国際医療福祉大学成田病院は2020年開院の新しい病院なので、先輩技師と一緒に検査体制を作り上げており、私はレントゲン、CT、MRIを担当しています。診療放射線技師は医療技術の専門職ですが、患者様に検査をスムーズに受けていただくためにはコミュニケーションがとても重要になります。検査を受けるというだけで「悪い病気なんじゃないか」と不安になりがちですので、安易に「大丈夫ですよ」と言うのではなく患者様の言葉に耳を傾け同調するなど、できるだけ不安な気持ちを与えないように心がけています。検査で状態が悪かった患者様が徐々に回復され、退院される際に「お世話になりました」と声をかけていただくと嬉しくなります。
私は東日本大震災で被害の大きかった地域の出身で、中学生の時に震災を経験したことで、「放射線ってなんだろう」と興味を持ちました。病気で入院した際に、レントゲンやCTなど一通りの検査を受けました。医師から「これも放射線を使って検査しますね」と説明を受けた時、世間では「危ない」と言われている放射線が病院では検査に使われることを知り、知識がある人が適切に使えば人間にとってデメリットばかりではないことを理解しました。その後、高校での進路選択の際に改めて診療放射線技師の仕事を調べ、放射線は検査だけでなくがんなどの治療にも用いられることが分かり、私も放射線治療に関わりたいと思うようになりました。
臨床実習に出る前に、患者様の入室~検査~退室までの一連の流れを学びます。実際に臨床実習に行った際、実習の担当の方から患者様への接遇を褒めていただいたので、大学での学びを生かすことができたと思います。高校までは、同級生に看護師をめざす人はいても診療放射線技師をめざしているのは私だけでしたが、大学では同じ目標を持つ友人たちと共に勉学に励み、自分の夢についても語り合うことができました。「将来は放射線治療に関わりたい」と言った時に共感してもらえる環境は、勉強を続けるうえでとても励みになりました。現在の職場にも同級生や先輩が多く在籍しており、良い関係を築けています。
国際医療福祉大学成田病院 放射線技術部 勤務/保健医療学部 放射線・情報科学科/2020年卒/将来的に、がんの放射線治療に関わることを希望している佐藤さんは、現在は働きながら大学院にも在籍し、放射線治療のシミュレーションを研究している。「よく『理科系科目を選択していないのですが、診療放射線技師をめざせますか?』と質問をもらいます。選択するに越したことはありませんが、大学で改めて放射線に関わる物理、化学、生物を学ぶ意味ではスタート地点は一緒です!」と、この道をめざす高校生にメッセージをくれた。趣味は写真撮影で、旅行に行くときにはカメラが欠かせないという。