養護教諭として私が勤務するのは、児童数約600人の公立小学校。健康教育や職員会議、欠席者などの集計、保健だよりや掲示物の制作など、幅広い職務を行っています。なかでも私が重視しているのは保健室での対応。病気やケガの処置はもちろんですが、体調の悪くない児童も、処置以外の時間なら来室しておしゃべりできるルールにしています。何気ない会話から、家庭や友人関係のトラブルに気づけることも多く、必要に応じて担任の先生や保護者、スクールカウンセラーなどと連携しながら、最適な支援を考え、実践します。問題が解決した児童の笑顔が見られるのは何よりうれしい瞬間。この仕事を選んで良かったと感じます。
小学生の頃、いつも笑顔で話を聞いてくれる養護教諭や保健室の雰囲気が好きで、憧れるようになりました。中学生になった時、同じ感覚で保健室を訪れると、小学校の時とは全く違う雰囲気で、養護教諭によってこんなに印象が違うのかと驚きました。高校生になり、将来を考えた際に浮かんだのは、小学生の頃に訪れていた保健室の先生。当時感じた気持ちの安らぎを、子どもたちに届けたいと強く思ったのを覚えています。進学先はさまざまな大学を見て検討しました。なかでも、養護教諭の採用者数が中部地区でトップクラスの名古屋学芸大学なら、より高い確率で夢を実現でき、養護教諭になってからも大きな支えになるのではと思い、入学を決めました。
授業では、救急処置やカウンセリング、健康教育の技法など、養護教諭に必要な幅広い知識とスキルを学びました。どの授業も実践的で、具体的なケースや対象が設定され、個人やチームでアプローチの方法を考え、実践し、考察するスタイル。さらに学内の「子どもケアセンター」で、託児ボランティアに取り組めたことで、臨機応変な対応力も身につきました。養護教諭は基本的にすべての職務を一人で担当しますが、在学中に実践力を養えたおかげで、入職1年目からスムーズに仕事を進められました。クラス全員で養護教諭をめざし、助け合いながら学んだ4年間。難関の採用試験を乗り越えられたのも、先生や仲間の支えのおかげだと感謝しています。
名古屋市公立小学校 勤務/ヒューマンケア学部 子どもケア学科 子どもケア専攻<養護教諭>/2017年3月卒/養護教諭の魅力について、「来室する児童の数や症状、担任の先生やスクールカウンセラーなどとの連携など、時期や日によって業務に変化があるところ」と話す篠原さん。幅広い職務を担う中で、変化を楽しみながら活き活きと仕事に向き合っている。健康教育では保健の授業でケガの手当てなどを教えるほか、身体測定時に歯磨きなどテーマに沿った紙芝居をつくってスクリーンに投影するなど、子どもたち自身で病気やケガを予防できる知識が身につくよう工夫している。新入生として迎えた児童が卒業する姿を見られるのが楽しみだそう。