【現文講師・小柴大輔直伝】志望理由書&小論文対策!心理学系分野編

小論文や、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策には読書がいいというけれど、実際どんな本を読んだらいいんだろう?

そんな人のために、スタディサプリで「現代文」と「小論文」を担当する小柴大輔先生が読書案内をしてくれるコーナーがスタート!

今回は、心理学系分野の本を紹介してもらったよ。

教育・幼児教育・福祉・医療などに関心をもつ人もぜひ参考にしてね。


 
小柴大輔先生 プロフィール

Z会東大進学教室で講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)や司法試験受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。

感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。

スタディサプリでは、現代文のほか、小論文や総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座を担当。

『こころの処方箋(しょほうせん)』河合隼雄(かわい はやお)著/新潮文庫/2005年

心理学系の本の紹介なら真っ先に挙げたいのが、河合隼雄さんの『こころの処方箋(しょほうせん)』(新潮文庫/1998年)です。

1テーマ4ページの読み切りで全55章、どこからでも読めます。

しかもわかりやすく含蓄深い内容です。

人間のこころという究極的にはよくわからないものについて、考えていくヒントがもらえます。

また、この本は入試の小論文や現代文の題材としてよく使われます。スタディサプリの現代文講座・小論文講座にももちろん入っています。

ちなみに私がある予備校の採用試験を受けた際、この本からの出題ということがありました。

文章を要約し、意見を書き、さらに解説を書くという試験だったのですが、本書をはじめ河合隼雄さんの本はたくさん読んでいたので、余裕でした。

幸運なる偶然“セレンディピティ”は備えのある心、構のある心にしか生まれないという生物学者、ルイ・パスツールのことばが思い出されます。

さて、河合さんの経歴も紹介します。

京都大学理学部数学科を卒業後、高校の数学教師を務めます。

生徒の意欲と学力を引き出す、とても熱心な先生だったそうです。

その後、心理学・精神分析学への関心から、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)の大学院に進み心理学研究の道に入ります。

その後、スイスにあるユング研究所で研鑽(けんさん)を積みます(名前の由来、カール・グスタフ・ユングはジークムント・フロイトとならぶ著名な精神分析学者です)。

帰国後は、カウンセラーとして、研究者として、著述家として、大学教員として、さらに2002~2007年まで文化庁長官を務めます。

まさに“学問界のアイドル”です。

趣味はフルートで、ほぼプロ並みの腕前で演奏会も開催しています。私の知人に音楽大学卒の文化庁職員がおりますが、目を潤ませながら一緒に演奏した思い出を語ってくれたことがあります(河合さんは2007年死去)。

河合さんのほかの本としては『おはなしおはなし』(朝日文庫/1994年)がおすすめです。

物語を生み出す人間の心理、物語によっていやされる人間の心理に接近できます。

さらに『ココロの止まり木』(朝日文庫・2004年)『Q&Aこころの子育て』(朝日文庫)など著書多数です。 

『ものぐさ精神分析』岸田 秀(きしだ しゅう)著/中公文庫/1996年

『ものぐさ精神分析』(中公文庫/1982年)ちょっと古くなりましたが、精神分析に興味をもつ第一歩になります。

これまで本書に刺激を受け多くの人が心理学への関心をもったと思われます。続編も多数あります。

筆者の岸田 秀(きしだ しゅう)氏は、早稲田大学文学部心理学科卒、フランスのストラスブール大学留学、また長きにわたり和光大学教授を務めました。

日本において精神分析というものをメジャーにした人物と言えます。

『徴候・記憶・外傷』中井 久夫(なかい ひさお)著/みすず書房/2004年

『徴候・記憶・外傷』(みすず書房2004年)精神科医として阪神淡路大震災後のこころのケアでも大活躍した中井 久夫(なかい ひさお)さんの作品です。

今回取り上げたもののなかでは、一番高額でやや難しい本です。

それでもゴリゴリの専門書ではなく、知的好奇心をもつ市民向けに書かれています。

やはり入試現代文で何度も採用されています。

PTSD(心的外傷ストレス障害)に関する考察では、精神科医中井さんの人間的な温かさと知的誠実さとシャープな分析眼が光っています。

『精神分析学入門』『夢判断』ジークムント・フロイト著/新潮文庫/1900年

 今回は、心理学関連の本ですから、やはり精神分析学の父、ジークムント・フロイトに触れないわけにはいきません。

『精神分析学入門』『夢判断』(ともに新潮文庫/1900年)が有名です。

ただし、タイトルから連想されるほどとっつきやすい本ではありませんので、ご注意を。

『時をかける少女』などSF作家として有名な筒井 康隆(つつい やすたか)さんの短編小説集『夜のコント昼のコント』(新潮文庫/1994年)には、フロイトの夢判断や精神分析を踏まえた作品がいくつかあります。

こうした周辺からフロイトに近づくのもありでしょう。筒井康隆さんは大学1年(同志社大学文学部美学芸術学専攻)の時から、当時刊行が始まった日本教文社の『フロイド選集』(Freudは英語読みでフロイド)を読み始め、全巻を読破したそうです。


私自身は『フロイド選集』に入っているもののなかでは、『文化論』を興味深く読みました。

精神分析の手法が文化の分析にも応用されるなど目を開かれました。

周辺から迫るという点では、社会学者大澤(おおさわ)真(まさ)幸(さち)さんによる『社会学史』(講談社現代新書2019年)も参考になります。

フロイトを社会学者として扱っています。

う~む、おもしろい!

『うつヌケ─うつトンネルを抜けた人たち』(角川書店2017年)手塚治虫風のタッチを自在にこなす田中 圭一(たなか けいいち)さんの漫画作品です。

本人のうつ経験をはじめ、うつで苦しんだ多くの人へのインタビューを漫画にしたものです。

誰でもがなりうるのに、実に誤解だらけのうつについて、とても勉強になります。現在15万部超のベストセラー。

 以下、ウルトラ・ダイジェストですが超有名な心理学者とその作品を紹介します。

『自由からの逃走』エーリッヒ・フロム著(東京創元社/1952年)自由という高度な権利を引き受けられない大衆、さらにはファシズムを生んでしまう大衆心理の分析になっています。

『「甘え」の構造』土井 健朗(どい たけお)著(弘文堂/1971年)日本人の心性・メンタリティーの分析でベストセラー、ロングセラーです。

『映画でみる精神分析』小此木 啓吾(おこのぎ けいご)著(彩樹社/1992年)映画で描かれる人物像に精神分析をしています。

精神分析の用語にも詳しくなれますし、さらに映画の見方が変わります。
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