主に脳卒中の診療と研究に、理学療法士として携わっています。脳が障害を受けることで影響が出る身体機能や言語機能の治療・改善を図ります。特に再発予防には力を入れていて、多くの医療機関や企業、地域包括センターと協同しながら、退院後のフォローアップや得られたデータの解析などをして治療に役立てています。例えば、活動量とその効果や、精神的な落ち込みが及ぼす影響なども研究範囲。「ゴッドハンド」のような技術はない代わりに、生活面や心理面など、一人ひとりの患者様とじっくり向き合える点が魅力です。
父が鍼灸師で行岡の卒業生。歴史があって就職先も幅広く、有名な先生も多いことからこの学校を選びました。在学中、毎日必ず1時間は図書室で自習すると決め、コツコツと積み上げる姿勢を身につけられたと思います。学びを深めるにつれ、怪我の治療だけではなく、幅広い分野で理学療法士が活躍できることを知りました。特に興味を惹かれたのは、脳や神経など目に見えないレベルの現象。松田先生に神経理学療法の学会へ同行させてもらい、刺激を受けたことが今の仕事につながるきっかけになりました。4年生の臨床実習では、患者さんへの問診の重要性を実感。就職してからも、憧れの上司に「会話が大切」と教えてもらい、今も課題にしています。
日々、人体の不思議と向き合っていると、もっと勉強したい、謎を解明したいという気持ちが湧いてきます。大学院への進学も視野に入れ、もっと研究を深めていきたいと考えています。脳卒中は原因や障害の場所が同じでも、人によって症状はさまざま。そこが難しくもあり、やりがいを感じるところでもあります。勤務先が国立の専門医療研究センターなので、数多くの症例を診て経験値を増やせるのは大きな強みになります。もっと先の夢は、教員になること。大学時代に塾講師のアルバイトをして、教える仕事に魅力を感じました。行岡で出会った先生方のように、理学療法士の可能性を広げられるような教員になりたいです。
国立循環器病研究センター 脳血管リハビリテーション科 勤務/医療学部 理学療法学科 卒/2020年卒/小学生から高校生まで野球に打ち込んでいた堂田さん。理学療法士の指導者と出会ったことがきっかけで、この道を選んだ。「進路を考える時、ずっと自分のやりたいことをやってきたので、これからは人のためになることをしたいと思いました」。現在、職場では心不全の患者さんも担当するように。心疾患は子どもたちも多く、遊びの中で月齢に応じた動作を獲得できるようリハビリをしている。「手術後は痛みもありますし、入院前には元気だった子が心を閉ざしていることも。できるだけ心臓に負担をかけないよう、気持ちに寄り添えるよう努力しています」。