定基準は国によって違いがある
※肥満度の判定基準は国によって違いがある

BMIの計算式自体はWHO(世界保健機関)が定めたもので世界共通だけれど、肥満度の判定基準はそれぞれの国によって違いがある。

ここでは日本における判定基準を紹介するね。

また、ここでいう肥満度とはあくまで健康面に基づいた区分であり、外見を判定する意味合いではないことに注意しよう。

日本におけるBMIの判定基準は、日本肥満学会が定めたもので次の通り。

18.5未満 低体重(痩せ)
18.5以上25未満 普通体重
25以上30未満 肥満(1度)
30以上35未満 肥満(2度)
35以上40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)
 
※普通体重の中でもBMI22が標準値で、最も健康的・理想的な値とされる。また、3度と4度の肥満は高度肥満に該当する。

BMI18.5未満の低体重では体力の低下や栄養不足・貧血、月経不順など、BMI25以上の肥満では糖尿病などの生活習慣病のリスクがそれぞれあり、いずれにしても健康面で心配があるんだ。

健康のためにベストと言われる標準値のBMI22を意識しておこう。

BMIだけで考えるのはNG!

「体格というのは、実際は骨、筋肉、脂肪のバランスで決まります。

対してBMIはあくまで身長と体重のみで算出される簡易的な指数で、人によって異なる骨格、筋肉量、脂肪量などは考慮されていません。

ですから同じBMIでも体格は人それぞれであり、例えば筋肉量が多い人の方が脂肪量が多い人よりも引き締まった身体に見えることが多いですよ。

BMIは簡易的な指標として参考になりますが、自分の身体を把握するためにはBMIや体重だけでなく、筋肉量、脂肪量なども考慮した総合的な視点が大切です」(鈴木先生)

BMIを計算してみよう

先ほど紹介したBMIの計算式を使って実際にBMIを計算してみよう!

ここでは例として高校2年生の女子の平均身長157.7cmと平均体重52.3kgを使って計算してみるね。

52.3kg÷(1.577m×1.577m)≒21

BMIは約21と計算され、普通体重と判定されるね。

そして、標準値22を少し下回る程度のこの値は、健康的で理想的なBMI値と言えそうだ。

ここでは高校2年生の女子を例にして計算してみたけれど、他のケースはどうなんだろうと気になる人もいるよね。

高校1年生~3年生、男子・女子のそれぞれの平均体重と平均身長を載せておくので、参考にしてみよう。

高校生の平均体重は?

自分のBMIを計算する前に、参考として高校生の平均体重を知っておこう。

女子高校生の平均体重

女子高校生の平均体重は52.0kgで、学年ごとの差は0.2~1kg程度のようだ。

学年(年齢) 平均体重
高校1年生(15歳) 51.3kg
高校2年生(16歳) 52.3kg
高校3年生(17歳) 52.5kg

出典:学校保健統計調査 令和3年度

男子高校生の平均体重

男子高校生の平均体重は60.6kg。1年生と3年生の体重を比べてみると約3.5kgの差があるね。

学年(年齢) 平均体重
高校1年生(15歳) 59.0kg
高校2年生(16歳) 60.5kg
高校3年生(17歳) 62.4kg

出典:学校保健統計調査 令和3年度

高校生の平均身長は?

次は高校生の平均身長を見てみよう。

女子高校生の平均身長

女子高校生の平均身長は157.7㎝で、1年生と3年生とでは0.7cmの差がある。

学年(年齢) 平均身長
高校1年生(15歳) 157.3cm
高校2年生(16歳) 157.7cm
高校3年生(17歳) 158.0cm

出典:学校保健統計調査 令和3年度

男子高校生の平均身長

男子高校生の平均身長は169.5㎝。1年生と3年生とでは2.2cmの差があることがわかるね。

学年(年齢) 平均身長
高校1年生(15歳) 168.6cm
高校2年生(16歳) 169.8cm
高校3年生(17歳) 170.8cm

出典:学校保健統計調査 令和3年度

1年生と3年生とでは女子は0.7cmの差、男子は2.2cmの差がある。
\高校生の身長についてもっと知りたい人はこちらCHECK/

高校生の平均身長はどのくらい?将来の身長の計算法から日本人の平均身長まで
「高校生の平均体重と平均身長のバランスは健康的です。

日本の高校生は平均的には健康的に成長できているということで、これは大変良いことですね」(鈴木先生)

美容体重、シンデレラ体重とは?

美容体重、シンデレラ体重は、どちらも外見に特化した目標体重として、広まっている指標だ。

若者を中心に近年広がりを見せる言葉だけど、公的に認められたものではなく、あくまでも細さやファッション性など外見を意識した数値となっている。

つまり、日本肥満学会が定める基準ではなく、健康面は考慮されていないことには十分注意しよう!

美容体重とは

美容体重とはBMIが20になるときの体重のこと。

美容体重=身長(m)×身長(m)× 20で計算される。

美容体重は、健康体重(BMI18.5以上25未満)の中で低い方の数値。

痩せすぎではない範囲での、痩せ型体型と言える。

シンデレラ体重とは

シンデレラ体重とはBMIが18になるときの体重のこと。

シンデレラ体重=身長(m)×身長(m)× 18で計算されるよ。

このシンデレラ体重は低体重(BMI18.5以下)に分類され、健康面でのデメリットが出てくる可能性がある。

栄養不足や貧血、月経不順など深刻な健康トラブルが起こってもおかしくない体重だ。

細い体は手に入っても、引き換えに肌のハリや髪のツヤなど失うものも多い。

しかも健康まで損なわれてしまう可能性があるわけだから、この体重を目標にして無理なダイエットをするのはやめておこう。

高校生がシンデレラ体重を目指してもいい?

