不安が自信に! 人気現代文講師・兵頭宗俊先生が教える!大学入学共通テスト
2021年1月からセンター試験に代わって実施される大学入学共通テスト。国語に関しては「問題が多くなる」「試験時間が長くなる」「記述問題が難しい」など、不安要素が多すぎて、どんな対策をすればいいかわからない人が多いようだ。
そこで、大学入学共通テストの国語は、今までのセンター試験と比べて何が変わるのか? どんな勉強をすればいいのか?
大学入学共通テストの国語・現代文対策について、河合塾の現代文科講師・兵頭宗俊先生に聞いてみた。
【今回教えてくれたのは…】
河合塾現代文科講師。
麹町校、池袋校、新宿校など、東京地区の校舎に出講。受験生の「脳」の入試「神経」を刺激する本質的内容をシュールでマニアックな笑いのオブラートで包む講義が、幅広いレベルの講座で高く支持されている。
現代文科代表格の一人。
センター試験でハイスコアを取る研究と指導に定評があり、受験雑誌・蛍雪時代で「鉄人講師のセンター試験CD講義」を連載。その研究を生かし、大学入学共通テストでも、受験生のパーフェクトな受験準備のための対策を示している。
主な著書は、『大学入学共通テスト 国語〔現代文〕が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『兵頭宗俊 実戦現代文講義の実況中継』(語学春秋社)など。
目次
大学入学共通テストとは?
現在実施されているセンター試験は2020年1月を最後に廃止される。
そのセンター試験に代わって2021年1月から実施されるのが大学入学共通テスト。
今の高校2年生(2019年現在)が大学受験をする際、センター試験ではなく大学入学共通テストを受けることになる。
●現代文2題(評論・小説または随筆)
●古文1題
●漢文1題
の合計4題で、試験時間は80分。
全問マーク式で、機械で採点が行われている。
●現代文3題(実用文・評論・小説または随筆)
●古文1題
●漢文1題
の合計5題になり、試験時間は100分。
一部に記述問題が出題され、マーク式は機械で採点が行われるが、記述問題は採点者による採点となる。
大学入学共通テストの国語では、現代文の問題数と試験時間が増えて、現代文の中で記述問題が出題されるのが、大きな変更点とされている。
大学入学共通テストの不安1:試験時間内に解けないかも?
大学入学共通テストとセンター試験の国語は、どのように変わるのだろうか?
単純計算だと1題あたり20分になるのは変わらないのですが、記述問題は、50文字前後で解答する問題が2問、100文字程度が1問の合計3問になるといわれており、当然、マーク式で解答するよりも時間がかかるため、試験時間内に解答できるのか、不安視されています。
記述問題についてはまだ流動的で、2017年と2018年に実施された『大学入学共通テストの導入に向けた試行調査(以下、プレテスト)』をみても、2017年のプレテストでは、現代文3題のうちの1題、実用文のパートがすべて記述問題でしたが、2018年のプレテストでは、現代文3題のうちの1題、評論のパートの中の一部が記述問題。
そのため、記述問題の配点が異なりました。
実用文か評論のどちらかで記述問題が出題されますが、まだわからない部分も多いのです。
小説または随筆のパートは、大学入学共通テストでも、センター試験と同様、全問マーク式で、問題そのものも大きくは変わらないといわれています」
大学入学共通テストの不安2:記述問題が難しい?
大学入学共通テストの国語の記述問題は難しいといわれているが、本当なのだろうか?
2018年の第2回のプレテストで、記述問題の完全正答率は15.1%にアップしましたが、自己採点よりも実際の得点が低かった人が多いと、またしてもニュースになっています。
なかには、自己採点で50点満点中40点だと思ったら15点しか取れていなかった、という人もいて、自己採点不一致率が約30%で、自己採点と実際の得点が大きく違っていたそうです。
プレテストの結果からみると、確かに大学入学共通テストの記述問題は難しい、得点できない、と考えられます。
その理由は、○○という単語が入っていれば1点、などと部分点が細かく設定されていて、採点基準が細かすぎるから。
解答に入っていなければならないキーワードがいくつもあり、それとズレていたら点がもらえません。
また、機械ではなく、採点者による採点なので、解答の意図が採点者に伝わらなければ、点がもらえません。
例えば同じ意味の言葉を書いていても、表現が違っていたことで0点になることもあるのです。
自己採点との開きが出るのは、そのためでしょう」
大学入学共通テスト必勝法1:マーク式の問題を完璧に解く!
大学入学共通テストの国語は、いろいろな不安要素があるが、どうやって対策をすればいいのだろうか?
第1回のプレテストでは、高校の新聞を使って、生徒会に何かを提案するときの根拠となるデータを並べて書く、という問題が出ました。
実際のプレテストの問題を見てみましょう」
※参照元:大学入学共通テスト国語〔現代文〕が1冊でしっかりわかる本:P19~P25より
果たして、どれだけの人が正答できるでしょうか?
そこで大学入学共通テストの国語の必勝法として、まずは記述問題以外のマーク式問題を先に解答することをおすすめします。
記述問題に時間をとられて、本来なら正答できるマーク式の問題を解く時間がなくなってしまったり、焦ってミスをしてはもったいないですよね。
例えば、先にマーク式の問題を1問15分で解けたら、その分、記述問題は25分かけられるため、精神的にも楽になるはず。
マーク式の問題で確実に得点を稼ぎ、記述問題で上乗せをねらうくらいのつもりでいいと思います。
受験勉強でも、まずマーク式の問題を完璧に解けるよう、センター試験の過去問題にしっかりと取り組みましょう」
大学入学共通テスト必勝法2:課題文より先に問題文を読む!
