「観光」は経済的な恩恵をもたらす一方で、大規模な乱開発や自然破壊、地域の文化変容、オーバーツーリズムといった様々な問題も引き起こしてきました。藤井ゼミナールでは、自然環境を含む地域社会と経済との調和を実現できる新しいツーリズムを構想し、特に観光客に対し、人や社会、環境に配慮した行動をうながす観光形態である「エシカル・ツーリズム」の可能性を探究しています。これまでも、伊豆大島の観光資源である「椿」を用いた里山保全のアクティビティや、世界遺産の構成遺産になっている静岡県の三保松原の保全などのフィールドワークに取り組んできました。こうしたフィールドワークや議論を重ねていくことで、一人ひとりの問題意識を高め、説得力をもった構想を表現できる場をつくっていきたいと思っています。
藤井准教授が常に学生に求めているのは、“自分で問いをつくること”です。「ゼミでは、ツーリストから倫理的なふるまいを引き出すための仕掛けを考えていくのですが、教員が問題をつくって、学生は教えられた方法で解く、というサイクルだけでは学生自身のオリジナリティを磨くことはできません。個々の学生の経験や気づきから問題意識を引っ張り出して、そこから自分の問いをつくるようにアドバイスしています。各々の問いを磨き、オリジナリティのある表現をすることで、自信をつけてほしいですね」
学生一人ひとりがオリジナリティや個性をのびのびと表現してほしい、と考えているので、みんなが同じ方向を向いて、同じテンポで歩く必要はありません。でも、誰かが困っていたら助けられる人であってほしいですね。
専門:環境社会学、観光学
広島県広島市生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科修了、博士(人間科学)。2020年より千葉商科大学人間社会学部に着任。