様々な疾患や時期の患者さんのリハビリを経験したくて病院に勤務し、現在2年目。同じ疾患でも患者さんごとに症状は異なり、それぞれに合わせたリハビリを選択しサポートするのは難しいのですが、経験豊富な先輩にも相談しながら頑張っています。ご高齢の患者さんがリハビリを続けることで笑顔が増え「ここまで動くようになった」「痛みがラクになった」と言われるのが特にうれしいですね。できる動きが増えれば、行動の選択肢が増える。ラクに動くことができれば、前向きな気持ちになれる。理学療法士の仕事には、患者さんの人生の一部を変え、この先の人生を豊かにする力があると感じます。だからこそ魅力的だし、やりがいも感じています。
脳卒中で左半身が動かしづらく、医師からも一生車椅子生活になると宣告されていた祖母が、リハビリを続けることで杖をついて歩けるまでに回復。幼い頃にその経過を近くで見て、医師の見立てを覆せる人間の力ってすごいと思ったのが最初の出会いでした。将来の進路に決めたのは高校2年の時。部活動中に鎖骨を骨折し、手術後のリハビリを担当してくれた理学療法士さんが、「いつまで続ければいいのか」「本当にこれで良くなるのか」といった不安にまで寄り添い、理論立てた納得のいく説明で安心させてくれたんです。僕もこんな理学療法士になって患者さんの心と身体機能、両方のケアをしていきたいと思ったのが、この仕事をめざすきっかけです。
国家試験合格をめざして頑張った4年間の勉強は大変でしたが、大学での学びが仕事の現場で生かせることも多く、今さらながら「あの授業をもう一度受け直したい」と思うこともあります。学生時代の一番の思い出は実行委員長として頑張った学園祭。初めて一般のお客様にも参加してもらった大きなイベントを運営できたことや、保健所や消防署への申請や学園本部との折衝など、友人や知人以外の幅広い年代の方と話す機会を持てたこと、講堂でのフリートーク企画なども印象に残っています。今、職場の上司や先輩、病棟の医師や看護師の方々などとスムーズにコミュニケーションできているのは、学生時代の経験が役立っているからに違いありません。
医療法人回生会 京都回生病院 リハビリテーション科 勤務/医療学部 理学療法学科 卒/2021年卒/80代90代の患者さんも多く担当。「ご高齢の患者さんは年々できることが少なくなり、あきらめることも多くなります。リハビリで歩けるようになったら出かけたくなるし、どこに行こう、何をしよう、と前向きに考えられるようになる。選択肢を増やし、人生を豊かにするお手伝いができるこの仕事には、本当にやりがいがあります」という辰已さん。今の目標は患者さんと同じ年齢になった時に自分の人生が楽しかった、いい人生だったと振り返ることができるよう、目の前の仕事に全力で取り組みながら、結婚や子育てなどの家庭生活も充実させることだそう。