限られた時間内で記述問題を解くために、何かテクニックはあるのだろうか?
そこで、まず最初に問題文を読みましょう。
何を問われるのか、求められている言葉を先に把握して、聞かれていることを探しながら課題文を読めば良いのです。
例えば『傍線に対してのデータを書け』という問題なら、そのデータだけを探して、問題に関係ないと思われる部分は思いきってスルーすれば時間の短縮になりますよ」
大学入学共通テスト必勝法3:課題文の言葉をそのまま書き写す!
第一志望の大学に合格するためには、大学入学共通テストで1点でも多く取りたい。
細かい採点基準をクリアする方法はあるのだろうか?
記述問題の採点者は人間です。
自分なりに解釈して単語や言い回しを変えてしまうと、採点者に伝わらず、点をもらえない可能性があります。
例えば『モーニング』と課題文に書いてあるところを『朝』に変えるだけで見逃されてしまう危険も。
ましてや『寝て起きてから』と書いたら、まず加点がもらえないでしょう。
記述問題では、文字数きっちりの完璧な解答でなくても、求められている言葉が書かれていれば、その分だけ1点とか2点の部分点がもらえます。
満点を狙って1問に時間をかけるより、キーワードになる言葉が書けたと思ったら、次の問題へ進みましょう。無難に得点できるところをきっちりと稼ぐのがコツ。
ひととおり問題を解いて、もし時間が余れば、途中まで解答した問題に戻り、さらに加点できる解答を考えればいいのです。
課題文に忠実に、まず聞かれていることを探して、みつけたら並べる。これが記述問題を解答する基本作業になります」
※参照元:大学入学共通テスト国語〔現代文〕が1冊でしっかりわかる本:P70、P71より
大学入学共通テスト必勝法4:出題者が求める言葉を探す練習をする!
大学入学共通テストの記述問題の解き方は何となくわかってきたけど、本番に向けて、普段はどんな勉強をすればいいのだろう?
例えば、センター試験対策の問題集はすべて選択式の解答になっていますが、問題文の選択肢を隠して、解答文を自分で考えて文章で書いてみましょう。
それから選択肢を見て、自分が書いたものに一番近い選択肢があるかどうかをチェック。
当てはまるものがあり、しかもそれが正解ならOKですが、間違っていたり、自分が書いた答えが選択肢になかったら、解説文を読み、何が間違っていたのか分析をすること。
この方法で、センター試験の過去問題を解いたり、センター試験対策の問題集を解けば、大学入学共通テストのマーク式の問題と記述問題と、両方の勉強が同時にできますよ。
まずは、センター試験の問題集でトレーニングしてから、大学入学共通テストの記述問題対策のテキストで腕試しをするといいですね」
大学入学共通テスト必勝法5:100分間集中するトレーニングをする!
大学入学共通テストの国語は、問題を解く時間配分が難しそう。勉強するときに、どんなトレーニングをすればいいのだろう?
大学入学共通テストの国語は、試験時間が100分に増えるため、普段の授業の2倍の時間、集中し続けるのは大変です。
問題集を解くときは100分と決めて、試験時間に慣れておくトレーニングをしましょう。
記述問題にかける時間を多くできるよう、マーク式の問題は速く正確に解くスピードトレーニングもしておきたいですね。
大学入学共通テストの国語の記述問題に関しては、まだ未知数の部分が多いため、いろいろな出版社の問題集をたくさん解いてみるといいと思います」
大学入学共通テスト必勝法6:センター試験で採用された著者の文章を読む!
大学入学共通テストの国語の記述問題以外で、普段からやっておくと良い対策はあるのだろうか?過去問題をくり返し解いて、プレテストも試しておきましょう。
2020年に実施される最後のセンター試験は、おそらく今までの集大成となる『THEセンター試験』といえる問題になるでしょう。
必ず解いてみて、できれば高校や予備校・塾などでセンター試験の解説をしている授業を受けて、しっかりと分析してほしいですね。
現代文は、実用文・評論・小説または随筆の3題の文章が出題されますが、いずれも、みなさんが普段、友達とのLINEやメールで使っている言葉や表現とは異なった文章です。
同じことを言っていても、使う単語や言い回しが違うでしょう。
そこで、普段から目と頭を慣れさせるために、センター試験の過去問題で、ちょっと興味をもった評論の出典元の著書を読んだり、その著者の別の著書を読んでおきましょう。実は、大学入学試験に使われやすい著者というのは存在していて、1冊の著書が何度も採用されたり、過去には2校の私立大学で同じ年に全く同じ文章が入学試験に使われたこともあるのです。
この人の文章、おもしろいな、と感じたら、著書を読んでおきましょう。
実際に大学入学共通テストの問題に出たらラッキーですし、そうでなくても、評論を読み慣れていると、別の著書の文章でもスムーズに頭に入ってきますよ。小説や随筆を読むのも良いのですが、好き嫌いがでてくると思うので、評論のほうが読みやすいでしょう」
マーク式の問題を完璧に解く!
課題文より先に問題文を読む!
出題者が求める言葉を探す練習をする!
100分間集中するトレーニングをする!
センター試験で採用された著者の文章を読む!
兵頭先生が出題傾向を徹底分析した、大学入学共通テストの国語の現代文の準備が完璧にできる本は、これ!
『大学入学共通テスト 国語〔現代文〕が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)
その他、語学春秋社『兵頭宗俊 実戦現代文講義の実況中継』も発売中
※2019年10月取材時点の情報になります。
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