7代目蔵元兼杜氏(酒造りの職人を統率する製造の最高責任者)として酒造りに携わっています。蔵元に就任したのは26歳の頃。「親父の為に酒を一本造りたい」と思い立ち、一から酒造りを学びました。現在は「蔵のある可部でしか造れない酒、旭鳳でしか表現できない味わい」をキャッチフレーズに、地元可部の象徴として酒蔵の伝統を残していきたいと考えています。そのために、地元の水や広島の原材料を使用し「地域性」そして「蔵の個性」を大切にした酒造りを日々心がけています。可部に人を呼び込める酒蔵であり続けることで、地元への恩返しが少しずつできてきていることにやりがいを感じています。
実家が醸造業を営んでいる背景から、「経営学」を学ぶことを意識して広島修道大学へ進学しました。当初、家業を継ぐタイミングなどは具体的には考えていませんでしたが、在学中に少しずつ「蔵を継ぎたい」と考えるようになりました。先代である父には、日ごろから「お前は好きなことをしなさい」と育てられ、在学中は自由に過ごしていたことも、自発的に家業を継ぐ意識が生まれることにつながったと思います。大学卒業後は、父に蔵を継ぐ姿勢を見せることを意識して醸造業のあらゆることを経験しました。蔵を継ぎ、その後自分で納得できる味の酒を造ることができた体験から、酒造りへの熱意はより一層強いものとなりました。
大学3年の時に受講した「起業家精神養成講座」は、今でも印象に残っています。授業で取り組んだ新事業の立案も大きな刺激となりました。また、実際に起業された先輩方の誇りと自信に満ちた姿には、純粋に憧れを抱きました。自分の知らない世界でたくましく活躍する方々から、たくさんのエネルギーをもらうと同時に視野が広がり、社会への意識が強く芽生えた瞬間でした。学業以外でも、サークル活動をはじめ参加したイベントで知り合った多くの人とのつながりを意識して過ごした充実した4年間であったと思います。大学時代に結んだつながりは今でも仕事に活かされています。
旭鳳酒造株式会社 7代目蔵元 兼 杜氏/商学部経営学科 卒/2012年卒/「さまざまなことに挑戦する時間がある学生時代だからこそ、積極的な挑戦を」と濱村さん。自身の学生時代の心残りは「留学」だったといいます。また、自分が興味を持って行動したことによって出会った人とのつながりを大切にしてほしいそう。そして、その「つながり」を自ら断たないこと。「縁は意外なところで活きるもの。後々に“良いもの”となって還ってくるかもしれませんよ」。