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確率過程 "ランダムに動くものを調べる"

数学科 准教授 西川 貴雄
 高校までに、ランダムな現象を取り扱うための「確率」というものを学習したかと思います。高校までに取り扱う内容は組み合わせを使って値を求めることが主ですが、大学では値そのものではなく、その裏に潜む法則について考えることが主となります。今一歩ぴんと来ないかもしれませんが、我々の知っている経験則にもそのようなものがあります。表も裏も同様に出るコインがあったとして、このコインを何度も繰り返し繰り返し投げて行くことを考えましょう。表が出た回数を投げた総数で割ったものは段々1/2の値に近づいていくことを経験上知っています。このことは「大数の法則」と呼ばれますが、単に経験則というだけではなく、数学の「定理」として得られます。なお、「1/2の値に近づいていく」という事実は、極限を考えて初めて見えてくることであり、有限回の結果からは得ることが出来ません。
 今度は、コインを投げたとき表が出たら右に1進み、裏が出たら左に1進むような数直線を動く点を考えてみましょう。これ自体も高校の数学でも扱っている対象ですが、ここでは投げた回数を時間と見立てて、時系列を追って考えてみることにします。そうすると、時刻が進むと左右にふらふら動いていくような点の動きが得られます。数学ではこうして得られる運動のことをランダムウォークと呼んでいます。このランダムウォークに対して様々な研究がなされていますが、ここでは連続極限について紹介することにします。このランダムウォークに対して、時間方向についてはそのまま、空間方向に1/n倍することにしてこのnを大きくする、つまり原点を中心としてどんどん縮めていくと、上で述べた大数の法則により原点から動かなくなることがわかります。運動の大きさに比べて縮めすぎたので、一点に潰れてしまいました。今度は運動しやすくなるように時間の方を√n倍してスピードアップしてみましょう。今度はnを大きくしても潰れはせず、実は意味があるランダムな点の運動が得られます(Donskerの不変原理)。この点の運動はブラウン運動と呼ばれており、確率過程論の土台となっています。現在、この確率過程論は数学の一分野としてだけにとどまらず、自然科学・社会科学において非常に重要な位置を占めるまでに成長しています。私自身、「確率微分方程式」と呼ばれる方程式により記述される確率過程に対する漸近的なふるまい、つまり極限に興味があり研究を行っています。
<メッセージ>
高校で学んだものとは違った側面で、確率を学んでみませんか。
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