世界的に著名な渡辺雄一郎シェフがエグゼクティブシェフを務めるフランス料理店「ナベノイズム」のスーシェフ(副料理長)として、主に肉料理の下処理から火入れまでを担当しています。後輩たちの指導という重責もあり、調理場の動きを見ながらスムーズな調理とキッチンの調和を図るように心掛けています。季節ごとに変わる料理、使う食材は様々で新しい発見や仕事も自分にとっては楽しさの一つです。また、この店には何かの記念日など“特別な日にふさわしい食事”をしようと来店される方もいらっしゃるのですが、そういうお客さまが満足そうに帰られる姿や「美味しかったです」とシェフに話しかける声を聞くことが自分にとっても大きな喜びです。
小さな頃から自分の家族や親族を含めた大人数で食事をする環境の中で育ち、その支度を手伝っているうちに「揚げ物の係は隆助」と指名されてしまいました。何かを任せてもらうことが誇らしくて、しかも自分がつくった料理を美味しいと言って食べてもらえたことで料理への興味が深まったのだと思います。高校3年で進路を考える中で料理づくりの面白さや、みんなで食卓を囲む楽しさを思い出して調理師を目指すことを決意。新宿調理師専門学校に入学したのは、和・洋・中・製菓のすべてが学べるカリキュラムと、最新のモノや情報が集まる新宿という立地、そしてオープンキャンパスで接した先輩たちの明るくて楽しそうな様子に惹かれたからです。
入学直後に先生から「家でつくるきんぴらとプロがつくるきんぴらの違いが分かりますか?」と訊かれたことがあります。先生の答えは「素材が切り揃えられているか、いつ食べても味にブレがないか」というものでした。それまで家庭料理の経験は多少ありましたが、プロが体得すべき技術は別のレベルにあるのだと教えられた気がします。日本料理に用いる片刃の包丁の扱いが苦手だったので家に帰ってから大根のかつら剥きを必死に練習した覚えはありますが、学生と真剣に向き合ってくれる先生、自分の経験やフランス料理について目を輝かせて熱く語る先生など、個性的で親身な先生方のお陰で楽しく学びながら調理の基本を身につけることができました。
ナベノイズム株式会社「レストラン ナベノイズム」 勤務/調理師専修科/2017年卒/小学校に入る前から夕食づくりの手伝いをしていた高野さん。料理上手な家族や親族が近くにいたこと、そして「子どもにも何かしらの役割を与えてくれる環境で育ったこと」で料理に対する興味が強くなった。高校時代は理数系科目が好きだったが、大学でその勉強をする自分の姿が想像できず、幼少期から好きだった料理の道に進むため新宿調理師専門学校に入学。さまざまな先生方から多くのものを吸収したが、何よりも校長先生の「料理の出来る立派な社会人になりなさい」という教えが財産になっていると語る。東京都立府中高等学校卒業。