例えば、インフルエンザ予防接種では、ワクチンを体内に取り込み血液中の抗体をつくることで、重症化を防ぐことはできますが、病原体が体内に入ってくるのを防ぐことができません。粘膜は感染症を引き起こす病原体の入り口。ここで働く免疫が成立すれば病原体の侵入を防ぐことができ、感染症の予防に最も有用です。ネズミに腸管出血性大腸菌O157が感染する実験モデルでは、粘膜で働く抗体ができます。また、この抗体をできなくすることも可能です。粘膜で働く抗体はどんな時に作ることができるのか。そのメカニズムの解明に取り組み、様々な感染症を予防するワクチンに利用可能な粘膜アジュバント(抗体ができるのを助ける物質)の開発を目指しています。
多くの知識を得るには、いかに効率よく勉強するかがポイント。講義では、写真・動画などのビジュアル教材を使い、教授自身が経験した疾患を治癒するまでのエピソードなど、具体的な事例や最近の話題を紹介して印象に残る講義を心掛けています。加えて、繰り返し復習ができるようにe-learningによる教材も提供し、「理解している=説明できる」をモットーに、わかったつもりにならないように注力しています。卒業研究ゼミでは、過去の知見と自分のデータをもとに論理的に考えられる能力を身に付けられるよう指導しています。
薬学部卒業後の道は様々です。入学当初は漠然としていても、将来の夢や目標が定まれば、人はいつからでも変われます。薬学を学びながら目標を定め、社会に役立つ人に大きく成長して欲しいと思っています。
<学歴>
名古屋市立大学薬学部製薬学科・薬学研究科博士前期課程、名古屋大学医学系研究科博士課程
<職歴>
愛知医科大学医学部(助手・講師)、岐阜薬科大学薬学部(准教授)、岐阜医療科学大学薬学部(教授)
米国メルクリサーチラボラトリー リサーチフェロー
◎趣味は合唱音楽・クラシックを中心とした音楽全般(第九の合唱に参加)、スキー、パソコンのセットアップ、ベランダ菜園と多岐にわたる。