不安が自信に! 人気英語講師・関 正生先生が教える 大学入学共通テスト<英語編>
2021年1月からセンター試験に代わって実施される大学入学共通テスト。英語に関しては「出題傾向が変わる」「問題が難しくなる」など、いろいろなウワサを聞いて、どんな勉強をすればいいのか、不安に思っている人も多いはず。
そこで、大学入学共通テストの英語は、今までのセンター試験と比べて何が変わるのか?どんな勉強をすればいいのか?大学入学共通テストの英語対策について、スタディサプリで大人気の英語講師・関 正生先生に聞いてみた。
関 正生先生
英語講師・語学書作家。
埼玉県立浦和高等学校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。
TOEIC Listening & Reading Test990点満点取得。
スタディサプリでは、主に英文法の講座を担当。暗記だけに頼らない、英語の本質を理解する力を伝授している。
これまで出講した予備校では、250人教室で満席・立ち見講座、200人講座で1日6講座の全満席記録をもち、朝6時からの整理券配布に行列ができるほどの人気講師として活躍。
そのほかに、九州大学・明治学院大学、企業での講演も多数。大学生・社会人にTOEIC®テスト対策の講義も行っている。
主な著書は『大学入学共通テスト 英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』(KADOKAWA)、『サバイバル英文法』(NHK出版新書)など、合計80冊以上。
大学入学共通テストとは?
現在実施されているセンター試験は2020年1月を最後に廃止される。
そのセンター試験に代わって2021年1月から実施されるのが大学入学共通テスト。
今の高校2年生(2019年現在)が大学受験をする際、センター試験ではなく大学入学共通テストを受けることになる。
英語の大学入学共通テストでは、4技能(読む・聞く・話す・書く)が評価されるという大きな変更点がある。
つまり、実際に大学入学共通テストで出題されるのは、今までのセンター試験と同様に「読む」「聞く」の2技能のみ。
大学入学共通テスト対策に限って言えば「リーディング」と「リスニング」の勉強をしっかりやればいいのだ。
大学入学共通テスト必勝法1:センター試験との違いを知る!
大学入学共通テストとセンター試験の英語は、どこが変わるのだろうか?
『リスニングのレベルが高くなった』と言われるとビビってしまう人もいるかもしれませんが、今までのセンター試験のリスニングが簡単すぎただけなので、焦る必要はありません。
2次試験では、もっとレベルが高いリスニングの勉強が必要ですから。
大学入学共通テストのリーディングは、実用的な英文やブログなどが出題されるのが大きな変更点だと言われています。
しかし、ぼくに言わせれば10年以上前からセンター試験でも図表問題や広告問題が出ていて、その延長に過ぎない。
だからリーディングに関しては、それほど大きくは変わらないと思います」
大学入学共通テスト必勝法2:文法力をしっかり身につける!
大学入学共通テストとセンター試験の英語で、大きな変更点だと言われているのが「文法問題が出ない」こと。
では、文法の勉強はしなくてもいいのだろうか?
そもそもリーディングには文法が欠かせません。
さらに、大学入学共通テストの準備段階として実施されたプレテストを分析してみると、センター試験で出題されていた4択の文法問題はありませんでしたが、リスニングで文法がバッチリ問われていたのです。
つまり、従来のセンター試験のリスニングは『聞けばわかる』問題でしたが、大学入学共通テストでは『文法をしっかり理解していないと解けない』というリスニングの問題が出題されるとぼくは予想しています。
センター試験で出題されていた文法単独の4択問題なら、目で問題を追って考えながら解くことができますが、大学入学共通テストではリスニングの一発勝負で文法力が問われて、今まで以上に文法の勉強が重要になると思うのです」
大学入学共通テスト必勝法3:リスニング対策はリーディングから!
大学入学共通テストの英語では、リスニングが重視されて配点が高くなる。では、どんな勉強をすればいいのだろうか?
