病棟では脳神経外科を担当し、医師や看護師とカンファレンスを行い、使用する薬剤の情報を患者さんと医療従事者の両方に提供しています。薬剤使用後に副作用などが現れていないか、患者さん一人ひとりとお話をすることで医療安全に努めています。また、身体の病と闘うなかで心の病気になってしまう患者さんのために精神科リエゾンチームの薬剤師として専門性を活かし貢献させていただいています。ほかには抗がん剤調整の監査業務を行ったり、大学病院として教育や研究にも携わっています。特定機能病院のため、高度な医療が必要な患者さんの入院が多いのですが、適切な薬剤を処方提案して回復されていく姿を見られた時にやりがいを感じます。
もともと、獣医学を志望していましたが受験に失敗し、とにかく手に職をつけたいという気持ちで薬学部に転向。具体的に薬剤師を目指そうと思ったのは、5年次の海外研修でした。サンフランシスコのUCSFという大学(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)とその附属病院での研修で、日本よりも何歩も先を行く海外の臨床薬剤師の姿を目の当たりにし衝撃を受けたのです。日本の薬剤師に足りないものは何かを考えることができ、日本の現状を臨床の現場から変えたいという思いが強くなりました。薬剤師の職能職域を拡大させることを目標とし、薬剤師として研究や教育に携われる大学病院を選択しました。
薬剤師としての将来を考えさせ、目標を持たせてくれるカリキュラムでした。低学年次の基礎授業のなかでも臨床を考えさせるような内容が盛り込まれていて、薬剤師としての将来を描くことができていなかった私に道を示してくれました。4年次から所属する研究室では、臨床薬効解析学教室に所属し、医薬品の効果・副作用の予測とそれに基づく個別投与法に関する研究をしました。東京薬科大学を卒業してよかったと思うことは、やはり卒業生のつながりだと思います。毎年最も多くの薬剤師を輩出している大学なので、学会や研修会でも同学出身というところから話に花が咲く機会が多いですね。今後のキャリアに結びついていくと確信しています。
公立大学法人 横浜市立大学附属病院 薬剤部 勤務/薬学部 卒/2014年卒/入学当初は薬学に理解も興味もなく、何も目標をもたない学生だったと当時を振り返る森さん。入学後は交友関係を広めるため、柔道部・茶道部・漢方研究会をかけもち。高齢者との接し方を学ぶため、ヘルパーの資格を取得し介護施設でのアルバイトや、アロマテラピーの資格を取得してアロマ講習会を行ったりと様々なことに取り組んだとか。茶道部に関してはサークルから立ち上げ、後に部へ昇格。3年間部長として活動し、卒業するころには数十名という規模になったという武勇伝もある。学生時代に様々な交流を持てたことで、自分の人生が豊かになったと語ってくれた。