※過度なダイエットはNG
※過度なダイエットはNG
「日本ではBMI18.5〜25を普通体重としていますが、特に成長期を過ごす皆さんの場合、BMI20を下回るのは危険です。

BMI20以下だと骨粗鬆症のリスクが高まり、BMI18.5以下だと月経不順や無月経のリスクが深刻です。

シンデレラ体重を目指すことは、不健康なことだと理解してくださいね。

一方でBMIが普通体重の上限である25を多少超えていても、実は健康リスクはあまりありません。

これには日本人は糖尿病になりやすいという特徴から、肥満度が低めに設定されているという背景があります。

ですから、BMI25以上30未満のレベルは世界的に見れば肥満ではないのです。

10代というのはこれからの長い人生を健康に生き抜くための身体づくりをする、とても重要な時期です。

過度に痩せた身体を目指すのはやめておきましょう」(鈴木先生)

高校生がBMI健康体重に近づくためのポイント

健康的な体重を保つ基準であるBMI、これを標準値にするためにはどんなことをすればよいのだろうか。

栄養バランスの良い食事をとる

※バランスの良い食事を心掛けよう!
※バランスの良い食事を心がけよう!
「栄養バランスはとても大事です。

例えば低炭水化物ダイエットをご存じですか?

これは本来糖尿病患者のための食事療法ですが、いつからか健康な人の間でダイエット方法として流行しています。
 
しかし、これを健康な人が行うのは、体調不良の原因になります。

炭水化物は脳や、それから腎臓、肝臓など重要な臓器のエネルギー源です。

エネルギー不足になると、頭も働きませんし、眠くなる、イライラするなどの悪影響が起こります。

さらに、低炭水化物ダイエットで長い間エネルギー不足の飢餓状態に置かれていた身体は、リバウンドしやすくなってしまいます。

バランスの良い食事を心がけて、炭水化物、たんぱく質、脂質などの七大栄養素をしっかり摂取しましょう」(鈴木先生)

運動の習慣をつくる

※健康的な体づくりをしよう!
※健康的な身体づくりをしよう!
健康的な身体づくりには運動は欠かせません。

よく食事だけを減らして痩せようとする人がいますが、それはNG。

健康に悪くストレスもたまり、勉強に集中できません。

運動することでカロリーを消費でき、筋肉もつきます。

筋肉が増えるとエネルギー代謝が良くなり、一般的に健康的で痩せやすい身体になるのです。

運動といっても階段をよく使う、普段より多めに、より速く歩く、勉強の合間に軽くダンベル運動するといったものでも十分です。

筋肉を刺激することを意識してみましょう」(鈴木先生)

体重変化は時間をかけて行う

急激な体重変化は心身共にハイリスクです。

体重を増やすにしても減らすにしても、ゆっくりと時間をかけて行ってください。

3カ月で1kg増減させるくらいが理想的ですね。

減量なら毎回の食事で一口分減らし、増量ならその逆です。

7200kcalの摂取エネルギーが体重にして1kgに相当するので、90日で摂取カロリーを割ると1日80kcalとなります。

つまり1日80kcal摂取カロリーを増やしたり減らしたりすれば、3カ月後には1kgの体形変化として現れてくるわけです。

この程度の調整なら、さほどストレスなく体重変化を起こすことが可能でしょう」(鈴木先生)

健康で活気ある高校生活のためにBMIを活用しよう!

BMIのとらえ方について、正しく理解できたかな?

先生からみんなにメッセージをもらったよ。
「皆さんに伝えたいのは、高校生の今やるべきことは何なのか、各々で考えてほしいということです。

思春期というのはこれからの長い人生を生きるための身体づくりの時期。

骨、筋肉、臓器、脳、情緒や精神性も養われる大切な時期です。

もちろん人生の土台づくりとして、勉強にも励まなければなりません。

そんな時期に心身の健康を損なってしまっては元も子もありません。

今やるべきことをはつらつと頑張っている人は、それだけですてきです!

内面が滲み出たものが「ルックス」だとすれば、内面の生き生きとした気持ち、その人らしい情緒が外面に滲み出ていれば、それが他者から見ても、魅力的なルックスとなるでしょう。

そういったことを意識して、高校生活を楽しんでくださいね」(鈴木先生)

身体の仕組みや健康について詳しく知ろう!

この記事を読んで、身体の仕組みや健康について興味関心が湧いた人もいるかな。

最後に、そんな人にぜひ読んでもらいたい記事や、もっと深く知るための学問などをまとめて紹介するよ。

「おもしろそう!」と感じたなら、それは新しい知識との出会いのチャンス!

小さな興味関心から将来なりたい職業が見つかることもあるんだ。ぜひ、この機会を活用してね。

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取材・文/蜂谷智子 取材協力・監修/鈴木眞理 構成/寺崎彩乃(本誌)
※2024年5月取材時の情報になります。