その理由は、リスニング問題が解けない場合、英文で書かれたものを読んでも意味がわからないことが多いからです。
リスニングのベースになるのが、単語・文法・英文解釈・長文読解。『聞けない』のではなく、もともと『読めない』。
知らない単語や言い回し、読めない文章を聞き取れるわけがありませんから、まずは『読める力』をつけていったほうがいいと思います。
大学入学共通テストレベルのゆっくりした会話スピードのリスニングなら、リーディング力があれば聞き取ることができます」
大学入学共通テスト必勝法4:リスニング特有表現を覚える!
大学入学共通テストのリスニング対策として、ほかにやっておいたほうがいいことはあるのだろうか?
例えば、リスニング問題には見取り図や地図がよく出ます。プレテストでも下記のような問題が出題されました。
※参照元:大学入学共通テスト英語が1冊でしっかりわかる本:P252、P253より
見取り図や地図の問題では必ず『位置関係』を聞かれるので、位置関係を表す表現を最初から頭の中に入れておくことがポイントです。
具体的に言うとabove~(~の上に)は位置関係の問題には必ず出てくる単語ですが、この単語を知らなければ聞き取れないし、問題も解けません。
リスニング問題には天気予報もよく出ますが、rainやsnowは知っていても、humid(湿気の多い)を覚えていなければ聞き取ることはできません。
その他にも、道ばたやレストランなど、リスニング定番のシチュエーションがあるので、その場面で使われる表現を覚えておくといいでしょう」
※参照元:大学入学共通テスト英語が1冊でしっかりわかる本:P262~265より
大学入学共通テスト必勝法5:本当の発音「弱形」をおさえる! 問題演習は最後でOK!
リスニング問題がうまく聞き取れないという苦手意識がある人も多いだろう。そんな人はどうすればいいのだろうか?
中学1年生レベルの単語に多いのですが、of、and、you、could、be、someなど、『弱形』で発音される単語をマスターしておきましょう。
例えば、『been』は『ビーン』ではなく実際は『ビン』と発音されています。だから『I have been』は『アイ ハヴ ビーン』ではなく『アイヴビン』なのですが、それを知らないと、速くて聞こえなかったと思い込んでしまう。
聞き取れなかったのではなく、最初から言っていないんです。
軽く『ビン』としか言っていないのに、『ビーン』だと思い込んでいるから聞き取れない。
本当の発音をマスターしておくと、リスニング力がアップしますよ」
※参照元:大学入学共通テスト英語が1冊でしっかりわかる本:P248、P249より
まず読めるようにする、表現を覚える、音の仕込みをする、その後でいいのです。
リスニング対策というと、何回も音声を聞いて問題を解く練習をくり返してしまいがち。
しかし、水泳にたとえるなら、何も考えず、ひたすらプールで泳ぐのと一緒です。
筋トレをせず、正しいフォームもマスターできていない状態で100本泳いだとして、速く泳げるようになるでしょうか?
たくさん音声を聞いて耳を慣らそうという練習は、無駄が多くて効率が悪いと思います。大学入学共通テストのリスニング対策は、まずリーディングをしっかり勉強することです」
大学入学共通テスト必勝法6:リーディング対策は、まずスピードよりも正確さ!
大学入学共通テストのリーディング対策としては、どんな勉強をすればいいのだろうか?
次に文法の問題集を解いて、文法をマスターします。そのうえで英文解釈をしっかりやりましょう。
英文解釈とは、どれが主語で、どれが動詞で、どれが形容詞の塊になって名詞を修飾しているのかなど、英文を解析することです。一文一文の解析がきちんとできなければ、長文を読んでいくことはできません。
英文解釈ができるようになったら、たくさんの長文を読んで、量をこなしていくといいでしょう。
リスニングと同じで、ひたすら長文を読むのではなく、文法と英文解釈の理論をしっかりとふまえることが大切です。
大学入学共通テストは問題の量が増えるので、『速く読めるようにする方法はありませんか?』とよく聞かれますが、まず正しく読めるようにすることが重要です。
スピードを気にするのは高校3年生の秋からで大丈夫。それまでは時間よりも正答率の高さを意識したほうがいいでしょう。
高校3年生の夏くらいに『解答時間が足りない』という人がいますが、その時点で時間内に解けるようになっていたら、本番までの残り半年間は何をするんですか?
受験勉強はそんなに早く完成しません。
高校3年生の秋までは、時間は気にしなくていいから『正しく読めること』を重要視してください。そこから3カ月以上かけて長文を読む量をこなし、スピードを磨いていけばいいのです」
大学入学共通テスト必勝法7:自分の好きな参考書や問題集をみつけて勉強してみる!
大学入学共通テストに向けて、英語の文法や英文解釈は、どんな勉強をすればいいのだろうか?
まず1冊やって、もうこの本から得るものはないと思ったら、次の本にいく。その量を増やしていけた人が一番強いと思います。
途中で浮気をしてもOK。
なんかイヤだ、よくわからない、と思った参考書や問題集を持ち歩いて、毎日勉強し続けるのはキツイですよね。
なんか紙ざわりが好きじゃない、そんな理由で買い換えてもいいと思うんです。
オススメ参考書ランキングに入っている本が必ずしも自分に合うとは限りません。
東大生のマネをしても、みんなが東大に合格できるわけじゃありませんよね。
つまらない本をやっても長続きしないから、『これだ!』と思える本を探せばいいのです。
ちょこちょこ浮気した本が10冊たまったとしても、10%ずつやっていれば1冊分に相当するわけですから。買った以上は、少しでも勉強しましょう」
大学入学共通テスト必勝法8:高校3年生の夏になったらプレテストを必ずやってみよう!
第1回めの大学入学共通テストを受ける高校生にとっては過去問題がない。では、どんな問題で実践練習をすればいいのだろうか?
①プレテスト
②2020年1月のセンター試験2回分
③予想問題
です。
プレテストは絶対に解いてみるべきです。
なぜなら、大学入学共通テストの問題を作成する人たちが作ったテストで、実際の選択肢を体感できるから。
例えば学校の定期テストでいうと、A先生ならこういうひっかけをしてくるな、B先生は曖昧な選択肢を作ってくるな、という傾向があると思います。
それを大学入学共通テストバージョンで体感できるのがプレテスト。大学入学共通テストの出題傾向がわかるので、必ずやりましょう」
センター試験は、もう過去のものになってしまうから、やっても意味がないと思う人もいるかもしれません。
しかし2019年1月実施のセンター試験の英語で、プレテストの要素を入れた問題が出ているので、2020年1月のセンター試験でも大学入学共通テストと同じ傾向の問題が出る可能性大なのです。
テスト問題を作っている機関が一緒ですから、全然違う問題が出ることはないと思いますよ。
これらの問題を解いてみるのは、高校3年生の夏からで十分です。
高校によっては、高校2年生の1月にプレテストをやらされることもありますが、どんなテストなのかな、1年後にこういう問題を解くのだな、と知っておく程度で構いません。
例えば、高校2年生で解いてみたとしても、まだ大学入試レベルの英語力が完成していないので、実力がなくて解けないのか、大学入学共通テスト独特の問題だから解けないのか、判断がつかないから対策方法がわかりません。
単語力不足で解けないなら単語を覚えればできるけれど、単語力があっても解けないなら別の対策を考えなくてはならない。
その判断ができないから、プレテストを解いて、大学入学共通テストの対策を始めるのは、高校3年生の夏以降がいいでしょう」
関先生がプレテストを徹底分析して考えた、大学入学共通テストの英語の出題傾向と対策がわかる本は、これ!
『大学入学共通テスト 英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)
※2019年8月11日取材時点の情報になります。
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